第13話 RENSEについて話そう

 それは、"生"と"死"の隙間にある世界。

 まだ世界に定着しきれていない生と死に対する思考に至っていない子どもが、生死の境をさまよう臨死体験中で訪れる場所と言われている。

 現実には存在していないその世界RENSEは、入り込んでしまった子どもが抱く、世界現実に対する未熟な知識、未知なるものに対する恐怖と好奇心、可能性に満ちた創造性により、かろうじて世界と呼べる姿を成している。

 さまよう子ニモは、夢と分かっていながらも目覚める事ができない感覚の中、様々なカタチの"希望"と"絶望"にさいなまれる。

 希望は、"生"への導きとして、親しみある者の声や思い出で、愛を投影し、絶望は隙間RENSEに入る原因に関わる痛みや恐怖、トラウマを再現し"死"へと誘う。

 生還した希望を選んだニモには、その時の記憶がほぼ消えてしまっているが、共通して聞かれるのが、"影がない子に道を教えてもらった"というものだった。

 それが、誰なのかは誰にも分からない。

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