Chapter5.星の下で

GM:さて、謎の冒険者たちの襲撃を退けたりしつつ、皆さんはフィノア大草原を数日かけて横断します。フレジア森林国の領地とおぼしき大森林の手前で象さんとは別れ、今日は野営をして、明日の朝に森へ入ろうということになりました。


ナージェンカ:野営するならコーヒを入れたいです!持ってきているので。

GM:良いですね、では日が暮れかけている夕食後という感じでちょっとシーンをやっていきましょうか。夜の野外だし、見張りなんかも決めなきゃいけないかもしれない。


ナージェンカ:「とりあえず6人分作ったけど…」と深煎りかつ濃いいいコーヒーを淹れて周りを見回します。飲む人ー?

門番:「ありがとうございますー」と受け取るよ。あったかい物はホッとするね。

レド:すん、と辺りに漂う匂いを嗅ぎながら「これは焦げてるんじゃないのか?」とこぼします。レドも一般技能で料理人を少し齧っているのだ。



【一般技能】とは冒険の役に立つ戦闘技能などと違い、キャラクターの趣味や特技や習慣などの設定を深めるために取得できる技能のこと。基本的にゲーム中に役に立つことはないが、仲間のキャラクターシートに書いてあると楽しい。



ナージェンカ:「…おいしいよ?」

ヴォックス:「なんかグツグツいってるぞ」

ナージェンカ:「おいしいよ?」2度言うぞ!


門番:「なんか…本格的、って言うんですかね、こういうの」見てます。

ヴォックス:「…お、ほら、フィーネとりあえず飲んでみろよ」

ルカカフィーネ:なにを期待されているかわかってしまった(笑)


ルカカフィーネ:「ふふーん。こんなの婆さまに淹れてもらっていくらでも飲んだわ!むしろ私の大好物よ!」…って飲んで…「うっ!」という顔をしますが、頑張って吐かずにゴクンと飲みます。

ナージェンカ:えらいな。


ルカカフィーネ:目に涙を浮かべながら「とってもおいしいです…」(全体的に濁音) と言います。

門番:えらいね…。

ヴォックス:「へっ涙目になってるのがバレバレだぜ!」

ルカカフィーネ:「おいしくて泣いているんです…っ、ばかにしないでください…っ」(全体的に濁音)


ヴォックス:「へっ、どーせばあちゃんに砂糖とかミルクをたんまり入れてもらった甘ーいコーヒーを飲んでたんだろぉ!…しかしこの一流冒険者、大人のヴォックス様はこれぐらいのコーヒーじゃないと飲んだ気にならねぇんだなあ〜」と言ってズズっと一口。


ヴォックス:顔がみるみる青ざめていきます。

レド:知ってたけど笑うわ。

門番:「ヴォックスくん、飲んでから言いなよ」

ルカカフィーネ:「ヴォルクシミリアン…馬鹿にしないでよね…私はミルクなんて飲まないんだから…!」ちなみにルカカフィーネは基本的に菜食です。

ヴォックス:「コッ…!」

GM:バイナルはそんな2人を見てドン引きしてます。


ナージェンカ:じゃあルカカフィーネ、ヴォックス、バイナルに「あ〜ごめんねえ、めちゃくちゃ深煎りにしちゃったから」

ヴォックス:「い、いや?全然?なんか、ウメェな。コクがあるというか…とにかくウメェ、コクがある…」


ルカカフィーネ:「うえ〜」

ヴォックス:「バカお前!結局吐いてんじゃねえか!オゲェー…!」

レド:お前ら…。

バイナル(GM):「へっ…だらしねぇな!こういうのは…!」と言って一息に飲み干し…。


バイナル(GM):「おかわりをたのむぜ…」と涙目でナージェンカに空のコップを差し出します。

ナージェンカ:お〜。

ヴォックス:化け物を見る目でバイナルを見ます。

バイナル(GM):「じぇんっぜん余裕だぜ…!」


レド:「まあそんなにたくさん飲むものでもないだろう。一杯にしておけ」

ナージェンカ:「そうだね、(バイナルは)見張りをするわけでもないし」


バイナル(GM):「…それにしても冒険ってのは案外キャンプみてーなもんだな。冒険者っていうからにはすげー冒険してんだと思ったけど歩いてるだけじゃねーか。まあ象は?ちょっと面白かったけど?」


ヴォックス:「わかってねえな、今回はお前がついてきてるからわざわざ安全なルートを辿ってやってるだけなんだよ!実際の冒険ってのはこうはいかねぇ!」

ナージェンカ:「これまではどんな冒険をしてきたの?」と身を乗り出します。

ヴォックス:「おっ、聞くか?そーだなぁ…この前なんか…」と言ってあることないこと語ります。

ナージェンカ:ないことも!?…とはいえナージェンカにはその区別はつかないんだなあ。


GM:焚き火をかこんで過去の偉大な冒険とか冒険者になった理由とかを語り合うかと思ったらまさかのコーヒーマウント合戦になっちゃったのいいですね(笑)



GM:では、夜がふけて2人ずつ交代で見張りをしていると…レドとナージェンカが起きているタイミングということにしようかな。だいたい夜中の0時くらい。


ナージェンカ:「レド、寝れたあ?」

レド:「おう。…どんな時でも寝れるのが一流冒険者だからなあ〜」と誰かの真似をします。

ヴォックス:(笑)

ナージェンカ:「へぇ〜!そっかあ、そうだよねえ」リルドラケンなので表情はわかりにくいかもしれませんが目がキラキラしています。


レド:「ナージェンカはハルーラ、様の神官ということは…やはり星に意味があったりするのか?」と夜空を見上げます。

ナージェンカ:「星?うーん…まあ分かることはあるよ」と言って持ち物の古書、父から分けてもらった12冊の本から星座の本を取り出します。

GM:おお、良いですね。では星座の本を見ながら周囲を警戒はしつつ2人は星空を見ます。


GM:で、今から起きるイベントに対してこれがめっちゃ正しい。めちゃくちゃいいので…。

ナージェンカ:ほう。

GM:本当は周囲を気にしすぎるあまり、空で起きていた異変に気づかない。能力値にマイナスをした状態で判定をしてもらう、という予定だったんですが。レドは【危険感知判定】、ナージェンカはプリーストレベル+知力ボーナス+2で判定を行ってください。


レド:タビットの種族特徴で【危険感知判定】を2D6+冒険者レベル+知力ボーナスで行います…20!

ナージェンカ:13が出ました。

GM:2人とも成功です。このコンビはいい組み合わせでしたね。


GM:ナージェンカとレドは現在地から北東の方角、森の上で一瞬きらめくもの見ます。そしてナージェンカはそれを見ればあることがわかります。



 2人が森の上空に見たきらめくもの、それはオーロラだった。

 ハルーラ神官であるナージェンカはすぐに理解したことだろう。

 実はオーロラというのは導きの星神ハルーラが見せる兆しのひとつなのだ。そしてそのオーロラは“奈落の魔域”シャロウアビスが出現したことを示している。


 奈落の魔域。約3000年前に失敗した魔神召喚の儀式がきっかけで出現した、人族にとって最大の災害のひとつである“奈落”。

 その奈落の飛び地のようなものとされ、出現する理由や理屈などは全く分かっていないが、場所を選ばず突如として現れるそれは真っ黒な球体の姿をしている。

 その球体の中は球体自体の大きさとは全く関係ない広さの異常なる空間が広がっており、迷宮化していたり、中から魔神が現れるなど周囲に超常現象を起こすこともある。


 内部に存在するコアを破壊すれば奈落の魔域を消滅させ、飲み込まれていた空間を元に戻すことができるため、冒険者に奈落の魔域の攻略が依頼されることもある。



ナージェンカ:ではその方角を見て目を丸くして、レドの肩をつつきます「見てみて!あそこ!」

レド:「む?」

ナージェンカ:「オーロラだ…奈落の魔域が近くにあるんだ…。この時間に起きててよかった」


GM:そして神官であるナージェンカは、ある根拠のない確信を得ます。このオーロラはハルーラ様が“あなたに”奈落の魔域の所在を示すために出したものであると。

ナージェンカ:なるほど…。神様の声が聞こえないレドには理解できない感覚でしょうね…。


ナージェンカ:「レド、信じてくれなくてもいいけど…多分、あのオーロラが出ているのはボクがここにいるからなんだ」

レド:「ほう…それは、神託みたいなことか?」

ナージェンカ:「そうかな…そうだね。何かしらの導きがあそこにあるんだと思う」

レド:「なるほどな…」と相槌をうち。


レド:「…いや、信じるさ。俺は神は信じてないが仲間は信じてる。でかしたぞナージェンカ」と称えます。

ナージェンカ:「……冒険者を長くやってるとそんなかっこいい台詞言えるようになるの?」

レド:「な、なに!?いや、それはどうだろうな…。…や、まあしかし。蛮族の襲撃とかではないのだし、奴らは時間通りもう少し寝かしておくことにしよう」

ナージェンカ:「そうだね。…正しいかどうかはわからないけど近くまで行ったら様子を見てみよう…みんなとも相談して」

レド:「ああ」


GM:ではしばらくすると次の交代要員の門番が起きてきます。

門番:「やあ、交代の時間だよ」

ナージェンカ:ではコーヒーをまた淹れてから眠りにつきます。


GM:門番モブいな〜。100点だな…。という感じで!皆さんの大草原での最後の夜が終わっていきます。

ヴォックス:レドかっこよすぎた。

ルカカフィーネ:かっこよすぎて笑っちゃったもんね。

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