第43話 正真正銘

 例の倶楽部の真似事のような事をしたおかげで、唇周りは火傷しかけた。事なきは得たもののその後が食べにくくてしょうがない。麺かが唇に触れる度に少しヒャッってなる。美味しかったから良いんですけども。




 先輩と高瀬は俺にすごい勢いで謝ってきた。あれは、遊びの延長みたいなものだから仕方ないと思った。けど、二人に遊びのつもりなんて無く、真剣なようだったから尚更許さないなんて事は無い。純粋な善意が引き起こした事案だからね。



 そして会計を済ませた後のこと。



「平本君、本当にごめんね。」


「もういいですよ、そんなに謝らなくても大丈夫ですから。許しますって。」


「何かお詫びしようか?あ、そうだ。お詫びとして、今度ご飯とかご馳走するね?今度の日曜日とかに私の家に来ない?」


「お詫びとか大丈夫ですから!ね?」


「平本君もこう言ってますし、三輪先輩も大丈夫だとおもいますよ?僕は平本君を信頼して信じますけど……」



 中々嬉しい事を言ってくれるじゃん。高瀬もね、こういう所が人々に好かれるんだろうね。俺もその内の一人ですけども。こういう「」の部分が滲み出ているんだろう。



「っでも……平本君が言うなら仕方、ない、よね。」


「そうですよ。ここは従ってください。」


「んっ、はい♥️」



 いや、何かさっきの返事艶かしいな。

 何故?俺ってそんなに敏感だったっけ?いくら俺が今してるからと言ってそこまで……



 正直……今3日目だがかなりキツイ。俺、欲が強い方なんだろうな。



 特に夜とか我慢するのが大変だ。音楽とか聞いて誤魔化したりするけど、ふと糸が切れると一気に上がってくる。

 まあ、俺が敏感になってるんだろうな。



「じゃあ帰ろうか、高瀬は途中まで一緒だったな。いこう。」


「うん!」


「わ、私はここから歩きかぁ……」


「じゃあ先輩はまた明日、お疲れ様です。」


「もう、お疲れなわけないじゃん!じゃあまた明日ね!」







 ~三輪side~



 平本君って"S"なのかなぁ♥️



 "従ってください"って言われちゃった♥️

 そういう、ことなの……!?



 何だか、とっても嬉しいな。



 まだ行為に至ってないのに、もう至ったような……



 これだから……♥️





 それにしても、高瀬くんは何だか私を遮ってくる……




 どうしてだろう……



 まさか……



 いや……



 でも、それっぽい事はしてた……



 そのまさかってこと……!?




 じゃあ……標的に……

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