第10話 自宅にて

 ガラッと開いた扉の音にビックリして飛び起きる。そして、勢いよくカーテンが開く。

 するとそこには般若はんにゃのような顔をした碧が立っていた。




「ど、どうした?あおい。」


すぐるくん私の言いたいことわかるよね?」


 そう言うと碧はこちらに迫ってくる。

 碧は昔から、怒ると人が変わったようになる。今もそうだ。


「わ、わかるさ。俺が授業サボってここで寝てたからだろ。でもさ、その原因は碧なんだから多めに見てくれよ。」


「そ、それはそうだけど。私、傑が陰キャとして皆に見られてるのが嫌なの!傑には陰キャから脱出してもらうから!」


「そ、そうか。頑張ってみるよ。」


「うん!それじゃあ教室戻ろうか。」


「そうだな。そろそろ戻るか。」


 そして俺たちは教室に戻る。

 教室に戻る時は、当然他の教室の前を通る。すると、ほとんどの生徒がこちらを見ている。当然だ。彼女は他校でも噂されるほどの美少女だからだ。


 その視線のほとんどは碧に向いている。しかしら一部の視線は俺に向いている。

 おそらくなんであんな陰キャが?とか思っているのだろう。

 しかし、碧がいるせいで掛けられないのかはわからないが声はかけて来ない。

 

 そして教室の前に着く。

 ガラッと教室の扉を開く。そして碧と隣同士なので一緒に席に戻る。

 

 すると・・・


「よぉ傑。お前篠崎しのざきさんと幼馴染なだけって言ってたよなぁ。なんで一緒に戻ってくるんだ?」


 修一が前のめりになって聞いてくる。やましい事は何もないが。。


「保健室に起こしにきてくれたんだよ。」

 

「ほぉ.....羨ましいな。幼馴染ってのは。」


 そしてチャイムがなり授業が始まる。一時間でも寝たせいかその後の授業は全く眠くならなかった。


————下校時刻


 

 終礼が終わり、帰宅する。

 今日は修一しゅういちは野球、わたるは家の用事で帰った。そのためいつも通り碧と下校した。


 今日の帰り道もほとんどの生徒が碧を見て振り向くというような事が起きた。

 そして、俺にもまた視線が集まった。そろそろ皆も慣れてほしいものなのだが、まだ三日だから仕方ないのだろう。


 その後分かれて各々の部屋に入る。そしてシャワーを浴びる。

 今日は徹夜でイベントをする予定だ。なぜなら碧が転校して来た事で忘れていてイベントをあまり進めることができていないからだ。


 そして、こう言う時のために買っておいたカップラーメンを作る。カップラーメンは三分が目安となっているが俺は二分が美味いと思う。

 ただ、麺が少し硬い事があるため硬い麺の方が好きな場合はこれをオススメする。


 そしてラーメンに湯を注ぎが出来るまでの間にパソコンの電源をつけ、MSO (通称:マスタリー・センス・オンライン) を開く。


 そして起動した頃にはラーメンが完成しているので蓋を開け、食べる。


 俺はあまり出来てない割には二位という順位をキープしている。理由は簡単だ。

 効率的な立ち回りでイベントをこなしているからだ。しかし、現在はBLUEが一位を走っている。このままではいつもどおり二位になってしまう。

 だから今日は徹夜だ。


「ん?なんだこれは。」


 パソコンの通知が来た。するとそこには現在一位のBLUEからのメッセージだった。


「スグサキさんパーティを組みませんかだと?」


 スグサキとは俺のプレイヤー名だ。傑と崎でスグサキだ。

 このゲームはパーティを組む事ができる。しかし、俺は今までソロプレイだったからパーティを組んだ事はない。

 それはBLUEも同じ事だろう。あいつも始めたころからソロプレイヤーだった。

 そのためBLUEからパーティについてのメッセージが来て驚いたのだ。


「まぁいい。一位の戦闘を見る機会なんて滅多にないしな。」


 そしてパーティ申請を受諾した。

 パーティで戦闘を行う際には、コミュニケーションを取るためにもボイスチャットを使う事が一般的だ。


 そのため少し待ってもらい。こんな時のために用意しておいたマイク付きのヘッドホンを準備する。


「BLUEさん初めまして。スグサキです。よろしくお願いします。」


「スグサキさん。初めましてBLUEです。パーティ申請の受諾ありがとうございます。よろしくお願いします。」


 俺はこの声を聞いて驚いた。まずBLUEは男性プレイヤーと思っていたが、女性プレイヤーだったのだ。

 そして、この声は妙に聞き覚えのある声だった。その声の主はすぐに分かった。最近よく聞いている声だからだ。


 しかし、人違いだと困るので敬語で書くことにする。


「つかぬことをお聞きしますが、名前は篠崎碧しのざきあおいさんですか?」


 すると・・・


「えっ!?なんで知ってるんですか?」


 その言葉で確信した。BLUEというプレイヤーは幼馴染の篠崎碧なのだと。

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