陰キャな中の人はボッチ希望?隠れハイスペックにガチ恋勢が離れてくれません。

にゃんぺろ

第一幕 恵まれすぎた男

第1話 オス!おらボッチ!

幼少期から人の声が大好きだった。

優しい両親や祖父母の声

先生達や同級生の声

自分を取り巻く全て、様々な声が大好きだった。


小学生の頃、

特に魅力を感じたのはやはりアニメだった。

声優という職業を知り

自分も色んな人の声を出せたらとても素敵で楽しいだろうと思い

アニメキャラの声を真似て両親や祖父母を笑わせていた。


大好きな人達が喜んでくれる。


それがモチベーションとなり暇さえあれば発声練習。

たまに業界人である父の仕事の手伝いでキッズモデルなどもやりつつ、やはり発声の練習は怠らなかった。


中学に入ると音楽にも興味が出てくる。

あのシンガーソングライターの歌い方が好きだな。

真似てみよう。

このバンドのボーカルの声がかっこいい!

真似てみよう。

あのアイドルグループのあの子の声が可愛い!

真似てみよう。

このアニソンが沁みる!

真似てみよう。


この頃には発声の為に身体も鍛えだしその合間に発声と模倣の繰り返し。

たまに父の仕事の手伝いで子役としてドラマの撮影をこなしながらも

やはり基本は発声と模倣。


そして中学2年の夏。

両親が事故で他界した。


夏休みの間の出来事で

誰にお別れの挨拶をする訳でもなく祖父母の屋敷に引っ越す事になる。


賃貸マンションを引き払い祖父母に引き取られたわけだが

たかだか14年生きただけの子供だ。やはり両親の他界はショックが大きく

祖父母の屋敷に引きこもり転校先の学校には通わなかった。


そこでボッチの世界に片足を突っ込んだわけだ。


ただひたすら優しい祖父母は

普通に接してくれていたため変に卑屈になったりせずに済んだ。


屋敷に住み込みで働いているハウスキーパーのおばちゃん夫婦も

明るく優しい人達だったので助かった。


最後の家族である祖父母を喜ばせたい一心で

発声と模倣は続けていた。

俺がモノマネしたり普通に歌ったりすると喜んでくれる2人。


不健康になるのも違うと感じたので近くのジムにも通う。

ハウスキーパーのおっちゃんからは拳法を教えてもらったりしていた。


金銭面では両親の残してくれた貯金と

多額の保険金もあってかなりの額がある。

祖父母にあげると言ったが祖父母もそれなりに裕福だったため

そのまま自身で持っておくことになる。


パソコンを買い、あてがわれた部屋を防音にして貰いネット三昧。

コンビニとジム以外は外出しない生活で髪は伸び放題。


優しい祖父母に自室で発声と模倣、テレビにネットにゲーム。

両親がいない以外は最高の環境だったが

祖父母に心配をかけるのも違う気がして学校にも通う事にした。

地頭は悪くなかったため高校には難なく進学。


陰キャボッチとして高校デビューして以来、

自らを空気としてナリキリ

誰にも気づかれず平穏に過ごす。


そして17才。

大好きだった祖父が亡くなる。

数ヶ月後、追いかけるように祖母も亡くなった。


晴れてパーフェクトボッチの完成ってわけだ。


葬式の後、弁護士を名乗る女性が訪れてきて教えてくれた。


祖父母が残してくれた遺産があり

死ぬまで困らない程度の金が手元にすでにあるそうだ。


生前贈与って言うのか?

すでに俺名義になっていた財産。

祖父の経営していた会社の株とか…来年にはオーナーですが何か?

さらにそこから保険金が…


金なんかいらねぇって…


弁護士さんは遠い親戚らしい。

後見人として俺が成人するまで相談に乗ってくれる。

話の後、遺書を渡された。


「楽しく生きなさい。」


だそうだ。

俺はそのまま後見人の弁護士さんにマンションの購入を依頼した。

まだ未成年で出来る事が限られているから。


同居を提案されたが断った。

親戚とはいえ知らないお姉さんと同居とか

ちょっと意味がわからない。

ハウスキーパーの夫婦はそのまま祖父母の家に住み屋敷の管理をしてくれるそうだ。

給料は会社から出ているとか。


そんなわけで独りの生活が始まる。

もう聞かせる相手がいなくなった模倣や歌はやめてしまった。

帰宅したらネトゲ三昧。

その時ハマっていたのがFPSと呼ばれるゲーム

いわゆる戦争ごっこだ。


それなりの戦績だった俺はある時運命のメッセージを受け取った。


『こんにちは

さっき対戦していた虚無です。

ナナさんすごくエイム力あるみたいだけど立ち回りが初心者丸出しなんだよね。

Utubeとか見たことある?

色んな人が動画アップしてるから見たこと無いなら一度視聴してみるといいよ。

勉強になると思う。

ではまた遊んでください。』


そういや今まで動画関係は見たこと無かったなぁ。

そんなの見てる暇があったら発声練習するかゲームするかだったからなぁ。


ゲームを止め早速見てみる事にしたのだが…


なんだこれ?

運が良かったのか悪かったのか、

俺が視聴したのはライブ配信、

つまりゲーム実況だった。


ゲームの説明などを挿みながら

野良でゲームを回していく配信者。

視聴者からのコメントもすごい早さで流れていく。


すごい…

すごすぎる!

同時接続数が7千人超えてる!

まるでコンサートみたいじゃないか!


やってみたい!

配信者の見た目なんか関係無く

トークとコメントだけで成り立っている!

ただゲームで遊んでいるんじゃなくて視聴者と共に楽しんでいる配信者。


楽しそうだな…


そこからはUtuberの事を調べに調べた。




・・・・・・・・・・・



【あとがき】

いつもお世話になっております。

にゃんぺろです。

このくそ暑い夏をいかがお過ごしでしょうか?

私事ではありますがにゃんぺろはリアルお仕事が忙しく執筆速度が…

大して落ちてはいませんが忙しくしております。

そんなこんなで不定期連載ではありますが違うお話を書いていこうと思います。

【秋本くんの場合】は迷走している感じなので休止とさせていただきました。


今作の陰キャぼっちですが

こちらは本当に不定期なので気長に楽しんでいただけると嬉しいです。


宜しくお願いします。

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