第5話 RZVとの出会い(5)

1984/8/z






さて、そうこうしている内にYの家に一週間近くも居着いていた。

まあ、アルバイト先のスーパーマーケットが

店内改装だから、レジ係りの俺としては

仕事がないので仕方ないのだが....。


夜、Yの家で寝ていると、すこーし家のことが気になったりもする。


RRRRRR....


電話のベルが鳴る。


「....はい....。」


俺、仕方なく電話に出た。(ひとん家の電話にでるなよ)



「あ、俺。Yだけど。今さ、道産ん娘でラーメン食ってんだけど、

  出てこないか?ちょっと走ろうぜ。」


既に深夜である。



「....あ.....。」



有無を言わさずに、Yは電話を切る。


そういうあたり、流石にお坊ちゃんだな....。



仕方なく、俺はGジャンを着て、CBXに跨った。



セルスタートし、ゆっくりと街道に出ると油温が安定するのを待ち、

スロットルを全開にした。


モリワキ・フォーサイトが共鳴し、インライン4は金きり声を上げ、

タコ・メーターの指針は弾かれたように盤上を駆け巡る。


瞬く間に、ラーメン屋に着いた。


(そんな風に感じられた。何故だ、全開で走っている時間の流れが速いのは?)


ラーメン屋のドアを押す。



「いらっしゃ...い^^;。」




一瞬、店中の視線が集まる。


「よぉ、速かったな。」Y。




「まあな。」俺は、カウンター席に座った。


と....。



赤色回転灯の光が、ラーメン屋の窓ガラスに映った。



パトロール・カー。



警らの警官、二人で歩いてくる。




入り口のドアを開け、俺の横に来た。



「もしもし?」



「は...い。」



警官、俺のことをじろじろと見ている。



「君?あの相模ナンバーのCBX?。」



「は..い。」



「どこから来た...。」



「あ、あの、猿島の....病院。」(Yのお父さんの病院である、)



「病院?」

警官、訝しげに俺の眼を見る...。



「はい。」




「...そうか。気をつけて帰れよ。」




「???はい。」




警官は、あきらめた風で、ドアを押し、駐車場に止めてあるGX71のパトに。




「どうなってんだ?」Y。


「さぁ...。」



「それにしても、何だよ、オマエ、そのカッコ。」


「ああ、ズボン洗っちまったから。」


俺、仕方なくショート・パンツのまま、Gジャン着てブーツ履いて来た。



「...で、オマエ、警官になんて言ったんだ?。」Y。


「ああ、猿島の病院から..って。」



Y。突然笑い出した。



「なんだよぉ。」



「ああ、わりい。いやな、よく、そういう事あるんだよ。

 それで、この辺のおまわりは慣れてんだよ!。」



「 ....?。」









....Yのお父さんの病院は、精神科である....。



どうやら、俺は脱走患者だと思われた..らしい。







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