だれもいない部屋

(木造の長屋。古い窓から日差しが差し込んでいる)


(きわめて詳細な村の地図が壁にかかっている。その上に何枚もの紙が貼られ、各建屋の詳細な見取り図が描かれている)


(作業机に道具が散乱している。巨大なノコギリ、錆びた鉈、手製のボウガンや手りゅう弾のようなもの。複雑な文様が描かれた札が数枚)


(たくさんのスケッチ。おぞましい化け物が描かれている。子供の落書きのようなものから、紙が新しくなるにつれて写実的になっていく。最終的には写真と見紛う出来栄えの物ばかりになっている)


(化け物のスケッチは、大半のものが真っ赤な「×」で塗りつぶされている。バツ印がついていないスケッチは作業机の上の地図に重ねて置いてある。地図には乱雑な字で「長老たちがにげた先」「県道?」などと書かれている)


(床に落ちている一枚の紙きれに、強烈な筆圧で文字がつづられている)


「にがさない」

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