走馬灯

「本当に死ぬ瞬間に走馬灯がよぎるのな

ら、二十代を台無しにしたあの日をコマ

送りで再生するの。あの日、なにを間違

えたのか、まだ分からないから」彼女は

夕焼けの海を眺めつつ呟く。物憂げな横

顔が印象的だ。私はそのシーンで走馬灯

を止めて人生の幕を下ろす。その言葉を

聞かなければ、まだ私は──。

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