第6話 結婚刑

「ゆうすけくん、本当に助かった。娘を助けてくれてありがとう。」


「私からもお礼を。そしてゆうすけくん。おひさしぶりね。これからもよろしくね。」


と明日香の父彦一郎と母珠代は佑介へお礼を言った。あの騒動を受け学校より一緒に帰宅し今は佑介の家のリビングで両家族で話し合いをしていたのであった。


「おじさん。おばさん。おひさしぶりです。あっちゃんを守るのは昔から僕の役目ですから気にしないでください。」


と佑介は俺かっこいいと思いながらそう答えた。


「浮気したくせに」


「別の女作ったくせに」


「浮気者のくせに」


「裏切者のくせに」


「幼馴染もの大好きの変態のくせに」


「二股かけてたくせに。嘘つき」


両家族から避難轟々である。特に最後の二人の発言は聞き捨てならないと思った佑介であった。しかし、ここで言い返そうものなら集中砲火を浴び撃沈するのは分かってたのでお口チャックである。


「で?バカ息子の申し開きは聞いたの?明日香ちゃん。まあ、反吐がでそうないいわけだろうけど。」


「はい、お義母さま。結論は死刑なのはかわらないのですが、言い訳としては寂しかったそうです。寂しかったから浮気をして、校内でも有名になるくらいいちゃいちゃバカップルをしてクリスマスにはちゅーをしたみたいですよ。情状酌量は必要ないかと。」


物凄い暴露が始まってしまい。佑介は驚愕した。特に明日香の手に握られた手紙の束に驚愕していた。


「これが証拠です。まず、私宛に届いた別の女と付き合いたいと言ってきた知能がお猿さんの手紙がこちらです。そしてこちらが羞恥心を失くしたお猿さんが私宛にその醜態ぶりをアピールしてきた手紙がこちらです。そして欲望まみれのお猿さんがクリスマスにちゅーをしたと恥も知らずに送ってきた手紙がこちらです。最後に人としての尊厳を放棄して彼女に振られたしまた付き合いたいと言ってきたお猿さんの戯言がかいてあるのがこの手紙です。」


明日香はいつも通りの冷酷な目で毒を吐きながら淡々と粛々と証拠を提示した。


「うわわわわあ、ないわ、これはないわ。」


「佑介。父さんはこんな息子に育てたつもりはないぞ。」


「佑介くん。僕は怒りを感じるよ。小さい君はこんな手紙を書く子供じゃなかったのに・・・。」


「佑介!!!あんたって子は!!!恥を知りなさい!!」


もはや佑介はHPゼロを通り越しマイナスになっていた。


「くっ 殺せ。」


「ゆうくん。くっころしてもこの罪は消えないわ!」


佑介はそのあまり余る身体能力を発揮し見事なジャンピング土下座を敢行したのであった。


「明日香様。大変申し訳ございませんでした。私が全て悪うございました。なんでもいう事聞きますのでこれ以上はご勘弁を。ご慈悲をください。」


「皆様、判決をお願いします。」


「結婚刑」


「結婚刑」


「結婚刑」


「結婚刑」


「結婚刑」


「では満場一致にて被告ゆうくんには私との結婚刑を言い渡します。」


「ちょおお。まじで冗談だよね?冗談だよね?」


その裁判への参加者は冗談は言ってなかった。刑、確定である。


「明日香ちゃん。明日からはこのばか息子を婚約者ってみんなに言いふらしなさいね。」


「お姉ちゃんも後輩たちにメールしとくから春日に言えばすぐに広まるはずだから。」


そう東川あずさは高校進学のために4年前に一人でこの街へ引っ越ししていたのである。佑介達の高校の卒業生である。


「佑介くん。まじめな話。今回の事件で娘の危険性がよくわかったよ。君になら娘を託せる。だから本当に婚約者として娘を守ってくれないか?」


「お父さんありがとう。ねえ、ゆうくん。ゆうくんがどうしても私がだめって言うならしばらく引っ張ると思うけど・・・諦めるから・・・うう・・・うう・・・」


「いや!だめだなんて一言も言ってないからね。泣くなよ。悲しくなるだろう。ほらっ。」


「えぐっ・・えぐっ・・・うううう。」


明日香。号泣である。


「うわっ、我が弟ながら最悪。もう呼吸しなくていいんじゃない?」


お姉さまご立腹である。死ねとおっしゃっています。佑介はここでの選択を誤れば死が確定することに戦慄を覚えた。


「明日香ちゃん。この馬鹿弟は駄目だわ。悪いことは言わないから別のにしときな。」


「うう・・お姉ちゃん・・・ゆうくんがいいの・・・どんなに浮気者でも・・・ゆうくんがいいの・・・・えぐっ・・えぐっ・・・うううう」


「あっちゃん。分かった。僕、婚約者になるから。ね、泣き止んで。僕が全面的に悪かったから今後は絶対に浮気しないから。」


「明日香・・・・明日香って呼び捨てにして。婚約者なんだから・・・・」


「あっちゃん。わかったよだけど呼び捨ては厳しいよ。」


「・・・・・・・」


「あーもう!明日香!これでいいでしょ?」


「ニヒッ」


明日香はその超絶美少女の整った顔で非常に美しい笑顔を見せた。佑介はその笑顔に見惚れたのであった。


「よし。収まるところに収まったようね。さあ、ご飯食べましょ。」


そして、両家族でご飯を食べて改めて明日香の事をお願いされた。同居して寝起きを共にして基本的に学校でもどこでも一緒に過してほいい事。離れていた期間、明日香の感情が無かったので再びそうならないようにして欲しい事。子供は二人でよく話しあって作りなさいというハードルの高い事(真剣に言われた)佑介はその願いを了承したのである。しちゃったのである。夕飯と真面目な話が済み二人は佑介の部屋へ移動した。


「本当に荷物が増えている・・・って明日香さん。なにしてるのかな?」


「え?ゆうくんのエロ本を漁ってるの。あっ、これか・・・・・って本当に幼馴染ものばかりだわ!」


「ちょ!やめてください。本当にやめてえええええええ」


「ふーん。幼馴染ものってことは私を想像してたのね。いやらしい!。」


「あーそうだよ・・・どうしても明日香の事、忘れられなかったんだよ!悪いか!」


「あっ。開き直った!うふふ。顔真っ赤にして・・・可愛いんだから・・・チュッ・・・・ありがとう。」


「ええ~なんでここでちゅーしたの?び、びっくりするじゃないか!」


「べつにいいじゃない。まあ私はファーストキスだったけど・・・あ~あ・・ゆうくんのファーストキスは亜紀に盗られちゃったからな・・・」


「ファーストキスは亜紀じゃないよ。覚えてないの?明日香?」


「え?亜紀じゃないって?別に女いたの?」


「いないよ!僕のファーストキスの相手は明日香だよ。明日香も僕が最初の相手だよ。お別れの時に約束して最後にキスしたじゃん。」


「え?あーあー思い出してきたわ。別れの悲しさの方が大きくて忘れてたけど、あの時に確かにキスしたわ。そうか!ゆうくんの最初は私だったんだ!!」


明日香は佑介の胸に向かって抱き着いた。佑介も明日香の背中手をまわして抱きしめたのであった。


「ねえ、ゆうくん。今度は、本当に離さないでね。」


「うん。もう二度と離さない。誓う。」


その日は昔を思い出しながら二人で眠ったのであった。二人とも幸せそうな寝顔で・・・

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