第4話 連絡先の交換

「優羽(ゆう)、聞いたよー」

「えっ?何を?」

「男と一緒に歩いていたんだって?男嫌いなのにどうして?しかもカッコ良かったって話じゃない?」



何処で誰に見られたかは分からないけど、その時は気にも止めてなかった。




「あー…前に介抱してくれて…偶然街で会って、それで帰ってただけだよ」


「へぇ〜、彼は受け入れられるんだ」

「えっ?別に完璧じゃないし」

「ねえ、今度紹介してよ。私からも御礼を言いたいから。連絡先知らないの?」


「連絡先は聞いてないよ。まだ会って日は浅いし、いつも会ってる訳じゃないから」


「そうかぁ〜…残念。じゃあ、偶然の再会でしかチャンスがないわけだ」


「う…ん…」





その日の夜、私は残業で一人帰っていた。




「優羽」




名前を呼ばれ振り返る視線の先には澪がいた。



「澪」


「お前、一人なのか?」


「うん…。残業の帰りで一人で飲もうか迷っていた所で…」


「うん」


「でも…一人で次々に飲んでヤバイ事になって何かあったら嫌だから」


「そっか」


「澪は?一人?」

「まあ、一応。ここに来る前は、一緒に飲んでたけど別れて一人で飲んでた」

「そうか」



私達は色々と話をしながら帰る。




「あっ!一緒にいても平気?」

「えっ?」

「いや…澪カッコイイから彼女いてもおかしくないルックス」

「あれ?俺、話さなかった?」


「えっ?うん…多分、聞いてないと思う」

「そう?…いや…俺、女の人苦手だから」

「えっ!?嘘…ごめん…無理に付き合わせちゃったね。もしかして男好き?」

「いや違うから!ノーマルだし!」

「それだけカッコ良いのにもったいないね。どうしてまた?」


「えっ?」


「あっ…ごめん…関係ないか…」

「いや…別に良いし。俺…過去に嫌な思いしてるから」

「そうか…カッコ良いと損得あるってやつ?」


「えっ?あー…まあ…有り得ない話じゃないかもな…別に自分がカッコ良いって認めてる訳じゃねーけど…一方的な想いをぶつけられても俺…それに応える事…出来ねぇから…」



「…じゃあ…私達は…何処か似てるのかな?」

「えっ?」


「だって私は男の人苦手だし……澪も女の人苦手なら…お互い様でしょう?苦手なもの同士で、澪が私を介抱してくれたから親しくなって、この関係が続いてるのかな?って…」


「…優…羽…」


「あっ!そう言えば、私の友達の知り合いが私達の事を見掛けたらしくて、澪の事をカッコ良いとか言ってて…」


「うん」


「私が介抱された事話したら、お礼を言いたいって事で…」


「お礼?別に良いのに」


「連絡先交換してないの?って言われて…」

「そっか」

「だから、えっと…潤平…君だっけ?も誘って、一緒にどうかな?と思って。ごめん、名字が出てこなくて下の名前で馴れ馴れしいけど…」

「大丈夫。むしろ、その方が潤も喜ぶ。取り敢えず内容は分かった。潤にも話しておく」

「うん」



私達は連絡先を交換するのだった。










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