第40話 のけ反り寸止めグラインド

 耳元で脳まで響くように囁かれてしまった。

 その声音だけでも艶かしい。


 学校一の美少女に今から耳を舐められる。

 考えるだけでむくりとテントの高さが変わる。


 耳にかかる吐息。

 有菜の桜色の唇から出ていると意識してしまい、背筋が震えた。


 そのまま舐められるかと思ったら、思考が蕩けるような問い。


「ねぇ、両方の耳だよね……?」


 両手の指全てを絡めた恋人繋ぎにお互い力が入った。

 俺はただただ耐える為、有菜の方はきっと恥ずかしさを我慢する為なんだろう。


「む、無理するなよ……」


 俺が心配してそういうと、右耳が柔らかいものに包まれた。


 ────はむっ……れろっ。


 耳孔を震わせ、鼓膜まで直接的に響く音。

 強烈な刺激で悶絶した。

 息が勝手に荒くなる。


「──ッ、はっ……はっ」


 アオの時みたいに急にされるのとはワケが違う。

 直前まで意識させ、敏感になっているところを責められる。

 もう倍返しは十分だ。


「やっば……私、Sエスっ気ある。今自覚しちゃった」


「知ってたし、だからもうい……」


「だ〜めっ。ちゅ……んっ、れろ」


 同じ右耳でも今度は耳たぶの裏側を舐められた。

 ゾクゾクして思わず足先の指を動かすが、何の意味もなく。

 更に我慢する為に、恋人繋ぎの両手にこれまで以上の力が入った。


「勇緒……手痛いって」


「あ、ごめん」


 加減出来なかったらしい。

 繋がった手は離れ、自由になった。

 有菜は俺の耳元から顔を離し、馬乗りの体勢に戻り、跨る位置をずらした。


 赤いミニスカートの中は見えないが、柔らかい感触が俺の腰に伝わる。


「う、そ……なんか当たってるし」


「やばいやばい、まじでダメだ!」


 反射的に両手を前にし、上から退いてもらおうとした。

 しかし、それはグレーの果実を2つとも掴んでいて、


「…………えっち」


「あっ」


 柔らかい。

 谷間の汗、熱く湿った水分が布越しに伝わってくる。


 次に彼女の身体ではない硬さにも気づく。

 俺の手とキャミソールの布、その間に挟まるブラジャーだ。

 このリアルな感触さえも全て覚えてしまうだろう。


 さっきの「えっち」と発した声は、余裕はなかったように感じた。

 有菜は紅潮した顔を浮かべながら、目を細めてちらちら俺の方を見ている。



「急にされるのは……ちょっと恥ずかしいんだって」


 そして、胸揉まれた手から逃げるように背中を退け反らせた。

 その体勢の変化にまた、俺のものが擦れてしまう。


「う゛……」


「あ、ああっ……。か、角度がやば……こすれ」


 有菜も何かが擦れているらしい。

 気づくと俺はまた、無意識的におっぱいを揉んでしまっていた。

 それも刺激に我慢する為に指が食い込む程、力強く。


「────ひぅ……もうぅ!……はぁ、はぁ」


 彼女の両手はベッドに仰向けになっている俺の膝の横あたりに置き、完全にのけ反った姿勢になってしまっている。


 下から眺める有菜の上半身は肉感的過ぎる。


 珠の汗を綺麗な白い首に垂らし、グレーのキャミソールは更に黒く染みている。


 ボディラインがモノトーンカラーでくっきりと露わになっている。


 既に乳房から両手を離してしまったが、思わず人差し指でなぞりたい。


 それほどまでに強すぎる劣情に襲われた。

 これまでの人生の中で一番強い、肉体的欲求。


 本能的な感情に支配されそうになるが────。


「た、頼む……動かないでくれ」


 嘆願するように言ったが、期待したような反応は一向に来ない。

 有菜は身体を反らせながらも、顔を上げてじぃっとこちらを見つめている。


「…………ふ、ふぅ。どうしよっかな」


「これ以上やったら、その……保たないというか出るというか……」


「へぇ〜、出る? これ以上したら出ちゃうんだ」


 言わなければよかった。

 彼女の瞳が玩具を見つけたようにキラリと光った。

 もうSであることを自覚してしまった幼馴染はどう出てくるか分からない。


 勢い余って、付き合う前に身体が先になってしまうことだけは阻止するんだ。


 ここは開き直って、強気で行くしかないだろう。


「あぁ! そうだ! だからストップ……!」


「ふぅん? じゃあ腕を私の背中に回して、ぎゅっと動きを止めて」


 そう言い、反った身体をまっすぐにした。

 またお互いに刺激が来る。


「……ぐっ、やめろって有菜」


「う……あ。お、思った以上にベスポジ……すぎ」


 そのままゆっくりと、寝ている俺に身体を密着させてきた。


 シャンプーの甘い薫香にまた、クラっとしてきた。

 そろそろ、限界が近い。

 どうすることも出来ず、言われたまま俺は彼女を強く抱きしめた。


「こ、これで許してくれって!」


「…………はぁ、待って。今すっごい幸せなの」


 喉の奥からでたような、とろんとした声。

 がらりと変わった印象に思わず驚く。


「はっ?」


「……大きくなってから初めてハグしてくれた」


 今はそれどころじゃない。

 別のところが大きくなり過ぎてる。


「そ、そうだな、はは。倍返しはとっくに済んだと思うし……そろそろ、な」


「う〜ん。まだ済んでない……よ? フラグへし折ってないし。でも勇緒のおかげで落ち着いたから、続きは実況かな」

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