第16話 CR-Xと、マサエちゃんと

そのコンパの話は、[Lotus7とロード]の、最初に出てくるけど(^^)。


マサエちゃんは、なんというか、軽い。明るい。


靖子のように、どこかしら重い、どーん、と言う感じじゃないので

アソビ人たちに人気があった。


その研修の日、土曜日だったのだけれども

芝浦の湾岸国道のところの歩道橋で待ってて「おはよー」


ちょっと、腰が張ってて(笑)。日焼けしてて。

水色のひらひらミニ。半袖の白いシャツ。


おっぱいも大きめ(笑)。


この頃は長いソバージュにしてて、いかにもソレふう。


90年だったかな、ソバージュが流行ってて。


別に待っててもらったわけでもないんだけれども。



一応、中堅研修と言う事になっていたが

実際は・・・若手社員同士のコンパで(笑)。


OLたちへの縁結びサロン、みたいなところがあった。

なので、研修らしきものは午前中で

午後は歓談。ビュフェ形式で、会社の会議室で美味しいものを食べて。

さすがに酒は出なかったが。



そこでも、マサエちゃんは若い男たちに人気で


「今晩どうする?」とか、あちこちで誘われてたりして。



さすがは渋谷系である(笑)。


かなり、かるーく、男たちと遊んでいるようだけど

そんなもんだろうと思う。都会の女の子って。


なぜか靖子は、この研修には参加していなかった。



僕は僕で、人事課の鎌田ちゃんとか、海外営業の、ジャズ好きの子とかと

音楽の話とかしてて。


それはそれで、楽しい感じだった。




なーんとなく、アソビ人ふうのマサエちゃんは

ちょっと違うかなーと言う感じに見えたけど、それはこの時の印象で。





そのうち・・・マサエちゃんは

僕の回りに誰もいないときに、ちょこちょこ歩いてきて「今晩、どうするの?」




僕は「帰るけど・・・遅くなるの?この会」



マサエちゃんは「8時くらいには終わるかと思う。わたしは、ひとり暮らしなの」




と言うので「さっき、あの男の子たちに「都合悪い」って」



マサエちゃんは「あの子たちは、いいの。」と、にこにこ。




あー、そういう「都合」か。

女の子もタイヘンだなぁ。断るの。



そこで、鎌田ちゃんが戻ってきたので、マサエちゃんはとことこ、と戻ってった。



鎌田ちゃんは九州の子。まんまるで元気、真っ直ぐ。いい子。

でも、僕とは接点が何も無かったけど。


鎌田ちゃんは「吉村さんですね」



僕は「うん、同じ部だったもの、東京本社の時」



鎌田ちゃんはにっこり「そうなんですねー。また、本社勤務だといいのに」



僕も、にこにこ「そうですね。楽しそう」



そこに、さっきのジャズ好き、キケロちゃん(笑)帰ってきて


「なに?なんのお話?」



僕は「うん、本社勤務だったら楽しいなってハナシ」



キケロちゃんは「そーですねー、戻ってきてください。鎌田ちゃん、人事だから

なんとかして」


鎌田ちゃんは笑う「そーんなに偉くないですー」



僕も、ジャズは高校生の頃から好きで、この年も社内雑誌に

スパイロジャイラの、フロリダライブの事を書いた。


サックスの演奏は、攻撃の代用・・・みたいな(^^)若かった。


キケロちゃんは、サキソフォン・コロッサスのことを書いたので

そのオハナシで、すこしだけ話題になった。


いかにも才女ふうのキケロちゃん。年は僕よりすこし下だと思うけど

おねーさんキャラ。

真っ直ぐの黒髪で、横で分けてて。

90年頃には割りと・・色を染めるのが流行ってた。


けど、そういう子は・・・会社には居なかった。



そういう時代だったのかな。



ここの会社の本社、3階はほぼ、こうしたホールになっていて

何がしかのイベントがいつも行われていた。



ゆとりのある時代。そうして、会社員たちは「家族」としての

絆を作っていくのだろう。


赤川次郎さんは、このことを「レールの上を、定年まで続く人生」と表現している。



そのような時代だった。




それで、こういう若手、3年目研修、とかで

若い男女だけ集めて、カップルにする・・・みたいなイベントが多かった。



それはそれで、幸せだったのだけれども。






この日、夕方になり解散、となった。


マサエちゃんは、例のオトコどもと一緒にエレベータに乗って降りるところで

僕を見ていた。まっすぐに。



僕も「それじゃ、また」



オトコのひとりが「これからのみいこ」なんて言っているけど

マサエちゃんは「都合あるって言ってるでしょ」と



その断り方が、いかにも・・・いつも、そうしてるみたいで。



なーんとなく「やっぱ渋谷系かなぁ」なんて思って。



でもまあ、意外と乱れてはいないらしかった。

そういうのは、雰囲気でなんとなくわかる。




エレベータの扉が閉まって。

僕はなんとなく安堵。



マサエちゃんに捕まっちゃうと、靖子がかわいそうだし(笑)。

鎌田ちゃんも、キケロちゃんもいいなぁ

なんて、思っていた。

29歳だったかな?たしか。



その後、マサエちゃんは・・・安田さんとよくお話をしているみたいで

そのせいで、秋の社員旅行に

僕は安田さんに誘われた。



ふだん、そういうものにはまず、でかけない僕であったけど

安田さんが強く誘うので、まあ、断るのも悪いかなぁと・・・・。



CR-Xで、浜名湖へ行く事になった。

結構な高級ホテルである。



それは本当に偶然だったんだけど

友人が岡崎に住んでいて、彼に

僕の持っていたレーザー・ディスク・プレーヤーを譲る事になってて

運送するついで、に。

浜名湖まで行く事にしたのだったりして。


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