第6話

 雪野マフユに案内され、ロボ競技用フィールド、細かく言うと個人競技用フィールドへやってきた。


 スポーツだから個人競技と団体競技に分かれてるそうだ。

 テノヒラロボで野球とかサッカーみたいな団体競技とかやるのかな?

 ネットとかで見れるかな? 後で調べてみよう。


「おおおおおお~、これが競技用フィールドですか!! これは良いネタになりますね♪」


「でも、コロシアムとほぼ同じような気がするけど・・・・・・」


 パシャパシャと連射している桝ココミの隣で月下カイが真っ白なフィールドを眺めて疑問を呟く。

 丸いコロシアムから真っ平らになっただけのフィールドがそこにあるだけだ。


「フッ、このフィールドはこう使うのさ」


 自慢げに雪野マフユはフィールドに設置してあるモニターを操作すると、真っ白なフィールドから草原が広がる競技場へと姿を変えた。

 すっげ~・・・・・・、これが近未来の技術!!


「このフィールド1つに百いや千以上の競技データが入っているんだよ。モニターに入力さえすれば立体ホログラムとして出力されるようになっている。

 今、この技術は競技用フィールドにしか搭載されてないんだ

 だけどコロシアムにも搭載する話は出ていて今は開発している最中だそうだよ。

 もし開発されたら、是非! 溫井さんとバトルしたいね!

 綺麗な花畑いや海も捨てがたい、溫井さんのような美しい人ならどんな場所も似合うよ」


「は、はあ・・・・・・・・・・・・」


「それはそうとして兄様、溫井さんとはどの競技で対決するのですか?」


 キャラ崩壊してる雪野マフユに鋭く雪野さんが割り込む。

 さすがの雪野さんも今の雪野マフユは可笑しいと思っているのだろうか。

 いや、思ってる。今の雪野さんが雪野マフユを見る目はもの凄く冷たい。


「す、すまない、興奮してすっかり忘れる所だったよ。

 一番シンプルな競技・的当てにしようか」


 雪野マフユはまたモニターを操作するとフワリと浮かぶ色が付いた的を背に乗せた小型カメ型ロボが現れた。

 あのカメロボも立体ホログラムなのかな? 本当に近未来の技術って凄いな。


「ルールは至ってシンプル、色が付いた的を制限時間以内に当て点数が高い方が勝ちという競技だ。

 点数は赤い的は5点、青い的は3点、黄色い的は1点になっている。

 ただし、黒い的に当ててしまうと-2点引かれてしまうから黒い的には当ててはならない。

 どうだい、シンプルだろ?」


 うん、すっごくシンプルで解りやすいです。

 黒い的にだけ気をつければいいって事ね。

 これなら、アタシでも勝てる!!


「レディーファーストといきたい所だけど、お手本も兼ねてボクが最初で良いかな?」


「ええ、ゆきのく・・・・・・ 「ごほん!!」 ま、マフユくんが先で良いよ」


 雪野くんと言おうとしたら、割り込んで来やがった!!

 そんなに下の名前で呼ばせたいのか!?

 いや、貴方、そんなキャラじゃないでしょ!!

 雪野さんの冷たい視線がますます鋭くなってるような気がする。


「ボクとプライズの力を見せてあげよう」


 誇らしげにアタシ達に向かって御辞儀をして雪野マフユはダイブエリアへと入る。


 とうとう、お目見えすることになるのか。

 プライズこと雪野マフユの使用ロボ、主人公が使うホムラドラゴンの対になるロボ、その名は。


――ブリザードドラゴン。


 今、目の前のフィールドに青い機体のロボが舞い降りた。


――――――


「プライズ、久々の競技だけどいけるかい?」


『マスター、貴方のロボであるワタクシが失敗するとでも?』


「フッ、いや、失敗するなんて思ってないよ。ただ・・・・・・」


『ただ?』


「溫井さんにカッコイイところを見せたいんだ!!!!!!」


『マスター?』


 ブリザードドラゴンことプライズは思った。

 この人、こんな人だったけ? と。

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