第14話 "死"すら逃げ出す酒呑み

「ほらほら!お前も遠慮せずにやれぇ!」

「最高っすね先輩!」

「ちょ、兄貴!酒飲ませてんすか!」

 精霊ウィスプスは種族全体を通して大の酒好きである。

 特に石霊種ドワーフはその筆頭であり、"酔う"ことこそが命への賛辞であるとまでのたまっている。

 しかし、酒に対する尊びと飲み方が必ずしも合致することはなく、何にでも"例外"はあるものである。

 あろうことか、"モール・モース"の口にと酒を流し込んでいる彼がそのいい証拠であり、普段の生活でも適当な、もしくは不条理なを付けては身内を酒席に誘い、からみ酒に付き合い倒すことで有名だった。しかし、それを抜けばよき人物であることから、慕う者がなくなる事はなかった。

 そんな彼にとっては、"命の悪あがき"を銘打ったハロウィン享楽の宴は、絶交のでしかなかった。

 しかし、本来の指針命の悪あがきから外れる者が増えているハロウィン享楽の宴の中で、"モール・モース"に命の賛辞と謳う代物彼の行動は、あながち的外れでもないようにも見えた。

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