第34話 これが日常

 ~平本side~


 一時間目の数学Ⅰが始まった。


 朝っぱらからの理系科目は効くぅぅぅぅぅ。


 まだやってることは簡単だけどいずれ難しくなるんだよなぁ。ネットとか見てると、「中学気分で高校の勉強やってると死ぬ」って書いてあったもん。どんだけ難しいんだってな。でも教科書とか見てると訳わかんない事書いてるんだよな。なんだよsinって!!!



 そして3週間後には高校初めての中間テスト。


 教科数なんか多い気がした。


 数学Ⅰ、数学A、現代文、古典、英文法、英語読解、物理、化学、生物、日本史、世界史




 ?



 多い……



 期末になると副教科も入ってくるらしいな、は?


 これは今から勉強しておかないと間に合わないやつだ。華の高校生活ってなんだよ。何で漫画で登場する高校生たちはあんなにゆったりしてるんだ。例のヒーロー育成漫画は凄い忙しないけど他の日常系どうよ?


 あんなの中学生に叶いもしない夢を持たせるだけだぞ?




 ホント何てこったパンナコ〇タだよ。




 何て考えていたら一時間目は終わった。




 二時間目 物理


 力学って複雑過ぎん?こんなんセンスいるでしょ、個人の意見ですけども。


 そうだ、妄想でもしてよう!この苦痛を耐えられる!



 授業中にヤバい奴が侵入してきたら……


 殴り、蹴りは悪手かもしれないな。ナイフ持ってるかもだし。


 安パイはホウキで牽制しながら直接攻撃したい所だな。けど学校の道場に確か竹刀あったよな……


 いや!道場には竹刀どころか木刀、真剣まであったぞ!確か!いや、真剣は確か切れないんだったな……それって真剣なの?


 でもこれは過剰防衛になってしまうな……


 やっぱり自分の身の周りにあるものが一番良いかもな。


 第一候補がホウキ、第二候補は……


 机とか良さげじゃないか!?


 机の上を相手の方を向けてそのままタックルをする!

 けど視界が遮られるから危険だ、返り討ちに遭うかもしれない。


 ホウキで牽制し隙が出来たら机突撃デスクチャージ


 あと一個くらい技を用意しておきたい……





 よく考えれば俺ってアーチェリー部員じゃないか!?


 いや、でも弓を人に向けるのはスポーツマンシップに反する。これは駄目だ、体を貫いてしまう。


 じゃあ後何があるだろう……


 ロッカーとか軽々持ち上げて相手にぶん投げてやりたいけどそこまで力ないしなあ……飛び道具みたいに使えたらカッコイイんだけど。


 けどこうして考えるとラノベ主人公って凄いんだなぁ。


 拳一つでヒロイン守っちゃうんだもん、憧れるわ。空手とか習ったら強くなるんだろうか。武道とかやったことないからなぁ。けど今はアーチェリーで十分か、かなり疲れるらしいし。動かない競技なのにね、とか言ってたら先輩に怒られるから皆は言っちゃ駄目だゾ。



 三時間目 英文法


 最初の方はね、中学の復習かぁ~って思ってたんだけどそんなこと無かったんだよね。


 もっと深い所に踏み込んでいくみたい……


 は?


 英語の特殊な表現って一応語源みたいなものはあるみたいだけど、それを理解するまでは本当に厄介なものでね。


 ホントもうやーね。



 トントン


 隣の高瀬に腕を小突かれた。




 ~高瀬side~


 一時間目 数学Ⅰ


 さて、どうやって連絡先を渡そうか……


 平本君の機会を伺って……


 ど、どうして、平本君はあんなに頭を抱えてるんだろう……?


 あんなに頭を抱えて……え?


 そんなにショッキングな事があったのかな?


 じゃあ今日連絡先渡すのは控えた方がいいのかな……



 二時間目 物理


 もう少し様子を伺った方が良いかな。


 暗い顔をしていたりブルーっぽかったら止めておこう。


 やっぱり平本君を優先してあげたい。身勝手っていうか自己中心的な理由で人の心を乱したり迷惑をかけたりしたくない。そっちの方が平本君にも好かれるだろうし……多分。



 何か上を向いてる?大分、目が虚ろっぽいけど……


 と思ったら何か急にフフッってなった。


 え????????

 どういうこと……?


 いや、けど、何か大丈夫なのかな?


 さっきの暗い表情と比較したら良いんだろうけど……心情が読めない!


 もっとじっくり見ないと分からないかも。この時間は平本君観察の時間に当てたい!


 危ない人の発言みたいになっちゃった!変な意味じゃないんだけどね!真面目な意味で!本当に!ね!




 三時間目 英文法


 二時間目ずっと平本君見てたけど、たまにスン……ってなっては、フフッっていうのを繰り返していた。50分も全く僕の視線に気づかないほど何かに集中してたみたいだけどそこまでは分からなかった。


 けど僕の連絡先を渡しても問題は無さそうだって事は分かった。


 僕の作戦はこう。

 僕の目の前にはメモ帳がある。これの一枚をちぎって、それに僕の電話番号を書く。


 平本君にその電話番号を電話帳登録してもらいLIOEの招待コードをショートメッセで送って貰う。すると僕のスマホには平本君の電話番号とLIOEの招待コードが送られてくる。


 ということは平本君に電話番号とLIOEの友達登録ができる。一石二鳥の策ってわけ!

 しかも!形だけとは言え、平本君から連絡先を交換した!風になる!


 僕にしては中々良い作戦を立てることが出来たと思う。


 あとはこのメモ帳に電話番号と指示を書いて平本君に渡すだけ。


 嬉しいな……




 ~平本side~



 高瀬に紙を渡された。


 メモ帳には電話番号っぽい物と3行程ある文が書かれていた。

『上にある電話番号を登録してね。登録したらショートメッセでLIOEの招待コードを送ってくれる?送ったらともだち登録完了だね!でも今は授業中だからまた後で、それまでちゃんと「待て」出来るわね?』


 おいおい最後の文、ぐんみちチャレンジのやつじゃんか!高瀬ぐんみち知ってたのか!?


 俺は高瀬の方を見た。

 高瀬はニコリと微笑んだ。







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久しぶりです。本日期末考査が終了、夏休みに向けての準備がはじまります。


それはそうとぐんみちチャレンジ知ってる人いないと思うので解説すると1~2年くらい前にデビューした「えにから」みたいな名前をしているバーチャルユーチューバーグループ、二次元と三次元の共存を意味するにじさ〇じに所属する女教師がデビュー前にツイったーで始めたチャレンジの事です。気になる人はついったやようつべを調べてみと良いかもしれません。

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