第15話 掲示板
マイルームに戻ると愛莉はすぐに風呂へ向かった。
手持ち無沙汰の俺は昨日アップデートされた掲示板を覗いてみることにした。
【転移者限定掲示板】
1.勇者(男)
テスト
2.勇者(男)
初投稿、取ったどー!
3.勇者(男)
あれ? 匿名投稿じゃないのかよ!
職業名だけでも俺だってバレバレじゃねーかよ。。。
4.勇者(男)
まあ、いいか。
みんな俺の愚痴を聞いてくれよ。
俺って勇者じゃん?
主役じゃん? 主人公じゃん?
なのになんだよ!
コレクターとかいうふざけたやつがめちゃくちゃ活躍してるらしいじゃねーか。
俺の立場がねーよ。
君は本当に勇者なのか?って聞かれても俺だって知らねーよ。
望んで勇者になったわけじゃねーし。
はぁ~。
でも、折角異世界に来たんだし、しかも勇者なんだし、俺TUEEEしたいじゃん?
5.聖女(女)
うちだって好きで聖女やってねーし。
うち、ギャルだし。
金髪だし。
しかも、貧乳だし。
癒しの欠片すらねーし。
回復魔法使えねーし。
そもそも魔力とか魔素とか言われても何だよそれ?って感じだし。
なのに何なの?
賢者ちゃんたら、初日に魔法使えるようになってるのよ。
しかも、攻撃魔法だけじゃなくって回復魔法までよ!
うちの存在意義がブレるじゃんか!
6.回復師(女)
劣化版の私も聖女さんに同意。
7.魔法使い(女)
攻撃魔法が打てない私も激しく同意。
それに前髪切って賢者ちゃんが可愛くなって嫉妬。
8.鍛冶師(男)
お前らは良いじゃないか。
職業やスキルにあった訓練が出来ているのだから。
俺は生産職なんだぜ?
筋トレと剣術訓練なんかやりたくないんだけど。
でも、団長さんの圧が強くて何も言えないんだよな。
9.料理人(女)
私も魔法の練習したくない。
そもそもスキルが無い私に魔法が使えるの?
それにしてもお城の料理って物足りなくない?
不味いってわけではないんだけど。
なんかね。
だから、私に作らせてほしいの!
なんだか血が騒ぐのよ。
スキルのせいかな?
10.美術師(男)
みんなはいいよね。
この世界でも役に立ちそうな職業だし。
俺には未来が見えてこないんだけど。
美術師って何?
スキル実写、実体、模倣ってなんだよ。
王様や貴族の絵とか彫刻作って生活費もらうしかないのか?
こんな職業にした神様を恨むわ。
みんな荒れてるな。
ところで勇者め!
ふざけてないから!
俺だって最初戸惑ったし!
11.コレクター(男)
皆さん、こんにちは。
先行している俺から皆さんに警告があります。
ラノベを愛読していた人なら分かると思うが、これは悪い方のクラス転移だ。
まず、王様たちを本気で信用しないように。
彼らは俺たちを利用することしか考えていない。
一人で生きていける力を着けたら逃げることをお勧めする。
それと王から渡されたアクセサリには十分注意するように。
鑑定持ちの人は必ず鑑定してから装備した方が良い。
他に何か聞きたいことがあれば質問してくれ。
12.勇者(男)
さっきはふざけたやつとか言ってゴメン。
君がこの掲示板を開放してくれたんだよね?
城の外はどんな感じなんだ?
13.コレクター(男)
城の外観はシンデレラ城のような感じだ。
街並みは中世ヨーロッパ風で王都と呼ばれている。
街には冒険者ギルドがあり、そこでクエストを受けたり素材を売ったりしてお金を得ることができる。
だから強くなれば魔物を狩って生活はできるから訓練頑張ってくれ。
14.剣聖(女)
この世界には本当に魔物がいるのね。
15.コレクター(男)
はい、います。
最初の敵はゲームでお馴染みのスライムだ。見た目は違うけどね。
ゼリー状の身体の中に黒の魔石とオレンジがコアがある。
どちらも弱点だが魔石は売れるのでコアを壊して討伐すると良い。
次はゴブリンだ。
全裸の緑色をした小鬼なのだが、人型の魔物を殺すのは精神的にきつい。
俺は精神的にやられて隙ができてしまい、他にいたゴブリンに攻撃され死にかけた。
十分に注意してくれ。
それと狩りに出るときはポーションを忘れずにね。
16.薬師(女)
たぶん、ポーションは私が作れると思うわ。
材料があればだけどね。
17.アサシン(男)
コレクター殿、聞いても良いだろうか?
エルフやドワーフ、獣人は居るのだろうか?
18.コレクター(男)
街で普通に生活しているよ。
ちなみにギルドの受付嬢はエルフで、ギルド近くの武器屋にはウサ耳の獣人さんが接客していたよ。
19.アサシン(男)
何だって!!!
それは早く城から出れるように訓練に励まなければなるまい!
20.裁縫師(女)
コレクターさんにお願いがあるのだけれど、街で下着は手に入りませんか?
替えの下着が無いから女の子としては辛くて。
城から配布された下着はゴワゴワして肌触りが悪いの。
布を手に入れることができたら私が作れるかもしれないけど。
21.コレクター(男)
綿に近い生地があったら入手してきますね。
期待せずに待ってください。
「誠司、あまり深く関わらない方が良いわよ。どんどん要求がエスカレートしてくるだろうから。」
「びっくりした。突然後ろから声かけないでよ。そうだね。でも、愛莉以外の女の子は相当苦労しているんじゃないかと思ったんだよね。掲示板に女の子が下着のことを書くくらいだから。」
「確かにそうね。私も誠司が居なかったら今頃どうなっていたことか。改めてありがとう。そして、お風呂とっても良かったわ。」
「俺もあとで入るよ。ちょっとやることがあるから作業部屋に篭るね。愛莉は先に寝てていいよ。」
「はーい。おやすみなさい。」
風呂上がりの愛莉にドキドキしてしまったことを隠しながら作業部屋へ向かった。
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