付記 イノセントワールド

 読ませて貰った、堪能したと言っていい。

 実はすこし前、ひ孫から勧められしかし積んであったものを、つい先日、偶然話した幼馴染からも猛然とプッシュされた。

 騙されたと思って、とまであっては、手元にあった書を開く以外にない。

 今の時代に産まれ、なるほど、よく調べ、考え、纏めてあった。

 まさか当事者の手に自分の作が届くとは筆者も、思いも願いもしていなかろうが。

 地球連合航宙保安局情報室資料編纂室室長代理。

 航宙情報の生き字引、と持ち上げられたときもあったか。

 なつかしい。

 朋を月に見送り地球に残った自分にも、それは色々あったさ。

 一番は間違いなく、孫が情報本部長まで一大出世を遂げたことだろうかな。

 地球光が前倒しで開始されたときには、それは慌てたものだ。

 だって、こっちの準備は何も無かったからね。

 それから孫を一晩掛けて説き伏せたり、こっちはこっちでばたばた動き廻った。

 なんとかやり切った。

 多くの助けもあった、天の助けだ。

 太陽から駆け付けた援軍には、ああ、感動したね。

 正に天の加護を得た思いだった。

 天意に即していたのだろう。

 歴史に必要とされたのだろう。

 我々は、幸運にも。

 この若造も自分の配役を佳く心得ているようだ。

 今の時代。

 総てが成し遂げられ、不可能とも思われなくなったこの時代。

 極めたからこそ閉塞し、衰亡を予感させる今。

 ああ、こうした希望は、有難いものだ。

 次の時代を切り開くのは常に。

 若い希望、それなのだ。


                                 Fin

 


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