第9話 冒険者登録

転移4日目の朝、いつものように隣には愛莉が寝ている。

もう慣れてしまった。

もちろん、皆さんが想像するような深い関係には成っていない。


「おはよう、愛莉。今日は狩りに行くんだから早く支度をしよう。」


「おはよう、誠司。わかったわ、着替えてくるから待ってて。」


そして、食堂で朝飯を食べていると団長が高身長のイケメンを連れてきた。


「おはよう。昨日お話した副団長のジョイだ。彼は探索に長けているのできっと役に立つと思う。」


「ジョイです。よろしくお願いします。」


「こちらこそ、よろしくお願いします。ただ私の狩るスピードが速いらしく、昨日は護衛さんを置き去りにしてしまったのですが大丈夫でしょうか?」


「それなら気になさらず全力で動いてもらって大丈夫です。私はアサシンですからスピードでは負けませんよ。」


ちょっとステータスを確認させてもらおうかな。


*ステータス

 名前: ジョイ

 称号: 王国騎士副団長

 職業: アサシン

 性別: 男

 年齢: 30歳

 レベル: 30


 スキル

  暗殺術、刀術、投擲術、隠密、加速、回避、縮地、潜伏、魔物感知、敵感知、

  人感知、地形探知、マッピング、狙撃、火属性耐性


副団長だけあってかなり優秀だった。

昨日の護衛とは明らかに違う。

有難くスキルをコピーさせてもらうとしよう。


《探索系スキルをコンプリートしました。統合し、エリアサーチを獲得しました。》

《エリアサーチ、マッピング、鷹の目、千里眼を統合し、エリアマップを獲得しました。》


おお! 300m程度の範囲内の地図と人の配置が表示された。

あれ? ジョイさんは味方のようだけど、団長がグレーだぞ。

団長には気を付けた方が良さそうだ。


「朝飯が済んだので早速狩りに向かっても良いですか? 愛莉も良いよね?」


「問題ないわ。」


「では、副団長さんよろしくお願いします。あと、昨日拾ったスライムの魔石はどこかで買い取ってもらえるのですか?」


「了解した。ゴブリンを狩れると聞いたので森に向かうとしようか。魔石などのアイテムは冒険者ギルドが買い取る。森に行く前にギルドに立ち寄ろう。」


『ギルドと言えば定番のイベントが起こるか楽しみだわ。それと冒険者登録が行われると思うからスキルの隠蔽を忘れないでね。それに奴隷化も解除しておきましょう。』


『了解。ん? イベント?』


今日も馬車で送ってもらい、ギルドに到着した。

中に入るとカウンターにはとんがり耳の美しい女性が座っていた。

もしやエルフか?


「王都冒険者ギルドへようこそ。ジョイさん、お久しぶりです。本日は依頼ですか?」


「いや、彼らの冒険者登録と魔石の買い取りを頼む。」


「了解しました。では、こちらの書類の記入が終わりましたら鑑定水晶に手を置いてください。」


スキル翻訳のおかげで文字の読み書きは可能だった。

書類の記入が終わり、水晶に触れた。

すると水晶の下の台からカードが出てきた。


「犯罪歴も無いようですね。職業のコレクターというのが気になりますが詮索いたしませんのでご安心ください。えっ! こちらの方は賢者ですか! 登録いただきありがとうございます。受付嬢メリーです。私が担当になってもよろしいでしょうか?」


担当した冒険者が活躍すると受付嬢にボーナスが入るらしい。

また、鑑定水晶は城にあったものよりも性能が低く、スキルまでは鑑定できないらしい。

スキルの多さでギルド内が大騒ぎになったり、先輩冒険者の洗礼を受けるお約束のイベントは発生しなかった。

騎士のジョイさんも一緒だしね。


「別にかまいませんよ。ちなみにパーティ登録はできますか?」


「ありがとうございます。では、お二人のパーティ登録を済ましてきます。その間に買取の魔石の準備をしてお待ちください。」


インベントリから昨日ドロップした大量のスライムの魔石をカウンターに出した。


「お待たせしました。パーティ登録も完了しました。こちらが冒険者カードになります。再発行にはお金がかかりますので無くさないように注意してくださいね。お二人ともFランクからのスタートになります。ひとつ上のEランクまでのクエストは受けられますのであちらの掲示板から選んで受付処理をしてください。それでは魔石の査定をしてきます。」


「随分狩ったわね。100くらいあったんじゃない?」


「我武者羅に狩ってたから数えていないんだ。」


「102個ございました。1つ当たり10銅貨で買い取ります。10銀貨20銅貨になります。」


市場でリンゴ1個が10銅貨だというので、魔石1個は大体100円ぐらいだろうか。

弱いスライムの魔石だからそんなもんだろう。

通貨には鉄貨、銅貨、銀貨、金貨、白金貨、虹貨があるそうだ。

白金貨以上は商人や貴族が使うもので一般人は見る機会すら無いらしい。

100鉄貨で1銅貨、100銅貨で1銀貨、100銀貨で1金貨になる。

もらったお金をインベントリに入れた。


「これからどうされますか? 魔物狩りに行く予定でしたらクエストを受けられてはいかがでしょうか?」


「これから森に向かう予定だ。ゴブリンがメインになると思う。」


「森でしたらゴブリンと薬草採取のクエストがございますが、両方とも常時クエストなので受付は不要です。さらにウルフ、ボア、コボルトと遭遇する可能性がありますのでこちらの手続きをしておきましょう。Fランクのクエストは未達成でもペナルティはございませんから安心してください。ジョイさんが一緒なので大丈夫でしょうが、森は危険ですので気を付けていってらっしゃい。」


メリーさんに見送られ、森へ向かった。

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