第2話 襲撃

「お前ら起きろ!襲撃だ!」

俺は2人に声をかける。

「へっ?なっ、あっ!アベルこれは違うんだ!」

カインは慌てて言い訳じみた事を言おうとする。

「うん、ア、アベル、ちょっと見ないで!」

マインはこの状況でも裸が恥ずかしいのか風魔法で軽めの攻撃をしてくる。

「マインやめろ!そんな時じゃない!見ろキングベアーだ!」

其処にはキングベアーと言う、Bランク上位の魔物がいた。

「えっ?なんで、ちょっと、待って!」

「頼む、ポーションをくれ!左腕を持っていかれた。」

「待って、すぐに着替えるから!」

「待てるか!早くポーションを!」

「見ないでよ!」

ポーションを置いてある荷物は2人が交わっていた近くにある。

だが、見られたくない事を重視して混乱しているマインは風魔法を放ってきており、近づけない。

「カイン!早く参戦してくれ!」

俺はポーションをひとまず諦め、キングベアーの牽制に出る。

「も、もう少し時間をくれ!あれ、剣はどこだ!」

カインも慌てているのか、鎧を着ながら剣を探している。

「だめだ、俺1人じゃ持たない!早く!」

どれくらいだろう、俺が必死で時間を稼いでいると。

「ゴメン、アベル。」

何故か謝罪の声が聞こえる。

振り返ると、荷物を纏め、逃走に入っている2人が見えた。

「カイン?マイン?」

「すまないアベル、俺達ではそのキングベアーには勝てない。マインも魔力の残りが少ないしな。」

「嘘だろ?おい!俺を見捨てるのか!」

「すまない!必ず仇はとるからな。」

「待てよ!カイン!俺達親友だろ!なぁ!三人で戦えば何とかなるよ!」

「すまない、行こうマイン、アベルが時間を稼いでくれてるうちに・・・」

「で、でも・・・」

「マインも死にたいのか!俺の剣も見つからなかったし、マインも魔力が無いんだろ?」

「それは・・・」

「さあ、早く!」

カインはマインの手を引いて、逃げ出した。

「カイン!戻ってこい!カイーン!!」

俺の声が木霊するが返事も無く、その後の意識も無くなった。


次に眼をさますと其処は洞窟だった。

俺は周囲を見回すとたくさんの骨や死体があった・・・

「俺はあの後・・・」

混乱しながらも記憶を辿っていく俺にキングベアーが近付いてくる。

手元に武器も無い俺は後ろに下がるがすぐに壁にぶつかる。

キングベアーは俺の匂いを嗅ぐと離れていき別のところに行った。

「な、なんだったんだ・・・」

「うう・・・」

部屋の中から声がした。

「大丈夫ですか?」

俺は声の方に向かうと1人生きている人がいた。

「あ、きみは・・・」

「俺もキングベアーに捕まった冒険者です。」

「た、たすけじゃないのか・・・」

「残念ながら・・・それよりここは?」

「キングベアーの巣だ、そして、俺達はあいつらの保存食だ。」

「そんな・・・」

「あいつらは俺達が死んでから肉を熟成させて食べるようだ、既に仲間が2人、死にかけた順に食べられていった。」

「なら、俺と貴方も。」

「そうだ・・・なぁ、頼む、その辺に落ちている剣で俺を殺してくれないか?」

「えっ?」

「もう、無理なんだよ。いつ喰われるかわからない恐怖に怯えるのは!自決したいところだが俺の手はほら・・・」

既に手は食べられており剣を握ることも出来そうになかった。

「頼む、苦しいのはもういやなんだ!」

「・・・わかりました。最後に御名前をいいですか?生きて帰れたら冒険者ギルドに伝えておきます。」

「ありがとう、俺の名前はノーブだ、お前が無事に帰れることを祈っているよ。」

俺はノーブさんに剣を突き刺し楽にしてあげる。


ジョブ、ソウルイーターを獲得しました。

俺の頭の中に声がする

スキル、ソウルイーターを獲得しました。

なんだこれは?ソウルイーター?どんな力なんだ?


この部屋の魂を吸収しますか?

なに?魂の吸収?なんだよくわからんがYES。この状況を打破出来る何かが欲しい。


スキルを習得いたしました。

各種スキルを整理します。

・・・

剣術Ⅲ、槍術Ⅱ、体術Ⅲ、弓術Ⅲ、回避Ⅲ、気配遮断Ⅲ、回復魔法Ⅲ、火魔法Ⅱ、土魔法Ⅱ、水魔法Ⅱ、探知Ⅳ、鑑定Ⅲ、錬金術Ⅱ、生活魔法Ⅱを習得しました。


ユニークスキルを獲得しました。

空間収納Ⅱ


魂を使用して身体の修復を行いますか?


身体の修復?YESだ!腕が治るのか?


修復を実行します。

魂を15使用して

左腕腕の再生、血液の補充を行いました。

残り魂10

保管期間残り3日


俺の失った腕がそこにあった。

「ある、腕がある!よしこれなら。」

俺は部屋の中から装備を物色する。

使わない物は覚えたての空間収納にしまい。

鑑定して1番良かったの鋼の剣を装備する。

そして、気配遮断を使用して、洞窟から脱出をはかる。

洞窟入口にキングベアーが居座っていたが、気配遮断のお陰か気付かれずに外に出れた。

横を通る時、冷や汗が止まらなかった。


洞窟から離れたところで深呼吸をする。

「ヤバかった・・・」

俺はあまりの恐怖に膝をつく。

そして、震えがきた。

しばらく、震えた後、街に戻る。


キングベアーに捕まって3日がたっていた。


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