説唐 唐朝開国ものがたり
草人七
まえがき
『説唐』または『説唐全伝』は、18世紀前半、清の時代に書かれた、隋末唐初の戦乱を題材にした章回小説です。
隋唐時代を扱った小説としては、ほかに『隋煬帝艶史』『隋史遺文』『隋唐演義』などたくさんの作品がありますが、『説唐』はやや後の時代になって書かれました。
物語は隋の楊堅による天下統一からはじまり、唐の李世民の即位をもって終わります。その間には秦叔宝、程咬金、単雄信、羅成といった英雄たちの冒険、戦闘などの活劇がいきいきと、時に滑稽に描かれます。
史実を題材にしているといっても、実際のところはほとんどフィクションといってよいでしょう。架空の人物が非常に多く、実在の人物であっても、史実と経歴が一致しない場合が多々あります。秦叔宝は実在ですが、父とされる秦彝は架空です。父の仇である楊林もまた架空の人物で、隋文帝にこんな叔父はいません。洛陽で王となり群雄のひとりになる王世充は、史実では隋の重臣でしたが、『説唐』では貧乏猟師から身を立てたことになっています。
無敵の勇者・李元覇をはじめ、宇文成都、裴元慶、伍雲召といった英雄たちは史実どころか先行作品にも登場しない、『説唐』オリジナルのヒーローです。彼らは史実だのリアリズムだのにはまったくとらわれず、物語世界を縦横に攪乱します。
荒唐無稽? 幼稚? はい、そのとおり。いまどきの作家なら、たとえ初めて小説を書くような人でも、こんな書き方はしないだろうという場面がひっきりなしに出てきます。あの『三國志演義』とは比べ物にならない、めちゃくちゃな小説ですが……そこに、面白さを見出すこともできると思います。笑って読んでください。
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