往復ビンタから始まる恋愛模様

招かない猫

第1話 氷の女神参上!

「最低!!!」


「バシーン、バシーン。」




強烈な往復ビンタをした超絶美少女は腰まで伸ばした黒髪ロング、色白で顔は恐ろしいくらい整っていて、背が高くスラっとした姫野明日香さんである。


中学時代から有名であり、男子を常に冷徹な眼差しで睨み、告白してこようなら容赦のない言葉で切り捨てるスタイルから「氷の女神」と呼ばれているらしい。


らしいと言うのも僕は中学までは九州の片田舎に住んでおり、この3月に両親の仕事の関係で関東に引っ越した為、全く情報がなく友人も初めから作り直しなのである。



「佑介君、派手にやられたね~。」


とニヤニヤしながら近づいてきたのは小岩井圭。所謂、イケメンと言うやつでその整った顔をニヤニヤさせていた。うざい奴である。


「うーん。理不尽だ!僕が何をしたっていうんだ!。」


「君、なにか失礼な事をしたんじゃない?」


と疑惑の眼差しで僕を見ながら聞いてきたのは隣の席になった佐島麗華さんである。彼女は若干栗毛色のショートヘアーの似合う活発的な美少女である。水泳部である彼女は程よく日焼けした肌をもち、顔はおっとりとしており可愛さがある顔つきである。しかし、彼女は少々、毒舌家であり、容赦なく攻めてくるのであった。


「もしかして、いやらしい目で見てたんじゃないの?」


「佐島さん。そんなことはしないよ。大体、姫野さんとは入学式の後のオリエンテーションで『初めまして』って挨拶しただけで話したこともないんだよ?」


「佑介君は顔がいやらしいからね~。」


と小岩井圭はニヤニヤした顔をそのままに言ったのである。


「うるさいな~。顔がいやらしいってどういうことだよ!僕。普通の顔だよ!。」


東川佑介は実は中学時代、そこそこ女子からもてたのである。身長も178cmあり中肉中背であった。幼いころから空手を習っていたため、普通の生徒よりは筋肉質であった。告白された女子と付き合った経験もある。そんな佑介は入学式の日から悩みがあるのであった。姫野明日香のことである。入学式前の控室の時点ですでに睨まれておりその表情はまさしく怒りであった。佑介は恐る恐る挨拶をしたが『最低』と一言頂いたのであった。その翌日からも常に睨まれている状態で友人を作ろうとクラスメイトと話をしているとわざわざ近づいてきて睨むのであった。その為にクラスメイトからも煙たがられてボッチ気味である。会話してくれるのはうざい小岩井と毒舌家の佐島だけであった。完全に高校生活初歩の友達作りに失敗したのであった。入学して4日目、佐島を通してクラスメイトの女子数人と昨日から始まったドラマの話をしている時に凶行が行われたのであった。小学3年生まで一緒に過した大好きだった幼馴染と同じ名前の彼女からの凶行は精神ダメージが大きいのであった。佑介はクラス中から注目されたので、へらへらと笑い誤魔化したのであった。その日、その後も彼女からの汚物を見るような睨みは続き、佑介は参ってしまったのであった。なんとか6時限目まで耐えて逃げるように帰宅したのであった。


「もう、学校行きたくないかも・・・一体、僕は何をしたんだろう。これがいじめってやつなのかな。つらいな・・・。」


「あっちゃん。僕はつらいよ。君も手紙すら届かなくなった。会いたいよ。せっかく同じ関東に住んでいるのに・・・」


佑介は机に飾られた2人の子供が写っている写真を見ながらため息をついた。佑介はすっかり憔悴し、その晩に熱がでてその週は学校を休んだのであった。



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