キースとハワードの魔導×格闘クロスオーバー

決め手にカケル

第1話 序章 キースとハワードのそれぞれ

幼少キースは実践を経験する。


数人の護衛を引き連れキース10歳

初めての実践。


それはゴブリンとの戦いの最中。


「風よ、球体となり、敵を撃て、

【ウィンドボール】」

キースはワンドを振る。


ウィンドボール(初級単体攻撃魔術)

風の球を放つ。操作性に優れている魔法だ。


風魔法は初級魔法であっても魔力感知能力に長けた魔物でない限り視認する事が難しい。


直撃した!

ゴブリンの頭部に正面から直撃し、

衝撃波の影響でノックバックする。


「グギィイィ」


しかしゴブリンは額に手を当て、

二、三度首を左右に振るとすぐに正気に戻ったようだ。


それを見たキースの護衛達がゴブリンに切りかかる。


護衛達のロングソードがそれぞれ背後から首筋を、正面から左胸を、右脇を下からえぐるように正確に急所を突き刺しゴブリンは絶命する。


反撃を始める前のゴブリンに対し素早い対応の護衛達。


「キース初めてにしてはよくやった」


ゴブリンに突き刺したロングソードを引き抜き刃についた血を払いつつ近付いて来る。


初老だが体躯が整った護衛にキースは声をかける。


「爺ちゃん ゴブリンには当たったけどアレじゃ雪玉で戦してるようなものだよ」


「上手いこと言うではないか、確かにアレでは戦場で雪玉を投げて戦をしているようなものだな がははっ!」


「炎よ、我が敵を射抜く弾丸となれ、【炎弾フレイムバレット】」


絶命したゴブリンに向かって炎の弾がとんでいき死体が燃えあがり、


これがお手本だと言わんばかりの顔で男が振り返る。


この白髪初老の護衛

クラウザー シュトロハイム 男爵と言う

キースの祖父にあたる。


場面が変わり男爵家近くの村で変わったモンスターの目撃例が報告されていた。






悪のカリスマその名はハワード


「ワシは気が付いたら転生していた」


「あの若造と戦いそしてビルから転落」


「ワシはたしかに地面に叩きつけられ死んだはずだ、、」


「叩きつけられ起きたら、、、」

「意味がわからん」


少し遡り自身の違和感に感じたのは視界の高さだった。


次に足ビレ、手というか羽なのか?ポッテリふわふわした腹回り、、

「やはりペンギンか、、」

森の中で鏡のような自身を確認できる物はない。


普段より低い視界の中 前に歩きだすが、

2・3歩く度にコケる。

コケる、 コケる、 もう何回も何回も、 、


「早くこの体にもなれねばな、、」


場面が変わり、


場面はシュトロハイム 男爵家


「御当主さま、珍妙な魔獣を村人が捕獲いたしました。」


「うむ、ご苦労」


「村を騒がせていた怪鳥がコレか?」


「ハイ!そのように報告を受けています」


「村の被害などは無かったのか?」


「特に被害は無いようです」

「村人達もこの様な魔獣初めて見た様で、どの様な危険性があるかわからないという事で判断を仰ぎたく捕獲に至ったようです」


「よく捕獲することが出来たな?」


「見つけた際には既に弱っており、、特に抵抗もなかったようです。」


「その、、捕獲した村人からの報告でお伝えしなければならない事が、、」


言いにくそうな表情をする警備兵。


「この魔獣、人語を話すようなのです、、」


少し考えた、、当主クラウザー シュトロハイム男爵


(魔獣が人語を話すなど、、)


(上位の人型魔獣でも無い限り、いや変異種ユニークの可能性も、、)


「よく処分せず持ち帰ってくれた」


(この魔獣、、)


(どの様にして誕生した?またはどの様にやって来た?)


(魔獣の上位種と考えれば知能も回るのだろう。)


(王都へ報告すべきか?)


(まずはこの魔獣から少しでも情報を引き出さねば。)


(幸い此方からは手を出していない様子)


(魔獣の知性レベルにもよるが、、)


「まずはこの魔獣のケガの治療にあたらせろ!魔獣の強さがわからぬ、、害意ある魔獣の可能性もあるよって、独房にて隔離、魔獣の世話役として1名を牢の内に付けろ」


「牢の監視に2名の警備、警備室には5名ほどの魔獣討伐経験者を待機させよ!」


場面が変わり怪鳥ハワード


(ワシの名はハワード 格闘技術で全てを勝ち取りのし上がる姿は悪のカリスマとまで言われ恐れられた。)


(だがしかし、前世で若造に負け ビルからの転落そしておそらく死亡してこの世界に転生した。)


「そのワシがなんでペンギンなんじゃ!」


「異世界転生とか言うやつなら神さまに出会ってチートスキルを武器に無双する展開じゃろ」


「神さまとやらにも出会った記憶もないわチートと呼ばれるスキルを得たようにも思えん」


ペンギンの愛らしい見た目とは違い 年長者特有の話し方をするギャップが凄い。


ハワードは水場を探しに森を散策していた。

歩幅は人間の頃より短く、ペタペタと歩く。


水場を探そうとそれは本能で思ったのか、しかし 少し考えると食料の確保、自身の姿を水面で確認するといった目的を達成できる可能性がある以上それが今の最優先事項だとハワードは考えた。


「ペンギンというのは 長く歩く様に出来ておらんな」


人間であった頃ならば疲れを感じる距離では無いはずだった、人間であった頃と現在ペンギンの体であると言う現実に判断がまだ人間寄りに計算してしまうあたりは修正した方が良いのだろうなと現在の疲労感から認識を改めた。


現在の状況を整理していく。


(夢の世界などといった可能性は無いな、、)


(次に、自身が獣である以上 どの様に生きてゆくか?)


(獣である以上 捕食する事になるわけか)


「生存競争に勝ち抜く強さが必要か、、」


(ワシがこのまま死んだ場合、元の人間に戻れる可能性は低いな まずは生き抜く事 )


ペンギンの姿であるというのに笑みがこぼれる。


「根っからの格闘家なのだろうなワシは」


人間である頃からも刃物、凶器を好んで使う事を嫌った。


身体一つで生き抜き死ぬ事それこそが本望。


自然と身体が動いた。

人間である頃に習得した古武術の型を振る。


「ふん!ふん!」


愛らしいはずのペンギンの姿で行うそれは見惚れてしまうほどに鋭く綺麗な型であった。


ハワードはふと試したくなった。

片手に自身の気を集約し地を這う様に放つ斬撃「烈風拳!」

ハワードは勢いよく右手を振り抜いた。


だが何もでない、、


ハワードは振り抜いた右手を見ながら思う。

「やはりこの技は使えぬか、、」


人間である頃、古武術の秘伝を会得しこの技を使える様になった。


しかしながら現象を頭で考えるより身体の感覚で会得したのだ。


良い様に言えば自身は天才肌であったのだろう。


歩き始めて1時間、、


「何も無いではないか、木々と雑草ばかりだ」


2時間後、、


「さすがに空腹感を感じるな、、」


3時間後、、


「魔物の1匹とも遭遇しないではないか、自身の強さの基準がわからぬ。水面も見つかる気配が無いな」


5時間後、、


足が止まる。

「少し休憩するか、、」


12時間経過、、


少し自身の境遇に恐怖する。


「誰とも、何者とも遭遇せず、目的の場所にもたどり着けず、チート無双するわけでも、成り上がるわけでもない異世界転生だれが読むんじゃ!!」


(大丈夫 ここまで読者は付いてきてくれてますよ。)

by作者


もういまが何時間たったのかもわからない頃、、


「村が見えた」

ハワードは疲労感からその場で倒れ意識が薄れていく。

「もうこの話ここで終わってもいい、、」


(いえいえ話はここから始まります序章から!)

作者は薄青髪の鬼娘の様に囁きます。

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