第6話 恋愛とは

 高校でも、同学年の中では俺と七緒はちょっとした有名人だった。


 七緒が俺の手を引いて登校したのは入学式の日も変わらずで、そのせいで注目を集めることに。案の定、噂は瞬く間に広がり、そのおかげでまた友人が増えた。その頃には、七緒は色気を十二分に纏うようになっており、目の覚めるような美人に成長していた。そんな新入生がいるというだけでも噂になるというのに、どうやら彼氏らしい男までいるというのだから、色恋沙汰に関心のある高校生が放っておくはずがない。そんなわけで、俺と七緒は中学入学時と同じようなことを体験した。さすがに高校生ともなると弁えているようで、あまりプライバシーに関わる問い詰めに発展することは少なくなったが、あくまで少なくなっただけだった。


 俺が七緒と付き合っていないと主張した時には、狂喜乱舞する男子共。その勢いのまま七緒に告白した身の程知らず達もいたが、その全てが玉砕して帰ってきた。


 七緒曰く、「そういうのはよく解らない」とのこと。

 七緒らしいといえばそうなのだが、あれほどの美貌を持つ女性としては少しもったいない気もする。

 奴らが告白しに行った時、俺の内心がヒヤヒヤものだったことは、まだ誰にも言っていない。

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