第28話⁂謎の封書!⁂


1998年9月中旬


爽やかな秋風が心地よい季節となり⋆*⋆*

青空に真っ白な飛行機雲がモクモクと鮮やかに一直線の線を描きます。

こんな秋空の下やっと待ち望んだ樹里亜の誕生です。


達也は嬉しくて嬉しくて自慢の娘樹里亜を、休憩時間のほんのわずかな時間にも娘見たさに病院から5分余りのマンションに毎日毎日通っています。


又それに飽き足らずわざわざ病院に連れてきての従業員達にお披露目三昧。



こんな幸せ一杯の達也ですが、ある日差出人不明の謎の封書が達也宛に届いたのです。


するとそこには達也が一番恐れていた事が書かれてありました。


パソコンで入力した文面には…………。

『樹里亜ちゃんは達也の子供では無い。陽介と弥生の子供です』


一体誰がこんな事を?


達也は早速DNA親子鑑定を法科学鑑定研究所に依頼します。

医師だから誰でもDNA鑑定出来るものではありません。

臨床遺伝子専門医認定試験という狭き門を突破した者だけが許される領域。


達也は一気に天国から地獄に突き落とされます。

プライドの高い達也は無精子症に近いこんな身体を心底恥じていたにも拘らず、やっと夢にまで見た待望の妊娠に天にも昇る思いで指折り数えての待ちに待った誕生の日を迎えていたのです。


{それが、あれだけ喜んだにも拘らず、あれは一体何だったんだ?あれは只の夢?幻?ましてや一番有って欲しくない陽介の子供だなんて?

クッソ————ッ!陽介が憎い!俺の望むもの全て奪いやがって——!又弥生だってもう俺の妻なのに、俺と言う者が有りながらふしだらに陽介と乳繰り合いやがって————!あの阿婆擦れ女ぶっ殺してやりたい!その内に見ていろ!只じゃ済まないからな!アアアア!

そう言われればあの整った樹里亜の顔は確かに陽介の子供に違いない!アアアア!何もかもが信じられない!

嗚呼嗚呼あああアアアア————!!!憎い!憎い!憎い!頭が可笑しくなりそうだ————!}


達也と弥生の夫婦関係は完全に破綻をきたしています。


DNA鑑定の結果が届くまでの10日間、達也は妻弥生に又生まれたばかりの樹里亜に当たり散らし、家庭が荒れ放題で手が付けられない状態だったのです。


そしてDNA鑑定結果が届きました。


その結果99,9999978パ-セントの確率で達也の子であることが立証されたのです。


達也は喜び半分、不安半分の何とも言えない精神状態です。


このころから益々達也の異常性質が顕著に露呈し始めるのです。


















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