「グール」

「奴らが食うのは死体だけさ。つまり、生きている内は大丈夫ってことだ」

 ――死体漁りのエヴァン、最後の言葉


グールが食べるのは動物や人間の死体、その腐った肉だ。

しかしあの怪物たちが自ら食料を調達できると知っている者なら、それが生きている人間を襲わないという意味ではないこともわかるだろう。


あの奇妙な二足歩行の怪物は主に、戦場や墓地、野盗に襲われた村などに現れる。つまり死肉のある場所にさえ近づかなければ、数日放置された死体のような醜い顔を見ることも滅多にない。

大型の種は特に危険で、鋭い爪と牙は馬を引きちぎり、金属の鎧すら容易く切り裂いてしまう。怪物用の装備がないのなら、無謀に挑むより逃げる事をおすすめしておこう。その場合、怪物の足の速さは君が思うものの五倍はあることを心に留めておくといい。


人は長らくこの生物と付き合い続けてきたが、その生態についての詳細はわかっていない。この怪物がどこから来て、どこへ去るのか。何から生まれるのかさえ、いまだ明確な答えは出せず調査が続けられている。

人がグールに変わるという噂もあるようだが、学者たちからすればそれは、くだらない与太話でしかないようだ。

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