第7話 ポーションの大切さ

城に戻った俺はすぐに愛莉に魔法を教えてもらいたかったが、護衛の使えない2人兵士に無理やり城のお抱え回復師の元へ連れて行かれた。


「キュア、ヒール」


毒消しのできる治癒魔法とHP回復魔法を唱えてくれたらしい。


「ゴブリンの毒矢を受けて、よく城まで帰って来れたな。普通に死んでもおかしくないぞ。毒消し薬を持っていかなかったのか?」


「スライムしか狩らないと思っていたので。」


「回復ポーションと治癒のポーションは携帯するのが基本だろうが! 大切な召喚者を死なすところだったんだぞ。これは団長に報告しておくぞ!」


*ステータス

 名前: セーラ

 称号: 宮廷回復師

 職業: 回復師

 性別: 女

 年齢: 25歳

 レベル: 15


 スキル

  水魔法、光魔法、魔力操作、魔力感知、生活魔法、料理、乗馬


スキルをコピーさせてもらった。


「私のような回復師であっても町の外に出るときは必ずポーションを携帯するんだ。もし、MPが切れてしまった場合、魔法を使いたくても使えなくなってしまうからだ。自分の命もだが、仲間の命も守りたいからな。今回はこちらのミスで危険にさらしてしまった。お詫びに私のポーションだが持って行ってくれ。」


「ありがとうございます。」


低級、中級、高級のHP回復、MP回復、状態異常回復用のポーションを各1本ずつ入ったセットをもらった。


*鑑定

 名称: 低級HP回復ポーション

 効果: HPを小回復する。


*鑑定

 名称: 低級MP回復ポーション

 効果: MPを小回復する。


*鑑定

 名称: 低級状態異常回復ポーション

 効果: 毒、麻痺等の低級の状態異常を治癒する。


中級、高級は効果がアップする仕様だ。

ただ、雑草を齧ったときのような苦みと臭みがあるそうだ。

雑草を食べたことは無いが不味いことは想像できる。

しかし、命には替えられないので躊躇せずに一気に飲み干せと言われた。


「愛莉、ただいま。」


「お帰りなさい。晩御飯を食べてからマイルームで情報交換しましょう。」


「そうだね。じゃあ、食堂に行こうか。」


食堂に行くと団長が駆け寄ってきた。


「田中殿、お体に異常はございませんか? 私の部下が大変失礼しました。死ねとのご命令であれば腹を斬ってお詫びしたいと思っております。」


「そこまでしなくても結構です。でも、もっとしっかりした護衛さんを着けてほしいですね。」


「もちろんです。明日は副団長を同行させますので何卒お許しください。」


「了解しました。では、明日もよろしくお願いします。」


「何かあったの?」


「毒にやられて死にかけたんだよ。」


「え?! 大丈夫なの?」


「回復師さんに魔法で治療してもらったから平気だよ。」


「良かったわ。無理しちゃダメじゃない。」


晩御飯をさっさと食べ終え、マイルームに向かった。


「それで詳細を話してちょうだい。」


「今日は門の外で魔物を狩りに行ったわけだが、最初の魔物はスライムだったんだ。」


「スライムがいるのね。さすがファンタジーの世界だわ。」


「その前に写真見て。城の外観や街並みは中世ヨーロッパ風だったよ。」


「本当ね。RPGの世界みたいだわ。私も明日から魔物を狩りに行けることになったから楽しみよ。」


「じゃあ、一緒に行けるね。それで我を忘れてスライムを狩ってたら護衛さんを置いてっちゃって怒られちゃったよ。それに気付いたらLv.10になっててね。他の魔物も狩りたいってお願いしたわけ。それで森へ移動してゴブリンを狩ったんだ。」


「ゴブリンもいるのね。本当にゲームの世界だわ。それでゴブリンは狩れたの?」


「一応、殺すことができたんだけど、人型の魔物を殺した精神的ダメージが大きかったんだ。精神耐性を獲得しちゃうくらいだったよ。それで油断しちゃって弓使いのゴブリンから毒矢を食らっちゃって死にかけたんだ。」


「それが食堂での話なのね。助かって良かったわね。」


「職業を回復師にしたことと、スライムからコピーした再生を進化させて超再生にしたことが良かったみたい。あの時の自分の判断を褒めてやりたいよ。その後、毒耐性が獲得できてなんとか生きて城に戻って来れたって感じだ。」


「護衛さんは何も対応してくれなかったの?」


「毒消し薬も持ってないし、動揺するだけだったよ。城の回復師さんに怒ってもらってスッキリしたよ。あと、その回復師さんからポーションをもらったから愛莉も持ってて。でも、すごく不味いらしいよ。」


「ありがとう。確か錬成術もコピーしてたわね。時間が出来たら味の改良もお願いね。」


「え? 俺ってこのポーションっていう薬も作れたりするんだね。俺ってもしかして凄いんじゃね?」


「だから言ってるじゃない。あなたは最高のチート野郎だって。私を守ってね。」


「了解。愛莉のためにも頑張るよ。そうだ、魔法の使い方を教えてもらえるかな? 特に回復、治癒を覚えておきたいんだ。」


「それじゃ、職業を魔法職に替えてみて。魔力感知と魔力操作も持っていたわね。だったらすぐ使えるようになると思うわ。」


職業を愛莉と同じ賢者に替えた。


「まず、魔力を感じるところから始めましょう。私の手を握って。魔力を送るから感じとって。」


愛莉を女性として意識してしまって手汗がヤバい。

集中しなきゃ、折角教えてくれている愛莉に申し訳ない。


「緊張しないで。深呼吸して。集中!!」


すると手にボワっと温かいものを感じた。


「手に温かいものを感じるよ。これが魔力かな?」


「そうよ。それを身体中に循環させる感じで動かしてみて。」


「こんな感じ?」


「そう! 魔力操作を持っているだけあって飲み込みが早いわね。それを手に集中させて、結果を想像し放つ感じ。じゃあ、私の傷を治してみて。ウィンドカッター。」


愛莉の指が風魔法で傷つけられ血が流れた。


「何をしているの!」


「いいから、キズが塞がるイメージでヒールと唱えて魔法を放って。」


「ヒール!」


「完璧よ。さすが誠司ね。他の魔法も基本同じよ。想像して放つ! 私から全魔法適正をコピーしているでしょ。だから全種類の魔法が使えるはずよ。その前にどんな魔法があるかわからないわよね。もう一度、私からスキルをコピーしてみて。」


いろいろな魔法が入ってきた。

鑑定になれてきたためか、意識しなくても魔法の効果が何となくわかるようになってきた。


*ステータス

 魔法スキル

  生活魔法、火魔法、水魔法、風魔法、土魔法、雷魔法、氷魔法、光魔法、

  闇魔法、時空間魔法、契約魔法


《火水風土雷氷光闇魔法をコンプリートしたので、全属性魔法に統合します。魔法での攻撃時に10%ダメージが上乗せされます。》


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