第1話『王都炎上』

わかりやすいように、キャラクターとしての発言はカギ括弧で囲み、その他のPL発言はカギ括弧をつけないようにしています。読みやすい、読みにくいなどの意見、こうした方が良いという提案などがあれば、気軽に言ってくださると助かります。


GM:全員いるかい?


ヒルダ:にゃーん


リファー:にゃーん


ナオ:なーお


ユスティーツェ:にゃーん


ヒルダ:うわ!!運命を変えられそうなキャラがいない!!


リーゼロッテ:お兄様にゃーんとか言わなさそうですね


GM:では始めていいかな?


ヒルダ:はーい


ナオ:にゃーい


リファー:久々の初期作成


ヒルダ:ガンバルゾー


ユスティーツェ:ガンバルゾー


ナオ:ほどほどにやってくぞ~


リファー:ゾー


GM:それでは始めていきましょう。真銀物語第一話『王都炎上』


GM:しばらく描写が続きます


ナオ:了解


GM:ここはミストルティア。100年程度の歴史の浅い国ではあるが、先王アダムと、現在の王カインという二人の英傑によって統治されてきた、ランドールでも屈指の強国である


GM:しかし、その栄光ある真銀の国にも、今日、終わりが訪れようとしていた……


GM:襲撃は、日が傾いた頃だった。人の時間でも蛮族の時間でもない、黄昏時である


GM:邪王ヴォルディガに率いられた蛮族達は瞬く間にミストルティアの街を蹂躙し、今、二人の王が対峙していた。二人の攻防は一瞬だったのか、それとも長く続いたのかはわからなかった


GM:だが、まだ日が落ちきってはおらず、君たちが逃げ出すのに十分な時間ではなかったのは確かだった


GM:この場にいるのはお兄様(ユスティーツェ)とリーゼロッテね


ユスティーツェ:はい


GM:君たちの父が倒れ、吹き飛ばされた剣が君たちの目前に突き刺さる


邪王ヴォルディガ:「それを拾って逃げるが良い。その命、みすみすここで捨てる必要はあるまいよ」


ヒルダ:これは強いわね


ユスティーツェ:「──────ッ貴様……!」


邪王ヴォルディガ:「勘違いするな、これは余興だ。お前達が逃げ、余の視界から消えた後、余は追手を放つ。どれだけ生き延びられるか、我が軍の将達と賭けをするのさ」


ナオ:剣を残したのが敗因の匂いがするにゃ


ヒルダ:慢 心


邪王ヴォルディガ:「そら、余の気が変わらぬ内に疾く駆けよ」


ユスティーツェ:「…………」(奥歯が割れるほど噛みしめている)


ユスティーツェ:とりあえず剣は取る


GM:はい


GM:真銀王の剣 を 手に入れた!


ユスティーツェが手に入れたこの魔剣については、この回の最後にデータを解説します。


リーゼロッテ:「お兄様、ここは逃げましょう。お父様は、私の予知夢を信じ、もしもの時のために、傭兵団を雇っています。抜け道を使えば、彼らの許へたどり着けるでしょう」


リーゼロッテは、ミストルティアの滅びを、事前に予知夢で見ていた、という設定でした。


ユスティーツェ:「────ああ、業腹だが、今の俺では足元にも及ぶまい」


邪王ヴォルディガ:「フハハ、実力差を計れるか否かは長生きの秘訣よな」


ユスティーツェ:「精々そこで嗤っているがいい‥‥…!貴様のような塵を生かしておくものかよ……!」


邪王ヴォルディガ:「くくっ、何度やっても良いものだ。無垢な子供を復讐に走らせるのはな。そして、この邪王には敵わぬことを教えてやるのよ」


邪王ヴォルディガ:「さあ行け若き王子と王女よ。父の亡骸を弔う程の時間の余裕は無いぞ」


ユスティーツェ:「━━━━━絶望の涯で、無惨に殺してくれる、待っていろ」


GM:さて、そんなわけで君たちは抜け道を使って王都から脱出し、傭兵団と合流することになります


GM:傭兵団のリーダー、ムルダファが君たちに応対しますね


ムルダファ:「俺がこの傭兵団の団長のムルダファだ。状況はどうなってる」


ヒルダ:死にそう……!?


一同:(笑)


GM:めっちゃ死にそうなキャラなのは認める


セッションの進み方によっては死ぬ予定のキャラクターだったため、PLさんの察しの良さに内心かなりニヤニヤしていました。


ユスティーツェ:「…………父上は死んだ、邪王に敗北してな」


ムルダファ:「そうか……まあ、お前達がここに来た時点でその覚悟はしていたが、あの真銀王様がね」


ムルダファ:「お前達専属の護衛として、ヒルダとミミィをつける。それと、お前達の知り合いだっつー爺もいるから話すといい」


GM:他のメンバー出てきていいわよ


ヒルダ:ヒルダは初めましてかしら?


リーゼロッテ:「ミミィさん……?もしかして……?」


ナオ:「なーお、おひさーぼっちゃんたち。知らないうちに大きくなっちゃって~」


ヒルダ:「お初にお目にかかりますわ。わたくしはヒルダ・トムソン……あら、そちらはとうにお知り合いですのね?それは結構。話が速く済みますもの」


リーゼロッテ:「やっぱり!以前お城で働いてらしたミミィさんですよね?お久しぶりです。こんな再開になってしまいましたが……」


ナオ:「覚えててくれて嬉しいかな」


ユスティーツェ:「ユスティーツェだ。ミミィは久しいな、こんな時でも相変わらずのようだが」


リーゼロッテ:「申し遅れました。改めて自己紹介を。リーゼロッテ・ミストルティアです。これからよろしくお願いします」


ヒルダ:「えぇ。よろしくお願いしますわね?」


ナオ:「くらーくしてても意味ないでしょ~? まさかおたくの傭兵団だとは知らずに来ちゃったけど」


ナオ:「ヒルダちゃんも……んなー、これは長くなりそうだしよろしく頼むにゃ」


ヒルダ:「えぇ、一期一会か一蓮托生かはともかく、今回のお仕事の間はよろしくお願いしますわね?」


ユスティーツェ:「……ああ」


リファー:「……そうも明るく振舞えるような状況ではないとは思いますがね。しかし久しいですな、もう……いつ以来でしたか」


リーゼロッテ:「まさか……大賢者様ですか!?修行のために山に入って久しいと聞きましたが……」


リファー:「神の啓示がありましてね。……生憎、間に合わなかったようですが」


リーゼロッテ:「いえ、この場に来てくれただけでも助かります」


ナオ:一体山に何があったんだにゃ……力を奪う魔物か……!?


一同:(笑)


明らかにシューター技能が10レベル以上あったであろう人が初期作成レベルにまで落ちていれば、確かに何かあったと思いたくなりますが、何も無いのが彼の面白いところです(その設定以外は大真面目なのに……)


ヒルダ:まあ公式にもレベルダウンしたPCは何人かいるからね……


リファー:「いえいえ、見た目は変わらずとも老いは感じますよ。かつてからは程遠い」


ユスティーツェ:かつてからは程遠い(ガチ)


リファー:2 レ べ ル


ナオ:「…………一体全体、どうしたことかそうみたいだにゃー?」


ヒルダ:「(……見た感じ私たちと同程度なようだけど、そんなに有名な方だったのかしらね?)」


ナオ:「(昔はにゃー……)」


ムルダファ:「話はそれくらいにしておけ、追手が来るんだろう?とりあえずはこの近くの潜伏先にまで逃亡する。そっから先のことを考えるのは後回しだが」



GM:ムルダファさんは馬を用意してくれますね


ヒルダ:馬か……※馬に乗っていてはグラップラー技能が使えない


ナオ:「猫は馬に乗る支配種……フフフ……」


リーゼロッテ:「お兄様、必ずや邪王を滅ぼし、ミストルティアを取り返しましょう」


ユスティーツェ:「ああ、いずれアレは必ず殺す……!」


リーゼロッテ:「お兄様……?」


ヒルダ:「(あらら……コレは危険な兆候かしらね?)」


ナオ:「(ん~…………これは肝を冷やしそうにゃ)」


GM:そうして一行は馬で駆け、ミストルティアから離れていきます


GM:しばらく走っていると、後方から地鳴りと間違える程の足音が聞こえてきます。追手が来たのでしょう


ムルダファ:「チッ、もう来たのか!おめえら、自分の身は自分で守れるな!活路を開くぞ!」


GM:というわけで、初戦闘です


GM:すまんが戦闘後の剥ぎ取りの時間はない


ヒルダ:「あらあら、早速ね?私、馬上での戦闘は苦手なんですけどもね?」


ヒルダ:グラップラー!!


ナオ:「みゃー! どっかの耄碌エルフが勿体ぶってるからにゃ!」


リファー:「誰が耄碌だ、誰が」


ナオ:耄碌より小枝の方が良いかな


戦闘開始。魔物知識判定は全員弱点まで判明し、ボルグとグレムリンとゴブリンということがわかりました。基本戦闘で、ボルグとゴブリン2体が前線エリア、グレムリンが敵後方エリアというわかりやすい構成です。

そして迎えた先制判定。リーゼロッテが取得しているウォーリーダー技能は、先制判定を振ることも出来ます。


ヒルダ:(コロコロ……)あ(出目3)(失敗)


リーゼロッテ:(コロコロ……)(出目5)(失敗)


リーゼロッテ:変転します。取りました。


ナオ:こわいこわい


リーゼロッテ:セーフ……


ここは運命変転の使いどきと考え、なんとか先制を奪取。初期作成では出目によっては簡単に敵に先制を取られてしまうため、油断できません。


GM:ではPC側先制で


リーゼロッテ:Fプロ(フィールド・プロテクションの略)要りますか?


要る、と返答があったので行使。出目9で無事にかかります。


リーゼロッテ:「ライフォス様、我らに守護を!」


更に補助動作で鼓咆、怒濤の攻陣Ⅰを使用。打撃点が+2されますが回避が-1されるというデメリットがありますが、受けるか受けないかはPCが自由に決められるため、とりあえず言っておきます。


ナオ:剣を導こう。誰かにゃ?


ナオは占瞳で物理職の命中を上げようとします。無事に成功し、ユスティーツェの命中が+1。初期作成としては、かなり良質なバフがかかっています。


ヒルダ:うーむ、前衛誰から殴る?ゴブリンから減らすか、ボルグから減らすか


リーゼロッテ:まあゴブリンではないですか?


初期作成での戦闘では、ザコ敵でも十分に攻撃を当ててくる可能性があるため、早めに数を減らしたいという判断です。


ヒルダ:了解。じゃあ囮投げぶち込むわね


囮攻撃+投げによる攻撃は、命中した場合当然囮攻撃分の追加ダメージが増えた上に転倒し、外れても囮攻撃によって回避が-1されるという「撃たれた時点で負け」な組み合わせです。この敵の構成ではGMにはどうしようもありません。そもそも先制を取られていますし。


GM:固定値なので命中どうぞ


ヒルダ:(コロコロ……)(出目10)(命中)


GM:当たったな


囮攻撃は命中判定に-2のペナルティ修正がかかるため、初期作成ではほとんど当たらないのですが、投げの命中補正と出目により目標値を1つ越えて命中しました。

ダメージはそこそこですが、これによりゴブリンは転倒。行動判定に-2のペナルティを受けます。


ユスティーツェ:「――――――殺す」


続いてユスティーツェの魔力撃。RPの殺意にダイスが応え、出目9で命中し、一回転して26ものダメージを与え、ゴブリンを肉塊に変えます。


リーゼロッテ:「ひっ!?い、いえ、一体は片付けました、流石ですお兄様!」


ヒルダ:「……なるほどね?」


ナオ:「やるにゃ~(これは先が思いやられるぞ~?)」


ユスティーツェ:「…………」(無言で敵を見据えている)


ユスティーツェの精神がかなりやられていることが垣間見える1シーンでした。


リファー:「倒してなお次を見据えるか……」


そのまま流れに乗ってリファーが妖精魔法【ファイアボルト】を行使。しかしこれはゴブリンの抵抗を抜けず……


リファー:ゴブリンに通らない!?


一同:(笑)


“森の大賢者”面目躍如ならず。ゴブリンに数点のダメージを与えて行動終了。敵の手番へ。グレムリンは真語魔法【ブラント・ウェポン】を行使します。


ユスティーツェ:「――――――!」


しかしこれは、ユスティーツェがキャラクタービルディングブックの追加ルール、剣の恩寵を駆使して抵抗。

その後ヒルダをゴブリンが殴るも回避。ボルグはユスティーツェに攻撃を命中させますが……


GM:よし。(コロコロ……)あっ


出た目はピンゾロ。打撃点決定のためダメージが出ないわけではありませんが、ほとんど掠り傷。そのままPC達の手番へ。


リーゼロッテ:レジスタンス(敵味方関係無く抵抗+1)要ります?大賢者様魔法撃つならお先にどうぞ。


先程のリベンジとばかりにリファーが再び【ファイアボルト】を行使。見事抵抗を抜き……


リファー:(コロコロ……)うわっ!?


GM:うぇっ!?


ダイスbotの音がうるさいと思ったら、なんと三回転。26点もの魔法ダメージをゴブリンに与え、消し炭に。


リーゼロッテ:「け、消し炭に……?!」


リファー:「おっと、まだ調整に慣れませんな」


ナオ:「調子が戻ってきたかにゃ蝋燭」


ナオ:失敗したら線香(って呼んでた)


ユスティーツェ:「…………なんと」(全然衰えてないなと思っている)


ヒルダ・トムソン:「あらあら、思ったより凄い方かしらね?」


勢いに乗ったPC達はそのままの流れでボルグに猛攻を仕掛けます。ヒルダの囮投げは外れますが回避-1。そこにナオからヴォーパルウェポンを受けたユスティーツェの剣が襲い掛かり、20点!残りHP僅かです。

リーゼロッテは後ろでレジスタンスを演奏し行動終了。


ナオ:毎度だが真のボスはグレムリンだからにゃ……


グレムリンは飛行(命中、回避+1)の能力を持っており、初期作成の近接攻撃はかなり当たりにくくなっています。一応遠隔攻撃役としてはリファーがいますが、弓は筋力の低さ故に心もとなく、魔法も抵抗を抜けるかは五分です。


GM:グレムリンは(残りMP的に)もう一回だけブラント・ウェポンします。


最初と同じくユスティーツェに行使しますが、これはユスティーツェの出目が良く抵抗。ここまでグレムリンは実質何も出来ていません。ボルグもユスティーツェに殴り掛かりますが、出目が悪く回避されます。憐れ。

何も出来ず、PCに手番が返ります。


ナオはヴォーパルウェポンをヒルダにもかけ、占瞳で命中も補強します。囮投げは見事に命中し、ボルグは転倒。お兄様が追撃しますが、これはピンゾロ。


ユスティーツェ:あらら


ユスティーツェのPLさんは極度のファンブラー(私は彼に会うまで、ファンブラーなんて迷信だと思っていましたが、そうとしか形容出来ないほどファンブルし、それと同等以上にクリティカルも出します)であり、いつものことと流されます。

しかしボルグは未だ健在。リーゼロッテのレジスタンスを止めて魔法を撃つ案が出ますが……


リーゼロッテ:いやリーゼロッテ他にやることない(からレジスタンス弾き続けるしかない)ですよ


ヒルダ:じゃあ大賢者に魔法頑張って貰おうかしら


リファー:無理を言ってくれますな……!


リファー:(コロコロ……)(出目10)(抵抗貫通)


ヒルダ:これは……大賢者!?


ユスティーツェ:本当に大賢者だ


ヒルダ:【朗報】大賢者、発見される


リーゼロッテ:「流石は大賢者様、素晴らしい魔法です!」


ナオ:「以外とやれるじゃんマナスタッフ……ぺっ(血」※占瞳は代償にHPやMPを消費します


ヒルダ:このままフェアテ伸ばそう(エルフの能力値傾向的にそちらの方が強いため)


リファー:「(絶妙な表情)」


ここで手番が返り、ボルグが起き上がって攻撃しますが、なんと6ゾロで回避


GM:なんだこいつら出目良すぎんだろ


続いてグレムリンがエネルギー・ボルトをユスティーツェに撃ち込みます。これは抵抗を貫通し、1回転して11点ダメージ!かなりの痛手を与えます。


ヒルダ:やっぱり初期作成に魔法は……ダメね!※以前GMをした際にほぼ初期作成のPCに魔法を撃って大回転させ殺害した経歴アリ


リーゼロッテ:「お兄様ッ!?」


ユスティーツェ:「――――――構うな」


いいえ構います、とばかりにリーゼロッテはユスティーツェと占瞳でHPの削れたナオを回復。安全圏まで持ち直します。

リファーが抵抗を抜けばボルグが落ちるため、魔法を行使しますが


GM:(コロコロ……)(出目11)は?


もう落ちてくれ(深夜卓のため、戦闘をあまり長引かせたくない)と思いながら振ったものの、ボルグは当然ながらまだまだ生きていたいようで、1点を残して生存。

続いてヒルダが攻撃するものの今度は命中が1足りない……と思いきや


ヒルダ:そういえば導いてもらった(ミミィから命中バフを貰った)の私でしたわ


というわけで命中。無事ボルグを討伐。そのまま敵後方に走っていったユスティーツェが一撃でグレムリンを屠り、長い初戦は終了しました。


ユスティーツェ:「絶命しろ……!」


リーゼロッテ:「道が開けました、今の内に逃げましょう!お兄様もお早く!」


ヒルダ:「面白いお仕事になりそうね……?」ユスティーツェを見ながら


ナオ:「ゆっくり剥いでる時間はないみたいにゃ!」


リーゼロッテ:「お兄様、せめて血を……」ポケットから綺麗なハンカチを取り出して手渡す


ナオ:「んまったく、おっきくなってもお召し物よごして~」


ユスティーツェ:「(なされるがまま)」


ヒルダ:「(あらあら、もてもてさんね?)」


ムルダファ:「さっさと行くぞ、護衛対象のお前達がやられちゃ貰った報酬も使うに使えねえからな!」


ナオ:「はいにゃー」


ヒルダ:「はいはい」


リファー:「(黙々と馬に乗る)」


ユスティーツェ:「……」


GM:そうして君たちは傭兵団の拠点に到着します


GM:最低限装備や消耗品を整えたりするだけの施設はありますね


ナオ:「よっと。ふふん、馬よ、お勤めご苦労だったにゃ」


ムルダファ:「そうのんびりもしていられねえが、まあ2日程度なら体を休められるだろう」


ムルダファ:「特にその坊ちゃんにゃあ、心と体を休ませる時間が必要だ」


ナオ:「……(心、うーん)」


ヒルダ:「それで?その後はどうする予定なのかしら?」


ムルダファ:「いくつか案はある。一つは近隣の大国、ハルシカに身を寄せる。もう一つはこのままランドールの外まで逃げちまう、それと、これは半分賭けだが、ギギナールの新たな王を頼りにしてみるってのもあるな」


ヒルダ:「ギギナールの新たな王って言うと……」


ムルダファ:「“帰還せし勇者王”エルヴィン・クドリチュカだな。勢いのある勢力なのは間違いねえ」


ナオ:あー、拾ってみたい人物だにゃ


ヒルダ:「(うーん……お姉さん、ああいうタイプの王様は苦手なのよね?)」


公式ノベル『蛮王の烙印』を読んでいるPLが多かったため、ランドール地方を舞台にするならエルヴィンは是非とも出してみたい公式NPCでした。


リーゼロッテ:「それと、隣国クレイモルには私の婚約者のアイロング王子がいらっしゃいます。援助を要請出来るかもしれません」


クレイモルはミストルティア同様GMオリジナルの国です。騎士の国として有名であり、ミスリルの武具をミストルティアとやりとりしていました。


リファー:「……まだ味方になり得る面々は多い、と」


ムルダファ:「まあ、彼の邪王は色んなとこにちょっかいかけてっから、余裕がある国は少ないがな」


ナオ:「婚約者、か。妹ちゃん的には大丈夫そうなお相手なのかにゃ?」


リーゼロッテ:「彼の人柄は尊敬出来るものです。私とは10も歳が離れていますから、もう一人のお兄様といった感じですが……」


ナオ・ミミィ:「……それならよかった」


ヒルダ:「(邪王という共通の敵が居る以上、どこの勢力も彼等兄妹の血筋という正統性を求めるでしょう……けれど?それがこの子達にとって幸福かどうかは別問題でしょうね?)」


ユスティーツェ:「……どの手段も悪くはない。アイロングの奴を頼るのもいいが、あちらにかける負担も相当だ、そう簡単ではないだろう」


ヒルダ:まぁこの三択だと婚約者さんの所が無難かしら?


ムルダファ:「ふーむ、まあ、考える時間はある。今の依頼主は王子様方だ、最後の判断は任せるぜ」


ナオ:「外に出るのはアテが怪しいし、ギギナールは危ういにゃぁ」


ヒルダ:「そうねぇ……ギギナールはちょっとオススメしづらいわね?彼の国は強力な王を抱いているけれど、それ故に他国の王を快く迎え入れる事は難しいわね?」


GMイチオシのギギナール、総スカン。まあこれは状況的に仕方ありませんし、GMとしてもギギナールに直行はしないだろうと思っていました。


ナオ:「ハルシカとのコネはどんなもんかにゃ?」


ムルダファ:「あそこの重鎮から何度か護衛依頼を受けたことがあるな、つってもまあ、正当な報酬は貰ってるわけだから、恩を売ったってわけじゃねえが。顔が利く、程度だと思ってくれりゃいい」


ユスティーツェ:「――――――こちらとしてはある程度の危険は承知しよう。どうするにせよ、あの場所にはいずれ戻らねばならん。ある程度の障害を踏み越えねばそれも無理というものだ」


ヒルダ:「ふむふむ……お姉さんとしてオススメするのは身内のコネをちゃんと頼る事ね?――――――隣国という事はつまり、次に邪王が狙うとすれば其処の可能性は大きいのだから」


リーゼロッテ:「そう、ですね。今まではミストルティアが盾になっていましたが……しかしあの国もミストルティアと並ぶ騎士の国です。そう簡単に落とされることはないかと」


ヒルダ:フラグだ……


ナオ:やめるにゃ


フラグじゃないよ!


ナオ:「それなら、ハルシカは無難ではあるけどまぁまぁ苦労しそうかにゃ~。素直に意見が通りにくい代わりに堅実な回答が期待できると踏むにゃ」


リファー:「ハルシカは中立を謳う国。味方を得るには向かないとはいえ、追手も大胆には動けなくなる。そこを経由する程度の前提で向かってみるのは悪い案ではない……とは、思いますがね」


ユスティーツェ:「あの父上が死した。油断はできん、どちらにせよ放っては置けないことに違いはない」


ムルダファ:「ま、現実的な案としてはクレイモルかハルシカにはなるわな」


ヒルダ:「(お姉さん的には、其処で兄妹が逃げる道を選んでくれる事を願うけれども?そう簡単にはいかなそうねぇ……うふふ、楽しくなってきちゃったかしら?)」


ヒルダ:お姉さん、こういうの、だいすき


GM:ちなみにクレイモルは大きな穀倉地帯を抱えていて、ミストルティアとは武具と食料との交易でお互いに発展してきた歴史があるって感じ


ヒルダ:つまり武器庫を喪ったワケね


ヒルダさんのPLさんは、こういった時の頭の回転が速くて助かります。GMはそこまで考えていないことがほとんどですが、ヒルダのPLさんの発言によって上手いこと説得力を持たせられることが多々あります。身内の仲間は皆そうですが、得難いPLの一人です。


GM:で、次期国王のアイロングにリーゼロッテを嫁がせて両国の関係をより堅固なものにしようとしてたけど、まあ今の通り


ヒルダ:あっ……(幻視)コレは、悪役令嬢モノ!?


リーゼロッテがいじめられるのでしょうか。そんなことはない。


ナオ:「クレイモルが受け入れてくれれば、ハルシカとの取り付けに協力してもらえるかもしれないにゃ。……こちらの立場がどの程度残るかはわからないけど」


GM:近さ的にはクレイモル>ハルシカ>ギギナール>>>>(超えられない壁)>>>>他地方


GM:他地方、距離的に遠いわけじゃないがウルシラ方面行くと邪王の本拠とかちあう


この時はこう言いましたが、後に邪王の本拠はミストルティア城に移されるため、結果的に嘘を吐くことになってしまいました。これは申し訳ない。まあそうだとしても、選択肢には上がらなかったとは思いますが。


ヒルダ:魔王様(エルヴィン)を頼りたいけど伝手がなーい。なのでまずはクレイモル、そっからハルシカかなぁって


ユスティーツェ:「(――――――死出の旅となる。付き合わせるわけにはいかん、アイロングの元にリーゼロッテを預け単身で向かうには………)」


ナオ:「(んー、変なこと考えてそうな顔だにゃ~……)」


ユスティーツェ、復讐に取り憑かれてこそいますが、妹のことは常に想っているようです。


リーゼロッテ:「……もう私達に失うものはありません。いずれミストルティアを取り返すためなら、この身に出来ることならなんでもするつもりです」


ヒルダ:「あらあら、お嬢ちゃん?いい女は自分を安売りしちゃいけないのよ?」鼻をツンと押しながら


ユスティーツェ:「……いや、俺にはある、お前だ。付き合う必要はない」


リーゼロッテ:「お兄様……いいえ、私はお兄様の傍で、お兄様が祖国を取り戻すのを見届けます。クレイモルに行くのも、アイロング王子に保護してもらうためではありませんから」


当然血も繋がっていない別々のPLがやっているこの二人ですが、このやると決めたことを譲らない点は、本当によく似ていると思います。


ムルダファ:「ふむ、じゃあ一旦、クレイモルに向かうことにするか?」


ナオ:「……まぁ、そうするのが多分一番にゃ」


ユスティーツェ:「…………ああ、それで構わん」


ヒルダ:「もう……お姉さんの話は最後まで聞きなさいよね?貴方達二人共、今はその身しか代償と差し出せる物なんてないじゃないの。だから……安売りしちゃいけないのは二人共よ?」


ヒルダ:部外者!!なのでズケズケと!!


リーゼロッテ:「大丈夫です、祖国を取り戻すまでは、この足を止めるようなことはしませんから」


ヒルダ:フフフ……なんか暖簾に腕押しね……?でも、お姉さん諦めないわよ!!


ヒルダ:やはり囮ビンタか……いつブッパする?私も同行しよう


GM:ヒルダ院


一同:(笑)


ユスティーツェ:「……ああ(総て殺すまで、死ねるものか……!)」


ナオ:「……(生き物には、死に場所を選ぶ権利があるのにゃ。寿命を全うするのが最善だし、それを見極めるのも権利なのにゃ)」


ムルダファ:「出発は明後日の早朝だ。それまでゆっくり休め。装備の補充も出来るが、依頼人といえど多少の金は貰うぞ。持ってるか?」


ナオ:「うっ(文無し)」


ヒルダ:「あらあら(割と金欠)」


これは、ゲーム的な都合による発言です。ちゃんと買い物は出来るよ、という通知でした。


リーゼロッテ:「城から、持ち運べる程度の金目のものを持ってきました。売ればそれなりのお金になるはずですから、これで」


リーゼロッテ:「お兄様、少しでも立派な武具を買って、奴らに対抗しましょう」


リーゼロッテ:「多分、皆さんの分も工面出来るくらいにはあると思いますので……」


初期作成のPCには、お金がありません。どれだけシステムに習熟しても、これはどうしようもない。


ナオ:お財布ちゃん……


一同:(爆笑!!)


GM:それは酷すぎるだろ!!


リーゼロッテは親しみを込めて「妹ちゃん」とPL一同から呼ばれていましたが、お財布ちゃんに親しみはそれこそ小銭ほどもありません。


ヒルダ:「わざわざありがとうね……」


PLが爆笑していようとロールプレイはしっかり出来るのがテキストセッションの良い所ですね……


ナオ:「すまないにゃ、恩に着るにゃ……」


リーゼロッテ:「お気になさらず。長い付き合いになりそうですから」


ヒルダ・トムソン:「そうね……」(長い付き合いに……ね……)


リファー:「……(触れれば崩れそうな関係。これは、王のためにも見届けなければ)」


GM というところで、1話はこの辺で終わりです


GM はーい、では清算!


このセッションでは経験点と成長ルールにおいてもハウスルールを使用しています。私に30も40も毎週シナリオを思いつく能力は無いため、経験点と成長回数を公式より大幅に増やしています。詳しくは以下の通りです。


経験点=(そのセッションで戦った魔物の最大レベル)×500+(通常通りの討伐ボーナス)+(振っていればピンゾロ分)


成長回数=基礎1+(セッションの総経験点)÷2000


例えば敵の最大レベルが10で、倒した敵がその10レベルの敵1体(1部位)だった場合、経験点は5000+100で5100点。成長は5100÷2000+1(端数は切り捨て)のため3回。という具合になります。


これに照らし合わせると今回の経験点は1590点。成長は通常通り1回となります。一度に3レベルになれるだけの経験点ですが、あまり縦に伸ばしすぎるとレベルに対して先制値や魔物知識が追いつかなくなり、GMがバランスを読み違える可能性が高くなるため、全体的に横方向に伸ばすことが多かったです。


では、次回に続きます。



***



オリジナルデータ解説 真銀王の剣


知名度:5 形状:多くの加工が施され、大きな力を秘めたミスリル製の剣 カテゴリ:ソードSランク

概要:様々な加工が施された剣。一日に一度だけこの剣による命中判定に自動成功。

用法:1H 必筋20 威力:30 命中+2 打撃点+2 魔法の武器 刃のついた武器製作時期:魔法文明


能力

○魔法の武器+2(魔法文明)

 魔法文明時代に魔法の武器+2の加工が施されたようです。


○妖精の武器(炎、水・氷、雷)

 三種の属性が付与された妖精の武器です。


○イグニダイト加工

 要所がイグニダイトで補強されており、威力が強化されています。


○専用化“真銀王”カイン・ミストルティア

 “真銀王”カイン・ミストルティアが使用した場合に限り、命中力判定の器用度に+2の修正を与えます。


≫真の銀の剣

 一日に一度だけ、この剣による命中力判定を自動成功させます。この効果は命中力判定を行う前にのみ使用可能です。この効果を使用する時、所持者は戦闘特技 《武器習熟A/ソード》《武器習熟S/ソード》を習得しているものとして扱います(追加ダメージもそれに応じて上昇します)


由来・逸話

“真の銀の騎士”“真銀王”と呼ばれるミストルティアの国王、カイン・ミストルティアが所持する魔剣です。ベースこそミスリルソードですが、それにあらゆる物理的、魔法的な加工を施してあり、また通常のミスリルソードとは一線を画す能力も備えていると言われています。

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