　異動して30年なかなか成果が上がらないので悩んでいた。10月の会議の時も「お前がそんなだからウチも影響受けてんだよ」と罵倒（ばとう）され、見かねた上司に前任神に相談するよう勧められた。

「で、どんな風にやってるの」

「周りに合いそうな人がいないか調べて…」

「いちいち調査とか非効率的。来る人同士片っ端からくっつければいいのよ」

「そんな乱暴な」

「だいたいその気のないものを結ぶなんて無理。祈願にくる人は結ばれたいって思ってるんだから、成功率は高いでしょ」

　なるほどその手か。今度はうまくやるぞ。私はウキウキと社（やしろ）に帰った。

　3年後、会議で会った子宝神社の担当神が苦々しげに言った。

「確かに縁結びはされたがこれでは」

　私は知らなかったのだ。縁結び祈願に来るのが本人だけではないことを。特にここ最近は親世代の参拝の方が多いことを。

　この3年熟年離婚と再婚が増え、ウチは陰で不倫神社と呼ばれている。

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