第12話 クエスト終了報告と換金

日が暮れる前に街に辿り着いた。

早速、ギルドへ向かった。


「お帰りなさい、誠司さん。クエストは達成できましたか?」


「ただいま、メリーさん。もちろんです。完了手続きと素材の買い取りをお願いします。でも、ここには出し切れないのですが。」


「え? そんなにあるのですか?」


「私が呆れてしまうほど討伐していたよ。解体場か倉庫に出した方が良いと思うぞ。」


「そうなんですか? ジョイさんがそういうのでしたら解体場へ向かいましょう。」


メリーさんの先導で解体場へ向かった。


「ガモンさん。たくさん狩ってきたそうですから仕分けと解体お願いします。こちらが今巷で噂の勇者の誠司さんと愛莉さんです。」


メリーさんがガモンという小柄でマッチョなおっちゃんに声をかけた。


「おう。登録初日に100を超える魔石を持ってきたっていうあの勇者さんかい? 俺はここの解体場の責任者ガモンだ。よろしくな。それで今日は何を狩ってきたんだい?」


「よろしくお願いします。でも、俺たちは勇者召喚に巻き込まれた召喚者であって、勇者では無いですよ。それじゃ、ゴブリンから出しますね。」


ゴブリンの魔石と討伐証明部位の耳の山ができた。


「おいおい。いったい何体狩ってきたんだよ。お前ら仕事だ! すぐに数えな!」


ガモンは周囲で待機していた作業員たちに指示を飛ばした。


「メリー、160体分だ。」


「了解です。クエスト報酬と魔石の買い取りはカウンターの方で後程処理しますね。」


次に薬草を出した。


「40束だな。どれも今摘んだばかりのように新鮮だぞ。状態が良いので高く買い取ってやれ。」


「わかりました。まだあります?」


次はウルフを出した。

解体していないのでそのまま出した。


「何頭かは状態が悪いが、50頭分は良品で買い取ろう。でも解体手数料の1割を請求するぞ。お前ら解体に取り掛かれ。」


ハイウルフを出すとガモンの目の色が変わった。


「おっと、珍しい。ハイウルフじゃないか。ウルフの群れのボスが稀に進化することでハイウルフが誕生するんだ。滅多にお目に掛からないんだぞ。低ランクの魔物であっても非常にレアなので高く買い取ろう。」


次はコボルトかな。


「おいおい。また多いな。まあ、コボルトは肉は食えないから毛皮しか使い道がない。後回しにするぞ。おい、お前。コボルトの数を数えておけ。」


「あと、ワイルドボアが50頭ほど残っているのですがどうします? お気付きかと思いますが、私のアイテムボックスは時間経過が遅いです。明日にしましょうか?」


「そうしてもらえると助かる。今あるだけでも今日は徹夜で作業することになりそうだ。おい、コボルトは何頭いたんだ? 60頭だそうだ。メリー、とりあえずここまでの処理を頼む。ボアの引き取りを延期してもらったんだから上乗せしておけよ。」


「了解です。では、皆さん。精算いたしますので受付に戻りましょう。」


「久しぶりに大量だな。腕が鳴るぜ。お前ら気合入れて取り掛かれ! 早く終わって酒飲みに行くぞ!」


「「「おお!!!」」」


受付に戻り、出し忘れていたスライムの魔石30個を出した。


「まず、スライムの魔石が1個10銅貨なので3銀貨になりますね。薬草クエストの報酬が1束当たり30銅貨ですが、すべて鮮度が良く上物でしたので50銅貨で買い取ります。40回分の報酬で20銀貨になりますね。」


ここまでで23銀貨だ。


「次にゴブリンですが、クエストは10体討伐で1銀貨になります。16回分の報酬ですので16銀貨になります。魔石は30銅貨で買い取りますので160個で48銀貨になりますね。」


87銀貨になった。


「ウルフは10頭討伐で5銀貨の報酬になります。こちらは常設クエストでは無いので1回分のみの報酬となります。しかし、毛皮と肉の買い取りが出来ますので1頭当たり1銀貨とします。50頭分の買い取りですので50銀貨ですが、解体手数料を引いて45銀貨となります。それとハイウルフは1金貨で買い取ります。コボルトは10頭討伐で5銀貨、買取が1頭当たり60銅貨で3銀貨60銅貨になりますね。合計で2金貨45銀貨60銅貨になります。お確かめください。ボアの方は明日精算でお願いします。」


「ありがとうございます。」


昨日の報酬と合わせて約2.5金貨。

日本円にすると2万5千円くらいかな。

2日間の稼ぎとしてはなかなか良いのではないだろうか。

ギルドランクが上がればもっと報酬の良いクエストも受けられるようになるだろう。

城から逃げて冒険者として生活することもできそうだ。

報酬を愛莉に分配しようと思ったが、分けずに俺が管理することになった。


「それとこれだけ貢献いただけたので、本日付けでEランクにランクアップいたします。更新しますのでギルドカードの提出をお願いします。」


「登録初日にランクアップとは前代未聞だな。さすがだ。」


「ジョイさんのおかげですよ。」


「俺は何もしてないじゃないか。ただの付き添いだ。」


「処理完了しました。明日からはDランクのクエストも受けられますのでよろしくお願いします。」


メリーさんに別れを告げ、城に帰ることにした。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 


一方、王様サイドでは。


「ガモジール、ジョイよ。本日の報告をするのだ。」


「コレクターと賢者はフィールドでレベ上げをしてきました。現状、コレクターがLv.25、賢者がLv.20です。Fランクのコボルト、ボア程度であれば余裕です。また、ウルフの群れとボスのハイウルフに襲われましたが問題無く殲滅しました。さらに本日冒険者登録を行いましたが、夕方にはEランクにランクアップしています。」


「すごいではないか。指輪の方はどうなった?」


「2人に渡しており、装備させました。」


「そうか、よくやった!」


「それと、2人から装備の更新を求められました。明日からオーク狩りになると思いますので今の初心者装備では心もとなく。」


「騎士団と魔法師団の装備を渡して良い。あと、明日の朝に2人と面会する手配をしておけ。」


「了解しました。」


「ところで2人以外の召喚者はどうなのだ? 特に勇者様の成長はどうだ?」


「まだスタートラインにも立てていない状況です。先の2人が異常なだけかと思います。」


「そうか。もう少し様子をみよう。」

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