第13話 手平町民大会決勝戦~VS雪野マフユ~③

『まるで、吹雪! ブリザード! その名ブリザードドラゴンの通りの氷の猛攻!! このままじゃ、コロシアムは凍りづけだ~!!!!!!』


――ワアァァァァァァ!!!!!!


 観客達の大歓声を背にブリザードドラゴンのスピードは上昇し続ける。

  やっぱり、氷の翼を発動してきたか!!

 氷の翼で放出される氷柱弾は触ると一瞬で凍りづけにされるだけで厄介なのに、スピードが上がれば上がるほど放出される氷柱弾が増えていくのも厄介!!


「脚部スキル・スピードローラー発動!! ムギ! 小判の盾を閉まって! 凍っている所を走るよ!」


【みゃ~!! みゃみゃ~!!】


「滑るからヤダ? 氷柱弾のせいでコロシアム中、凍りづけになる未来しかないんだから文句言わないの!!」


【みゃ~・・・・・・】


 不満そうな声を出しながら、渋々、ローラーで凍っている所を走る。

 案の定、転びそうになったけど気合いでカバー!!




『おおっと! ホノオ選手! ライガ戦でも使用したスピードローラーで今度は氷の上を滑る! 転びそうになってるが大丈夫か~?』


「ふん! 此処で負けたら承知せえへんで!!」


「兄さん、興奮しすぎやで」


「ちょっと待って、なんで貴方達、私達と一緒に観戦してるのよ」


 チヨのツッコミ通り、陣兄弟はチヨ達と共に観戦をしていた。

 ホビアニでは主人公との試合で負けたキャラが何故か一緒に主人公の仲間と応援しているという事はよくある(多分)ので疑問を抱いてもスルーして下さい。

 さて、話を元に戻そう。

 ライガは今にも飛びかかりそうな勢いで見ており、そんな彼をフウガが窘めているが一向に収まる気配はない。


「グルルルル・・・・・・、俺に勝ったんやから負けるなよ~」


「な、なんか、凄く興奮してるわね」


「兄さん、プライド高いお人やから。兄さんに勝った溫井さんが負けるのが嫌なんや」


「プライド高いは関係ない! 俺が勝った相手が負けるのが嫌なだけや!」


「兄さん、それがプライド高いって言ってるんよ」


「お姉ちゃんは勝つよ」


 ヒバナは真っ直ぐ、戦っているホノオを見ながらハッキリと言う。


「お姉ちゃんね、無茶するかもだけど頑張るってワタシに言ったの。だから、勝つ」


「僕もホノオちゃんが勝つと思ってるよ。昨日の準決勝より彼女は良い動きをしている」


 ヒバナに続いて長太郎が穏やかにホノオが勝つと話すとヒバナは嬉しそうに笑うのを見て、長太郎は笑みを深めたがライガはムッとした表情になる。

 自分と戦った時よりも良い動きをしていると言われた事が気に障ったようだ。

 兄の機嫌が若干だが機嫌が悪くなったのを感じ取ったフウガはそんな兄を宥めるのであった。


――あの子は気がついたみたいだ。この世界とが違うことに。これなら、に利用されないだろう。


 長太郎はそんな事を思いながらコロシアムへと視線を移した。




【みゃ、みゃ~・・・・・・】


「ムギ! とにかく逃げて! 今はそれしかないから!」


【みゃ~・・・・・・】


 ムギの元気がない。

 無茶ぶりさせているというのもあるけど、逃げ続けている今の状況に嫌気がさしている状態だ。このままじゃ、ムギの調子は下がる。

 氷柱弾から逃げているだけじゃ何も始まらない、何か何か行動を、考えないと!!


「逃がすか!!」


 氷柱弾が目の前に降り注ぐ。

 何本も氷柱弾が降り注いだ其処は氷の壁となって立ちはだかった。

 逃げ道を塞がれた! ヤバい!

 ん? いや、これは、あれを使えば!!


「左手スキル・のびーるハンド発動!! ムギ!! 一番上を狙って!!」


【みゃああああああ!!】


 ブリザードドラゴンが上空に飛んだことを考えて装備させたスキル、のびーるハンドを使う。

 その名の通り、自由自在に長さを変えられるハンドだ。これで氷の壁の一番上を掴んで。


「いい、ムギ。氷の壁の一番上を掴んだら・・・・・・


ブリザードドラゴン目掛けて飛べ~!!!!!!」


【みゃ~!!!!!!】

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