第4話

 そういやアニメ版テノヒラロボ一期・第一話は主人公・ホノオがロボセンターで初心者狩りするヤンキーに立ち向かう話だったな~と現実逃避をしながら江良博士と雪野ハナに連れられトレーニングルームへと向かっている。

 雪野ハナが此処に居るのは叔父の江良博士に頼まれて来月ロボセンターで行う大会で使うコロシアム――テノヒラロボ同士が戦う場所の調整のお手伝いを頼まれたからだそうな。


 それにしても二日間みっちりとトレーニングか、コーチも添えて・・・・・・。

 これって流れ来てる? 主人公ルート来ちゃってる? これやばくない?

 アニメ一話はホノオがヤンキーに勝つために江良博士、雪野ハナの指導の元、特訓する話だ。


 そう、今の状況は一話と同じ状況!!


 目標である絶対主人公ルート回避が達成出来ない!!

 今からでも断るなんて事は・・・・・・。


『お姉ちゃん!! 頑張ってね!! ヒバナ、応援頑張る!!』


『ホノオちゃん、本当に本当にごめんにゃ。困ったことがあったら頼って欲しいにゃ』


 目をキラキラさせるヒバナとアタシを巻き込んだ形になった事を謝罪する寧々子さんを思い出す。

 断れない、これは断れない!!

 どうすればいい!? どうすればいいの!?


「あの、溫井さん?」


「は、はい!?」


「トレーニングルームに着きましたよ」


 考え込んでたら雪野ハナにトレーニングルームに着いた事を告げられる。

 自動ドアの向こうには真っ平らな巨大な白いステージ――コロシアムがあった。

 アニメやアーケードでしか見たことがない光景が目の前にあることに感動していると雪野ハナにチョンチョンと肩を叩かれた。

 そんなに優しくしなくても声をかけてくれれば良いのに、美人系だけど少し幼さが残る雪野ハナに肩チョンされると萌えの余り悶える自信がある、いや、今現在進行形で悶えてる!!


「溫井さん、奥の方のダイブエリアの方へ移動してくれますか」


「あっ、はい、奥の方ですね!!」


 悶えてたら少し怪訝そうな顔で言われてしまった、まあ、仕方ないよね。

 これ以上、怪訝な顔をされないように言われたとおり奥にあるダイブエリアに移動する。


 ダイブエリア。

 テノヒラロボはロボフォンを通して操作を行う、その為にロボと精神を通じ合わせなければならない、その事を『シンクロダイブ』と言う。

 そのシンクロダイブを行う場所がダイブエリアだ。

 此処でシンクロダイブをする事でロボ操作が可能となる。

 どうやってロボと精神をシンクロさせているのか? いや、それは解らない。解るのはシンクロダイブはテノヒラロボが発売される前からある一般的な操縦方法だという事ぐらいかな。


 ダイブエリアに入るとロボフォンとロボを設置する台が出てくる、其処にロボフォン、ロボホルダーからネコノコバンを取り出して設置するとアタシの周りに光の輪が取り囲むように現れ、意識が一気に引きずり下ろされる感覚がした。


「ん・・・・・・。此処はコックピット? って事は成功したんだ」


 目を開けるとアタシはコックピットに居た。

 アニメではシンクロダイブに成功すると仮想空間コックピットに飛ばされ、其処でロボを操る仕組みになっている、こうなると解っていたから驚くことはなかった。


『溫井くん、無事にシンクロダイブ出来たかい?』


「江良博士! はい、無事に出来ました」


『そうか、それならロボフォンの起動スイッチを押してくれ』


「はい、了解しました」


 目の前の操縦席の画面に大きく【起動】と書かれた文字に触れると目の前が急に明るくなり、景色が広がる。

 今、アタシはネコノコバンが見てる景色を見ているのだ。

 ただただ白いコロシアムを見ているだけなのに凄く感動している。


「わぁ・・・・・・」


『あっはっはっは! 感動してるみたいだね?』


「はい、感動してます。これがシンクロダイブなんですね!」


『そうだよ、シンクロダイブすなわちテノヒラロボと一体になるという事だ。さて、ハナくんも準備出来たみたいだ。初心者の君にとってキツいかもしれないが頑張ってくれ』


 最後にそう言って通信が切れるとアタシ、正確にはネコノコバンの前に雪の結晶を背負った兎型テノヒラロボ、雪野ハナが操る・ユキウサギが見えた。



※次回はバトル説明回になります

 

 


 



 

 

 

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