伝説の最強魔王に転生したおっさんは、勇者を蹂躙したのでのんびりスローライフを送りたい

【世界一】超巨乳美少女JK郷矢愛花24歳

序章

 ――レベル6の勇者。


 それは、人類が保有する最高戦力。


 生まれつき強靭な肉体と膨大な魔力を有する魔族といえども、彼ら彼女らの前では赤子も同然。

 容易く屠られることとなる。


 そのレベル6の勇者の中でも、最強と称される5人がいた。

 

 それぞれが最も得意とする【元素魔法】に由来する称号を持つ5人だ。


 【灼熱】のグラン

 【氷冷】のレイリー

 【雷迅】のユーコ

 【疾風】のウェス

 【金剛】のベディ


 5人の勇者はいつからか【|元素の勇者(エレメント・ブレイブ)】と呼ばれ、数多の戦場を駆け巡り、


猛る焔で。

絶対の零度で。

荒ぶる雷で。

疾く嵐をもって。

人外の膂力を振るい。


 数え切れないほどの魔人に対して蹂躙を尽くした。


 彼らの前に敵はなく。

 ただ無残な敵の躯が転がっているだけだった。


 人類の砦、希望。

 彼らがいれば、人類が滅びることなどありえない。


 ――そう、誰もが思っていた。



「……全滅? 私たち【|元素の勇者(エレメント・ブレイブ)】が?」


 

 ありえない。

 あってはならないはずだった。


 【迅雷】の少女は、目の前の光景が信じることができず、ただ茫然とつぶやくことしかできないでいた。


 なぜ?

 どうして?

 みんなが何も言わずに横たわっているのは……一体、どういうことなの!?


 分からなかった。

 答えを教えてくれるものなんて、誰も。……いや、一人だけ、いた。


「あんた、一体……何者なのよ!?」


【迅雷】の少女は問う。

 これまで感じたことのない、根源からくる恐怖を押し殺しながら。


 その言葉を聞いた、レベル6の勇者を蹂躙した男は、身に纏う黒衣を翻してから、ゆっくりと口を開いた。


「余は魔王。人を滅ぼすために蘇った、この世全ての頂点たる存在だ」


 まるで呪詛のごとく紡がれる言葉に、少女は既に言葉を返す力もなくしていた。


 怯え、震える勇者の少女を、魔王はチラリと一瞥した。


 そして――




(っべー……俺、スローライフ送りたかっただけなんだけどさー、……どうしてこうなった!?)




 ――と、誰にも悟られることなく。


 伝説の最強魔王……に転生したおっさんは、そう思ったのだった。

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