第17話 VRMMO編、満を持してスタート!

ピンポーン!




魔王城のインターホンが鳴った。


やれやれ、全く。


どこのどいつがこんなところまでやってきたんだか。




そう思いつつ、俺は玄関に向かい、扉を開けた。


そこにいたのは、懐かしい面々。




「よっ」




「来ちゃった」




「ほいさっさのさ!!」




 玄関で出迎えた俺に対して、気安く声をかけてきたのは――




「お前らか……何をしに来たんだ?」




 ウホイのいた居城をぼっこぼこのうっほうほにしてくれた変な三人衆こと勇者一行だった。




「何をしに来たとは、これまた冷たいな」




 おんぎょほわはー! と楽しそうに笑い、白い歯を見せるユーシャ。




「そうよ、せっかく遊びに来てあげたっていうのに」




 この間の露出度抜群の衣装からは一変した、清楚なセーラー服姿の可憐なオンナー。




「もりっともりっと! 我が輩はうん○だ!」




 自称○んこのアーチャーだったかランサーだったか斧使いだったかもうすでに思い出せないうんこがそう言った。




「……とりあえず、家に入るか?」




「「「うん(こ)!!!」」」




 俺の言葉に、三人は大きく頷いて返事をしたのだった。


 そして俺は魔王城の一室である自室に彼らを招き入れた。




「あらあら、お友達が来てるんなら言ってください、魔王様」




 部屋の様子を見に来た母ちゃんは、そう言ってポテトチップス(コンソメ味)と人数分のカルピス(濃いめ)を部屋に差し入れてくれた。




「いいなー、魔王ん家は。クロナさんは美人だし。カルピスは濃いめだし。あーうらやましいなー」




 ユーシャが母ちゃんでありクロナであるクロナが出て行ったドアを見ながらそう言った。




「私たちのとこは、カルピスって言うよりちょっと白っぽい水みたいなのしか出てこないものね」




 オンナーが苦笑いを浮かべて言う。




「おほい、おほほい、うんこっこー!」






 そいやっ! 






「さて、それじゃ何して遊ぼっか?」




 俺は三人に向かって脇で屁をこく遊びをしながら尋ねる。


 爆笑する三人。




 彼らは一頻り笑ってから、




「折角だし、みんな……クロナさんや他の三姫臣も含めて、ゲームでもしようぜ」




 ほう……この世界にも、ゲームがあるのか。


 娯楽などスマホのポチポチゲーか梱包材のプチプチか位のもので、乏しいものだと勝手に思っていたのだが、以外と文化レベルが高い。




「へー、いいぜ。ちなみに、どんなゲームなんだよ」




 俺が問いかけると、少年のような笑みを浮かべたユーシャが答える。




「聞いて驚くなよ、VRMMORPGの超人気タイトルだ」




「ど、どっひゃんえぇぇぇえええ!!!!!」




 俺は驚愕を隠せない。




「それって、もしやあの……」


「そう、何を隠そう【せいやっ! あらよっと! オンライン】のことさ」




「あの【せいやっ! あらよっと! オンライン】のことか!! ……お前まじで一回死んだ方が良いよ」




 俺は屈託のない笑顔を浮かべつつ中指をおっ立ててそう言った。


 やれやれ、全く……といった風に肩を竦めたクソことユーシャ。




「ま、一回やってみましょうよ。きっと、面白いわよ」




 オンナーが上目遣いで言う。可愛いから言うとおりにすることにした。




「【余の命に従えオーダー】、来たれ三姫臣とハナよ」




 俺はマントをバサッとしてちんち○をポロリンチョ・ポロン・ポロリーナしながらかっこよく、それはもうかっこよく言った。




「……も、もう! バカッ!」




 照れながらオンナーが言った。


 あーっ、多分これ俺に惚れたわ。




「御心のままに、我が主マイ・マスター」




「お呼びでしょうか、ご主人様」




「さすが、魔王様ね」




「うおー! だぞー!」




 三姫臣とハナクソバカどもが、俺のグランド・オーダーの効果で現れた。




「ゲームしようぜ、よいしょー!」




「「「おー!!!」」」




 わっしょい!


 アオイ以外の三人がノリノリで返事をするのだった!




「なんかアオイっち、ノリ悪くなーい?」




 俺がチャラ男っぽく(実際は質実剛健を絵に描いたような男である俺は断じてチャラ男ではない。質実剛健男だ)言うと、だ。




「それハラスメントですから。やめてくれません?」




 普通にいやそうにしてた。




「あ、ごめん……」




「今後二度とないようにしてくださいね」




 俺は怒られたのだった、トホホ……。




「じゃ、実際にこのゲームを遊ぶプレイヤーを決めるか」




 そう言って、ユーシャがジーパンのケツポケから取り出したのは、フルフェイス型のVRダイブマシン、「ゲームフェイス」だった。


 シンプルな名前であり、開発者はきっとネーミングセンスがないのだろう、と思った。




 あと、「それケツポケから取り出すの無理あるよね?」とも思った。




「私とユーシャとこの……なんかキモいの(一人でぶつぶつうんこうんこ言いながらにやにやしているアーチャーだったかランサーだったかのこと)はダイブ中のみんなに異常がないか確認しておくから、魔王達でダイブしてみなよ。初めてなんだし、初心者同士でやったら、きっっと楽しいよ」




 オンナーが太ももをチラ見せしながら言う。


 はい、エッチスケッチワンタッチ。




「うーん……この」




 なんかキモいのが言った。




「よし、それじゃお言葉に甘えて……」




 俺とクロナとアカリとハナは、同時に「ゲームフェイス」をかぶる。


 ちなみにこのとき、アオイは俺のことを軽蔑したまなざしで見ているだけだ。




「ゲーム、スタート……っ!」




 と俺が呟く。なんとなく呟く。呟く必要性は皆無だが、呟いてやった。




「アイタタタ……」




 そんなアオイの言葉が聞こえた。


 ……こいつちょっと調子乗りすぎだわー。魔王様敬ってないわー。


 そう思いつつも、意識は自然とゲームへと没入していくのだった。

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