第15話

 昨日の約束通り、俺達は家具を買いに紅愛行きつけの家具専門店に訪れていた。

 紅愛の行きつけということで気付いているかもしれないが、ここは超高級ブランド店である。ニ〇リのお手頃価格の物とは訳が違う。


 俺と腕を組んでいた紅愛が革張りの白色のソファを指差す。ソファで300万かよ……


「こちらのソファも白色で可愛らしくていいですね。蒼太くんは黒と白どちらが良いですか?……あっ、こちらのブラウンも良いですね」

「うーん……黒、かなぁ?」

「うふふ♪やっぱり黒がお好きですか。私の下着も黒が多かったですしね♪」

「うっ……紅愛は黒嫌い?」

「いいえ、そんなことはありませんよ。黒は好きです。落ち着いた印象を与えるので私達にもピッタリですしね」


 俺達が落ち着いてるのかどうかは分からんが、黒が落ち着くのは分かる。


「ではソファが黒色に決まったところで他の家具も黒中心に考えていきましょう」

「あぁ」

「次はベッドです。サイズはダブルにしましょうね」

「ダブルだと小さくない?クイーンとかにしないの?」

「やれやれ、蒼太くんは理解してないようですね」


 紅愛が首を横に振り、俺の案を却下する。

 ダブルっていうと二人だと少し狭い気がするのだが、それを紅愛は理解してるのだろうか。


「いいですか?ダブルなら密着して寝れるのです。クイーンやキングでは大きすぎて距離が出来てしまいます」

「クイーンとかでも密着すればいいだけじゃん。寝返りとか打った時に落ちたら危ないしさ」

「今まで蒼太くんのセミダブルや私のダブルでも落ちなかったのにですか?」

「こ、これから起きるかも」

「……蒼太くんは嫌なのですか?」


 目を潤ませ、俺の腕をギュッと抱く紅愛。これをされたら俺が意見を曲げると理解しているようだ。


「分かったよ。じゃあダブルにしよう。でも一回でも落ちそうって思ったらすぐクイーンにするから」


 まぁそれを分かったところで意見を曲げないことなんて出来ないんだけども。紅愛が可愛すぎるのが悪い。あんな泣きそうな顔されたらこっちが悪い気がしてしまう。


「はい!んふ〜♪蒼太くんは優しいですね。優しい蒼太くんは大好きですよ。勿論、昨日の夜のような優しくない蒼太くんも大好きです♡」

「分かったからそういうのは公の場で言わないようにね。それじゃあベッド見に行こ」

「ベッドはこちらですよ。さっ、急いで決めちゃいましょう。まだまだ買う物は沢山ありますからね」




 この後、ダイニングテーブルや椅子、テレビ台等々必要な家具を購入し終えて、家電も買いに行った。全ての家具・家電を選び切るのにだいたい5時間近くかかった。合計金額はまさかの3000万超え……恐ろしい。紅愛と付き合ってからというもの金銭感覚が狂いそうになる一方だ。


 購入した商品は全て明日届けるように紅愛が言ったらしい。その時ちょうどトイレでいなかったのでよく分からないが店員の真っ青になった顔を見るに相当酷い脅しをされたのだろう。家電屋の方は比較的マシだったが家具専門店の方は凄かった。


 店を出た俺達は近くにあった寿司屋(ここも高級店)で昼飯を済ませ、今は買い忘れが無いか確認していた。


「毛布は蒼太くんが使っていたものをそのまま使うからいいとして後は……無いですかね?蒼太くん、他にありましたっけ?」

「ないと思うよ。仮にあったとしても必要最低限の物は買ったし大丈夫だよ」

「それもそうですね。明日が楽しみです」


 それからしばらく休んで俺達は家に戻った。ちなみに紅愛も荷造りなどがあるので今日は泊まらない。





 家に帰り荷造りを終えて、部屋の中を眺める。今まで慣れ親しんでいた家から離れるのは寂しいが近くなのでそこまで悲観しなくてもいいだろう。


「しっかしこうしてみると随分と荷物も少ないな。ダンボール3個分って結構少ないぞ」


 俺の部屋の中の物はダンボール3つで済んでしまう程の少なさだった。まぁ荷解きが楽だしその方がいいか。


 ピロン♪


 スマホから通知音が鳴り、紅愛からLINEが送られてきた。


『蒼太くんのせいで荷造りが終わりません』


 俺のせい?………あっ、俺の服のことか。匂いでも嗅いでて進まないのかな?


 俺はすぐにLINEを送り返す。


『何してるの?』

『自慰です』


 自慰……自慰!?何をやってんだこの娘は!?匂いを嗅ぐよりグレードアップしてるじゃないか!

 すぐさま電話を掛ける。ワンコール経たないうちに紅愛は電話に出た。


「んっ♡どう、したんですか?♡もしかしてオナ電あっ♡したいんですか?」


 スマホからは紅愛の艶めかしい声と水気を含んだ生々しい音が聞こえてきた。


「いや自慰って……荷造り終わってからにしようよ」

「蒼太くんのっ♡んんっ♡匂いのせいでぇ♡お股が変なんです♡蒼太くんを求めて……♡あぁんっ♡」


 音が激しくなり、紅愛の嬌声も大きくなる。とてもじゃないがこれ以上は聴かせられないので電話を切る。


「はー……ったく紅愛め。あぁくそ…」


 紅愛の自慰を想像してしまい、思わず息子が勃ち上がる。これは収まりそうにない。確か紅愛が俺の為にと置いていった下着があるはずだ。それを使わせてもらおう。


 紅愛の下着を探しに立ち上がったところで紅愛から動画が送られてくる。中身は見なくても分かる……やっぱりこちらにしよう。

 俺はスマホを片手にトイレへ駆け込んだ。


この動画でも物足りず、結局オナ電してしまうのはまた別の話だ……


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

GWって何がゴールデンなんでしょうか……忙しいだけじゃないですか。ということで少しばかり更新頻度が下がります。すぐに元に戻ると思いますのでご安心ください。

それと序盤紅愛達が行った家具屋はB&BItaliaやカッシーナ辺りを想像してもらえれば。

フォロー、コメント等よろしくお願いします!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る