第28話 お見舞い その2

 木華ちゃんのお姉さんが、遠く成って行くのを確認しながら音羽ちゃんは言う。


「ふ~ん。あれが木華のお姉さんか…。真面目そうな人だね」


「うん。真面目そうだね!」


「お姉さんはりっぱなのに、木華はあれ…。凄い姉妹だね……」


「あはは……たしかに…」


「しかし、食べ過ぎか…。木華らしいけど、まぁ、食べ過ぎなら心配はさほど無いね!」


 何だかんだで、木華ちゃんを気にする音羽ちゃん。


「さてと…。木華休みなら、早く行こうか、恵那ちゃん!」


「うん、そうだね!」


 木華ちゃん悪い病気でなくて良かった。

 そう思いながら、学校に向かう私達だった。


 ☆


 放課後……

 学校の帰り道。


 今日は音羽ちゃんと一緒に帰っているけど……、私は木華ちゃんの事が気に成っていた。


「ねえ、音羽ちゃん…」


「どうしたの、恵那ちゃん?」


「今日さ……木華ちゃんのお見舞いに行かない?」


「木華のお見舞い!?」

「けど、ただ、食べ過ぎでしょ。お見舞いに行く程でも無いよ!」


 音羽ちゃんは私の提案を拒否する。

 けど、私はお見舞いに行くべきだと感じていた。


「うん。でもさ……日中1人で、寂しくないかなと考えたらさ、急にお見舞いに行きたいなと思って……」


「!」


 私がそう言うと、音羽ちゃんは、何かに気付いた表情をした。


「そうだね…。1人で家に居るのは寂しいかも知れないね…」


「だから行こうよ、木華ちゃんのお見舞い。音羽ちゃん!」


「なら、行こうか。木華のお見舞い」


 音羽ちゃんと一緒に、木華ちゃんのお見舞いに行く事にした。

 病気になると急に人淋しくなるし、木華ちゃんの顔が見たく成ったから。


 家に帰ってから早速、音羽ちゃんと木華ちゃんのお見舞いに行く。

 手土産は無いけど、子どもだから問題無いよね?

 ちなみに音羽ちゃんが、木華ちゃんの家に行くのは初めてだ。


 ……


「此処が木華の家か~~」

「初めて来たけど……中々、時代を感じる家だね」


 音羽ちゃんが繁々と家を見ている。

 洋風2階建ての家が多い中、木華ちゃんが住んでいる家は、和風の1階建て(平屋建て)で有る。

 私の家も音羽ちゃんの家も、洋風デザインの家で有る。


「行こうよ、音羽ちゃん」


「うん…。1階建てなんて珍しいね。それにかなり古そうだし……」


「そうだね。20年以上は経ってそうだね……」


 家の事は詳しくないが、私は勘で言ってみる。


「そう言えば、木華の親戚の人って、どんな人なの恵那ちゃん?」


 音羽ちゃんは、木華ちゃん達と住んでいる親戚の人を聞いてきたが、私もまだ会った事は無かった。


「実は見た事無いんだ…」

「木華ちゃんが“お兄ちゃん”と呼んでいるから、若い人じゃ無いのかな?」


「ふ~ん。じゃあ、この家は借家かな?」

「それとも、中古物件でも家を買える程の裕福の人かな?」


「どんな人なんだろうね?」

「まぁ、お見舞いに行こう!」


 2人共、木華ちゃん親戚の人を想像しながら玄関に向かう。


「あれ?」

「この家……インターホン無いね?」


「こっちだよ。音羽ちゃん!」


 木華ちゃんの家は、目立つデザインのインターホーンは付いてない。

 少し分かりにくい場所に、インターホーンが付いている。

 でも、これをインターホーンとは言わないかも知れない?


 引き戸の右端柱に付いている、少し小さい押しボタンを私は差す。


「これだよ! 音羽ちゃん!!」


「これか……。古そうなインターホーンだね」


 音羽ちゃんがインターホンを押すと『ビ~~♪』とブザー音が鳴り、しばらくすると足音が聞こえてきた。

 腹痛の木華ちゃんが応答はしないから、誰かが家に帰って来ているのだろう。

 私と音羽ちゃんは『もしかしたら、例の親戚の人かな?』と、話しながら相手が出て来るのを待った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る