第30話 浮遊する憤懣【グル・イラ】

 グル・イラは、北大陸国ベルリゾンで確認された神獣のひとつだ。

 巨大な海月クラゲの姿をしており、単体ではなく、大小様々な複数の個体が確認されているが、その意思は"ひとつ"と言われている。

 死素ポルボを体内に取り込むことで、根源物質ディアグラムを生成できる唯一の存在であり、個体の中には、自分の身の丈以上のそれディアグラムを胴体に乗せて漂うものもいる。

 北大陸国ベルリゾンにて確認された二体の神獣には、他とは異なり明確な上下関係が存在し、生成した根源物質ディアグラムを上位の神獣に奪われることがあるが、貴重な資源として、それを狙っているのは大陸のすみビトも同様である。

 そのような状況であるためか、他の生物には一切の危害を加えない神獣の中では珍しく、根源物質ディアグラムを狙うすみビトらには、明確な敵意と迎撃行動を取っており、普段の空中を漂う神秘性とはかけ離れた猛然たる姿からは、上下双方からの干渉に対する抑圧された憤怒が感じられ、神獣の中で最も感情豊かと評されている。

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