第22話 ある日の休日

 今日は日曜日。もちろん学校もおやすみ!♪

 何時もは、私(恵那)が朝食を作っているが、土曜日や日曜日はお姉ちゃんが朝食を作る。


 朝…。私はふっと目を覚ます。

 寝ぼけ眼で目覚まし時計を見ると、午前7時を過ぎたところだった。


(7時か……。どうしよ。もう少し寝ようかな…)

(今日はお姉ちゃんが、朝食を作る日だし……)


 心の中でそんな事を考えて、軽く目つぶったが……そのまま再び眠りに入ってしまう。


 ……


「恵那~。起きて~~!」


 誰かが、私を起こす。

 誰かと言っても、1人しか居ないけど。


 私は、ゆっくりまぶたを開くと……見慣れた顔が飛び込んでくる。

 どうやら、二度寝をしてしまった様だ!


「あっ、お姉ちゃん…。おはよう」


「おはよう、恵那。朝ご飯出来たわよ!」


「うん、じゃあ、起きる……」


 お姉ちゃんは、私がベッドから出るのを確認すると『じゃあ、下に行くね!』と言い、部屋を出ていく。

 寝間着から普段着に着替えて、顔を洗ってから、台所に向かう。


 今日の朝食は目玉焼き、ウインナー炒め、カップスープ、トースト。

 私が作る朝食は和食だけど、お姉ちゃんは洋食を作る。

『お姉ちゃんは洋食の方が好きなの?』と、以前聞いてみたら『だって洋食の方が楽そうだから!』と答えた。

 お姉ちゃんは、あまり料理が得意では無いようだ。


 ……


 お姉ちゃんと一緒に朝食を食べた後は、2人リビングでくつろぐ。

 今日は休日だが、お姉ちゃんの予定を聞いてみる。


「お姉ちゃん。今日の予定は?」


「今日? 特にないわよ!」


 お姉ちゃんはそう答えた。

 なら、お家の事を手伝って貰おう!


「じゃあ、お姉ちゃん。今日、お風呂掃除して欲しいんだけど!」


 私は和やかな表情でお願いをするが……


「げっ、風呂掃除か!(汗)」

「……ちなみに恵那は、何処を掃除するの?」


「私!?」

「私は部屋全体の掃除機掛けと、トイレ掃除。逆が良い?」


「う~ん…。風呂掃除で良いや…!」


「じゃあ、お願いね!」

「お姉ちゃん!!」


 ……


 休日。お互い特に予定が無ければ、自動的に掃除の日になる。

 平日は最低限の所しか掃除出来ない。

 だからこそ、休日は掃除を重点的に行う。


 リビングでくつろいだ後は、お互い掃除に掛かる。

 私は掃除機を使って、部屋の掃除を始める。


 涼しく成って来ているとは言えども、まだ残暑が厳しい。

 私は首にタオルを巻きながら、掃除機を掛けていると……


『ピンポーン♪』


 部屋の掃除機掛けが、ほぼ終わった所で玄関チャイムが鳴る。

 私は部屋内に有るインターホンに向かい、“応答”ボタンを押す。


「はい……」


「あっ、恵那ちゃん。音羽だけど…」


「あっ、音羽ちゃん!」

「こんにちは~~。どうしたの…?」


「うん、こんにちは~~。ねえ今から、一緒に本屋さん行かない?」


「本屋さん…?」

「う~ん、ちょっと待っていてね…。今、お姉ちゃんに予定を聞いてくる」


「うん……」


(音羽ちゃんが、買い物に誘ってくるとは珍しいな)

(行きたいのは山々だけど、掃除が中途半端だし……)


 部屋の掃除機掛けは終わっているけど、まだトイレ掃除が残っている。

 少し、音羽ちゃんには待って貰って、お風呂掃除をしている、お姉ちゃんの所に向かった。


 ……


「行ってきなさいよ~~。恵那!」


 音羽ちゃんが誘いに来た事をお姉ちゃんに話す。

 するとお姉ちゃんは、あっさり『行ってきなさいよ』と言ってくれた。


「えっ、でも、トイレ掃除が…」


「恵那。そんなの良いわよ~~!」

「トイレ掃除はお姉ちゃんがやっておくから、恵那は音羽ちゃんと遊びに行きなさい!」


「本当に良いの…?」


「ふーん。恵那は駄目って言って欲しいんだ!!」


 悪戯っぽく言うお姉ちゃん!?


「!!」

「……そうじゃなくて」


「じゃあ、行ってらっしゃい!」

「掃除も大事だけど、友達と遊ぶ方がもっと大事だわ!!」


「……お姉ちゃん、ありがとう」

「じゃあ、音羽ちゃんと遊びに行ってくるね!!」


「行ってらっしゃい、恵那!」

「車に気をつけるのよ!!」


 ……


 私は汗で汚れた服を着替え、玄関で待っていてくれる音羽ちゃんの所に向かう。

 今日は何時もと違う、休日の流れになりそうだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る