Chapter17.なりたい自分

GM:一方、時は前後してレド、ルカカフィーネ、ナージェンカのチームの描写をしていきます。シャロウアビスに落ち、歪な島へやってきた皆さんは現在この島の上層にいます。


ナージェンカ:翼で勢いを殺しながら落ちてきます。

ルカカフィーネ:首につかまってるので同じく。


GM:皆さんが周りを見渡すとそこには、レドと同じ装備をした逞しい人間男性がいます。ウサギ耳が生えています。


ナージェンカ:人間なんだ…!?


GM:また、美しい銀髪をなびかせた、長身に豊満な胸のエルフのおとなのお姉さんがいます。


ナージェンカ:みんなおっきくなりたいんだなあ…!


GM:そして鱗が虹色の光を秘めたリルドラケンがいます。彼女は色しか変わってないのでナージェンカだとすぐわかります。


ルカカフィーネ:「あら、あなた誰かしら?」ナージェンカの首を離してレドに話しかけます。

レド:「俺はグフルミアという村の冒険者レドだが。いや!そこにいるのはちょっと派手ではあるがナージェンカか?」


ナージェンカ:「そ…え…レド?」ルカカフィーネとレドを順番に指差します。

ルカカフィーネ:「ナージェンカあなた色が変わったわね…?そしてレドはそんな見た目じゃないわ!だってレドはタビットなのよ!」


レド:「たしかに…!腕が長い!…いや!足も、胴も長いぞ!どういうことだ?」


ルカカフィーネ:「言われてみれば私もちょっとだけ身長伸びたかも?」ふふーんと豊かな胸を張ります。


レド:「いや、お前がルカカフィーネだというならば随分変わっていると思うぞ」

ルカカフィーネ:「ちょっとだけ身長は伸びたかもしれないけどレドほどじゃないわ!」豊かな胸を張ります。


ナージェンカ:「えと、ここがさっき見てたシャロウアビスでいいの?シャロウアビスって…こういうもの?」

レド:「シャロウアビスはとにかく得体の知れないおぞましい空間で、そこがどんな空間でなにが起きるかは個々で全く異なるんだ。時間の流れが違うところや、物理的なルールが通用しない場所、そしてこんなところもあるようだな」


ナージェンカ:「へえ〜…!」と目を輝かせます。その目の奥にもオーロラめいた虹色の光りがあるかもしれません。


GM:ここで2D6+冒険者レベル+知力ボーナスで判定をお願いします。アイデアが閃くかどうか、という感じですね。


ナージェンカ:7!

レド:15!

ルカカフィーネ:19…!


GM:ではレド、ルカカフィーネは冒険者としての経験からこれはシャロウアビスの生存戦略のようなものだと考えつきます。この中でだけ望む姿になれるのであればアビスコアを破壊してシャロウアビスを消滅させようという気が起きにくくなる。


GM:自分たちの姿に魅力を感じてしまっていることに気づき、これこそがシャロウアビスの策略なのであると思い至ってください。


レド:俺はタビットの神になると言いつつ心のどこかでは人間のような姿に憧れていたんだなとちょっと寂しくなります。

ナージェンカ:あっ、あっ…!


レド:「ともあれルカカフィーネ、お前の目でバイナルやヴォックスたちの姿は見えないか?」


GM:ではルカカフィーネは2D6+スカウトかレンジャー技能+知力ボーナスで判定してください。


ルカカフィーネ:はーい、あっ1のゾロ目(自動失敗)が出ました…!


GM:なにもわかりません。

ルカカフィーネ:「何もわからないわ!」

レド:「…よし、死体がないなら上出来だ」


ナージェンカ:「…きっとハルーラ様がボクに教えたのはこのシャロウアビスなんだ。ということは、ボク達がここにいることにはなにか意味があると思うんだ」


レド:ほう…。


ルカカフィーネ:「あっ、ねえ!あそこに塔があるじゃない?アビスコアはきっとあそこにあるに違いないわ!」



GM:では皆さんは上層からそこにそびえる塔に向かい、問題なくたどり着きます。この塔だけは元の島には全くなかった建造物だと感じられます。

ナージェンカ:ということは怪しいということだ…!


GM:ですね、では中に入っていくでいいでしょうか。

レド:そう…ですね。


GM:中に入ると石造りの吹き抜けの空間になっています。螺旋階段があるだけで1階にはなにもありません。

ルカカフィーネ:なにかあるまで登ってみましょうかね。


GM:最上階へ登るとひらけた空間があり1体のドラゴンがおり、7色に輝くアビスコアを抱えるようにして眠っている。【魔物知識判定】をお願いします。


レド:げぇーっドラゴン…!10が出ました。

ナージェンカ:12!

ルカカフィーネ:14!


GM:えーと、知名度15なので…わかりません!幼いドラゴンだなあと思ってください。それでもラクシアのドラゴンは結構大きいけどね。


レド:「ドラゴンにしては小さいが…」

ナージェンカ:「にしたってボクより大きいよ…!」


GM:シャロウアビスの空間が歪み。小型の魔神インプが生み出されます。(シャロウアビスは魔神を生み出してアビスコアの番人とする性質がある)


GM:しかしその気配に気付いたドラゴンが目を覚まし、爪によってインプを一撃で葬りそしてまた眠りにつこうとして…、視界の隅にいるあなたたちに気づきます。


ナージェンカ:「…はじめまして」指をひらひらとさせながらドラゴン語で話しかけます。


ドラゴン(GM):「何者だ貴様…」とドラゴン語で返ってきます。


ナージェンカ:「私は移動書房希望の星店主ナジェズダ・ダヴィードヴナ・ヴァレリエヴナ・サハロヴァと申します」

ドラゴン(GM):「名前が長いわ…!」

ナージェンカ:「ははっ!」


ドラゴン(GM):「消し炭にされたくなければ立ち去るがよい…我は眠るのに忙しいのだ」


GM:ここで取れる選択肢はあまり多くありません。1つ目はドラゴンと戦って頑張ってアビスコアを壊す。2つ目は立ち去る。3つ目は何かしら彼に交渉を持ちかける、というところでしょうか。


レド:情報も足りない気がするし無理に話しかけるより立ち去る方が無難かな?ちなみにこの部屋からは他の部屋に行けたり、屋上があったりしますか?


GM:特段この塔の中に調べられるような部屋というのはないですね。ヴォックスたちも見当たりませんので、彼らを探すなら島のほかの場所へ行くしかないという結論になるでしょう。


ルカカフィーネ:ならとりあえず出ますか。



GM:塔から出たあなたたちはあることに気付きます。それはまさに塔へ近づかんとする蛮族、先ほど湖の小島で見たワーウルフです。


ワーウルウ(GM):「よっしゃあ〜たり。アンタらは別に殺しても良いって言われてるから、思い切り暴れられるぜ」狼の獣人が首をコキコキと鳴らしながらニヤリと笑います。


GM:では戦闘です。【魔物知識判定】と【先制判定】及び戦闘準備をお願いします。


レド:急じゃんね!



ルカカフィーネが【魔物知識判定】に成功し弱点まで見抜くことができた。しかし先制は敵に取られてしまう。



GM:ワーウルフのデータは下記を参照してください!

◆レベル8 蛮族 ワーウルフ(基本ルールブックII p.381)

弱点:銀属性武器ダメージ+3


レド:では前に出て銀のツーハンドソードを見せつけるように構えるよ。【ビートルスキン】を使用して防護点アップ。



GM:エネミー、ワーウルフの手番です。


ワーウルフ:「ハハッ、悪く思うな。だが俺は人族を八つ裂きにするのが大好きなんだよォ!!まずはテメーからだ!!」とレドに2回攻撃します。2回回避してください。


レド:15と14!ワーウルフの命中が19なのでどちらも当たります!


レドHP67→54


GM:皆さんの手番です。


ルカカフィーネ:ブラッドランサムに銀の矢をつがえて【キャッツアイ】と【マッスルベアー】【牽制攻撃】を宣言します。命中力は〜(ダイスを振る)26!


GM:ぶち当たります!ダメージどうぞ。


ルカカフィーネ:16点ダメージ+銀の矢で弱点を突いて合計19点!「止まって見えるわね!」


ワーウルフHP73→63

さらにブラッドランサムの効果を受けて呪いのデバフを受ける(判定に−1)


レド:【マルチアクション】を宣言して自分に【ファナティシズム】を使用。命中+2、回避−2。銀のツーハンドソードで攻撃…15!当たらない!「ちっ!」


ナージェンカ:【キュア・ウーンズ】でレドを回復します…!行使判定が…あ!1のゾロ目(自動失敗)!


レド:「落ち着くんだナージェンカ、君ならできる」

ルカカフィーネ:「大丈夫よナジェズダ!あなたにできることに専念すればいいのよ」


ナージェンカ:「迷惑をおかけします…!」

レド:「お前には指一本触れさせないさ…!」


—2ラウンド目

ワーウルフの攻撃は2発ともレドに命中。更にワーウルフはビートルスキンで防護点をプラスする。

ワーウルフ:「遅い遅いおっそいなあ!!」


レドHP54→41


ルカカフィーネの粘着液の矢が命中し、ワーウルフの回避力が低下。更にワーウルフが呪いに抵抗したため5点ダメージを受ける。


ワーウルフHP63→47


ルカカフィーネ:「よし、さあレドやっちゃいなさい!」

ワーウルフ:「クソみてえなオモチャで戦いを穢すんじゃねえ人族が!」


レドは【プロテクション】で更に自分の防御を強化してから攻撃。

レド:「いつになったら八つ裂きにしてくれるんだ狼ちゃん?」命中!


ワーウルフHP47→37


ナージェンカ:「落ち着け…落ち着けば声は聞こえるんだ…」

ナージェンカの神聖魔法が成功しレドを癒す。


レドHP41→48


レド:「助かる!」


—3ラウンド目

ワーウルフの攻撃を1発だけ回避に成功。


レドHP48→42


ルカカフィーネの銀の矢は吸い込まれるようにワーウルフに突き刺さる。


ワーウルフHP37→26


ナージェンカの【キュア・ウーンズ】が最大値を出しレドを11点回復!


レドHP42→53


レド:「全く…これだから神官は」と笑いツーハンドソードで攻撃。ワーウルフは呪いに抵抗し回避を試みるが命中。


ワーウルフHP26→11


ルカカフィーネ:「ふふん、苦しそうな顔してるわね」


—4ラウンド目

ワーウルフの2連撃がレドを捉える。

ワーウルフ「ハア…!おらおら!ハァ…!楽しくなってきたなあオイ!?」


レドHP53→43


ルカカフィーネは再び粘着液の矢を放ち命中。

ルカカフィーネ:「これ…!高いんだからね!」


ワーウルフHP11→−1


ワーウルフ:「ゲッ…。嘘だろ…こんな奴らに俺、が…」



GM:ルカカフィーネの放った矢から粘着液が飛び散り、胸を貫かれたワーウルフはそのまま木に打ちつけられるようにして絶命します。


ルカカフィーネ:「ざっとこんなもんね」

レド:「ふう、良い連携だった」

GM:バランスの良いパーティだったね。結果的には余裕に見えるけど、誰かが欠けてたら勝ててなかったかもしれない。

レド:向こうもどうにか勝ったみたいだし、偶然にしては良いチーム分けになりましたね。


ヴォックス:死い〜。

門番:応急手当て成功してるから!


ナージェンカ:レドのHPを回復しておいても良いですか?

GM:どうぞ!


ナージェンカ:(ダイスを振る)では10点回復してHP50点にしておいてください。

レド:ありがたみ〜。


ナージェンカ:「はぁ、1体だけでよかったね…」

レド:「いや、ここにこいつしかいないのは非常にまずい…。ヴォックス達を早く探さなくてはいけない」

ナージェンカ:「あっ、そうか」


ルカカフィーネ:「いくらヴォルクシミリアンでも、無事ならここの塔を目指してきそうなものだけどね」

レド:「ううむ、動くべきかどうするか」



 蛮族の脅威を退けた3人は塔がある小高い丘で周囲を見渡した。どこを見ても奇妙な景色なのに変わりはなく、仲間の姿も見えない。


 ときおり上空ではバシャリ、と水の塊が現れ、パッと花火のように弾け、雨となって地上に降り注ぐ。


 いまや虹色に輝くナージェンカはバイナル少年の無事を祈る。あれだけ母親を、家族を愛する彼がどうか無事でいますように。

 そして故郷の父と、今はどこにいて生きているかもわからぬ母の無事を星の神に祈った。


 すぐ近くの空でバシャリ、と水の塊が現れ、そしてパッと弾けた。パラパラと歪な島に降る雨音を聴きながら、ナージェンカはふと思った。


 「ああ、水は雨になりたかったんだなあ」

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