第19話 はう様は宇宙をはらむ

 宴の夜ハロウィン

 "モール・モース"が蠢く中を、その神獣は我が物顔でのぞりのぞりと這い歩き、巨大な宇宙への入り口を広げていた。

 その神獣は、かつては"う者"と呼ばれていた。

 巨大なサンショウウオの姿をしたその神獣は、その体躯から来る存在感は凄まじいものがあったが、鈍重な動きで、爪や牙などの部位もなく、丸みを帯びたどこか愛嬌さえ感じさせるその姿は、いつからか"かわいい"と言われるようになり、畏敬の意も含め"はう様"と呼ばれるようになった。

 特に何かを為すことはしない神獣であるはう様も、いつの間にか享楽の宴ハロウィンに混ざるようになり、巨大な体躯に見合った巨大な口を広げ、"モール・モース"を飲み込む。

 はう様の胃は、宇宙と呼ばれる限りなく無限に近い有限の世界であると言われており、そこに飲み込まれた"モール・モース"は果たしてどうなるのかは様々な推測がされており、胃の中宇宙を永遠に彷徨い続ける。宇宙胃袋の材料へと変化される。などが代表的である。

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