第43話:新たなメンバー

 結局遥に応募者を絞ってもらっても、まだまだ数が多く、僕は困惑していた。



「えっと……、こんなにいるの?」


「はいっ。さすがに経歴を見る限りだと、これ以上絞ることができなくて……」


「あははっ……、たくさんなのー」


「おっ、しっかりSランク冒険者もいるな」




 僕たちは遥が選別してくれたメンバー候補を眺めていた。

 下は子供から上は老人。

 冒険者から学生、他にも自宅警備員などが参加している。


 本当に多種多様にわたる人たちだ。

 それこそ、全員を集めたらこのダンジョン前に町が一つくらい出来そうなほどに……。


 いや、それはそれでいいかもしれない。




「遥さん、一つだけ質問が――」


「良いと思いますよ」


「まだ何も言ってないよ?」




 即行で遥が頷いていたので、僕は思わず苦笑を浮かべる。




「このダンジョンの前に町を作るって話ですよね?」

「うっ……、た、確かにあってるけど……」

「お兄ちゃんってわかりやすいよね?」

「うぅ……」

「そこが奏さんの良いところですけどね」

「うぐっ……」

「んっ? 何がわかるんだ? 奏はもっと鍛えた方が良いな」

「僕の味方は秋さんだけだよ……」



 思わず秋さんに抱きついてしまう。

 すると、彼女は少し慌てふためいていた。




「な、なんだなんだ? いったいどうしたんだ?」

「秋さんだけが僕の味方だよー」

「エリシャもお兄ちゃんの味方だよー」

「照れた秋を見れるのは珍しいですね」




 それからしばらくわちゃわちゃとやり合っていた。

 でも、大まかな方向性は決まっていた。






 それから遥の選んでくれた人たちに連絡をとっていた。



 僕のダンジョン前にお店を開いてもらうこと。

 その内容は問わないこと。

 ダンジョンには先に入ってもらっていいこと。



 あとは細かい規定は遥が定めてくれていたので、僕は本当にやりたいことを伝えるだけで良かった。


 ただ、深刻な人手不足であるエリシャの宿の従業員だけは別途募集することになっていた。


 もちろん個々の家はDPで僕が用意する。

 ……うん、なかなか手痛い出費だった。


 それでも、表の街も僕のダンジョン、ということになっているので、そこが繁盛してくれると、必然的に僕のDPも溜まっていく。


 結果的にプラスになることは優に想像がついた。

 だからこそ、僕は先行投資として、たくさんの家を作ることを決めていた。


 もちろん人がたくさんきたことでのトラブルも起こるだろう。


 でも、そこはうまく遥がまとめてくれるだろう。


 ――あれっ? 僕の仕事は?


 結局やること全て任せきりになっている気がして、僕は頭を悩ませることとなる。

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