ワイルドな彼女に俺は夢中です。

トクルル

プロローグ

 高速道路を疾走する一台の大型バイクハーレー

ハンドルを握る大柄な少女が上機嫌で振り向き、腰にしがみついている少年に話しかけた。


「なぁ、猫太キティ!日本は平和な国だって聞いてたが、ジャパニーズヤクザってのも結構やるじゃねぇか!あっちステイツと違って退屈するかと思ってたんだがな!」


 三台の黒塗り高級車に、彼女達は追われていた。

時速140キロの猛スピードでのカーチェイス、その真っ最中である。


「ヴァネッサさん!前!前見て!!」


「おいおい猫太キティ、ヴァネッサさんだなんて他人行儀な呼び方されると悲しくなっちまう…悲しくてスピード落ちちまいそうだぁ」


「うわわわ!分かった、分かったよヴァニー!分かったから!」


と、その時彼女達を追っている車からパンパンと破裂音がする。

少年が後ろを見れば、追ってきた車から柄の悪い男が身を乗り出していた。

その手には黒光りする拳銃。


「ヴァニー!撃たれてる!撃たれてるよ!!」


「心配すんな猫太キティ。あんなチンピラのヘロヘロ弾、そうそう当たるもんじゃ…」


 ビシッ、と言う音と供にバイクのミラーが割れる。


クソがっshit!!何て事しやがる!!」


 言うや否や、少女は懐から拳銃を抜いた。

 銀に輝く回転式大型拳銃リボルバー

 S&W M500…でかくて強い、とってもアメリカンUSA!USA!!な拳銃だった…


「セイトウボウエイ!」


 少し片言の日本語でそう叫んだ少女は、片手でバイクを操りながら躊躇なく引き金を引く。

 ドカン!と、後ろの追ってとは迫力が桁違いの発砲音。

 放たれた銃弾は、追っ手の車のタイヤを破裂させる。

 コントロールを失った先頭車が他の二台を巻き込んで横転し…爆発した。


「うぇぇ!爆発!?てか、あの人ら死んじゃって無い!?」


「ヒュー!大当たりbull's-eyeってなぁ!!しかし、あんな奴等の心配するなんて猫太キティは優しいなぁ!好きだぜそうゆうとこ!!なぁに、峰だ!多分大丈夫!!」


「銃で峰打ちって何さ!もう…普通のデートがしたかったのに~!!!」


 小宮猫太とヴァネッサ=ノースヒル。

 普通の高校生カップルらしい事がしたい、あまり普通じゃないカップルだった。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る