第3話 エロこそが新たな時代の幕開け!
たまたまなのか、ヤンキーと言う種族そのものがそうなのかは知らないが、俺のバイト先のヤンキーたちは、接してみるとすごい、いい人ばかりだった。
確かに見た目はチャラい。
確かに、言葉は汚い……
タバコは吸うし、タンはそこらへんに吐き出すし。
どこでもすぐにエッチな話。そのうえ、俺の事を、童貞! 童貞! って、いつもからかってくる……
うん? やっぱりいい人じゃないかも……
一緒に働く男のヤンキーが、同勤の女のヤンキーに声をかけた。
「お前、一発やらせてやれよ」
男は笑いながら俺の肩を掴む。
「こいつ、この年でまだ童貞なんだって。筆おろししてやれよ?」
なんか、小学校の時の光景がフラッシュバックした感じだった。
「……いいですよ……俺、臭いですし……」
手を振り払い。小さな声で抵抗した。
女のヤンキーは、顔にかかる長い栗毛のウェーブを手で払い、顔を近づけ俺の肩をクンクンと匂う。
「そんなに臭くないよ? グダぐだ
笑いながら答えてくれたその女性の笑顔に一瞬ドキッとした。
「いいですよ……俺、なんかと……」
そして、なぜだか、全力で手を振り拒んでしまった。
男のヤンキーは笑う。
「だから、お前は童貞なんだよ!」
女のヤンキーも一緒に笑う。
「なんだ、残念。でも、次はないからねぇ~」
だが、俺は、この時、ちょっとホッとした。
ヤンキーとエッチがしたくないというわけではないのだ。
どちらかと言うと、したい! したくてしたくてたまらないのである!
だが、それよりも、恐怖というか戸惑いが、自分の焦る心にブレーキを踏んだのである。
そう、エッチってどうするの?
確かに、アダルトビデオは見たことがある。
だが、モザイクが……
実際にあそこはどうなっているかなんて、見たことが無いんだから分かりゃしない!
本当にこの国は、ちょっとでも気に入らなければすぐに、何でもかんでもふたをする。
結局、それで困るのは子供たちなのだ。
そのような子供が大人になって、はい! 婚活という冒険に出かけなさい! と突き放されたところで、経験値も知識量もほとんど無いのである。
体だけは大人になっても、そのフィールドでは赤子同然。
弱小スライム相手に右往左往するしかないのである。
中には、瀕死の重体で街に戻ってきた冒険者もいるぐらいだ……
だから情報は、隠すのではなく、正しく理解させることが重要なのである。
ちなみに、この話は、物語の中の話だから、読者の方々の世界の事を言っているわけではございません!
ただ、文句を言っていても世界は変わらない。
変えたければ選挙に行け!
そうでなければ剣をとれ!
と言うことで、俺は、マウスを取った!
この当時、ウィンドウズ95が登場し、インターネットが流行り出したころである。
ウィンドウズ95と言うのは、パソコンの中に入った魔法のようなツールなのである。
その魔法のツールを介し、インターネットによってつながった世界中のパソコンからありとあらゆる情報を覗くことができたのである。
その情報は国家機密から魔王の正体、はたまた、錬金術の方法やアイドルの下着の色などありとあらゆるものがのっている。
もう、図書館なんていらないんじゃね? と思えるほどの情報量であるが、やはり、本には勝てない。
本にも程度はあるのだが、「真実の書」として、それが持つ魔力量が絶対的に勝っているのである。
そう、インターネットの情報は、大量に「まやかしの書」が含まれているのだ。まかり間違って、この「まやかしの書」を使った日には、自爆確定なのだ。
大学生の諸君は、本当に要注意してほしい。
まぁ、実際には、魔法の箱にそのウィンドウズ95が標準装備されているので、特に何か準備をする必要はない。
ただ、今の若い人たちは、ネットの常時接続が当たり前だと思っているだろう。
しかし、俺の時は、常時接続などありゃしない。
光をつかった回線など、しもじもの生活には無縁であった。
そう、だから、アナログの電話回線で、使った分だけ通話料が加算されていく状況なのだ。
当時の俺は、アナログ回線のテレホーダイという定額制度に契約し、夜中の11時から朝8時までインターネットにつなぎっぱなしだったことを覚えている。
インターネットは世界につながっている。
そう、世界中のエロがそこには広がっているのである。
まさにパラダイス!
まだ見ぬエロを求めて、日々、インターネットの世界にダイブする!
だが、エロの世界も甘くない!
鬼のような代金の請求が来るダイヤルQ2
ファイルに紛れてやってくるウィルスたち。
エロ動画など、重くてダウンロードなどなかなかできはしない。
エロ画像も、1枚2枚ならいいのだが、100枚ともなると結構時間がかかるのである。
当時、ウィンドウズ95は不安定、ダウンロードの最中にフリーズすることなどザラなのだ。
朝起きて、女優の顔しかダウンロードできていなかった時の、絶望感は半端ない。
だが、困難な状況は、頭を活性化させる。
自分に今足りなものは何なのだ!
それを見るためにはどうすればいいのだ!
必死で考えた!
てれれれってんてー!
童貞賢者見習いグダぐだ
鼻先にエロをぶら下げられた男は、疲れを知らない。
不眠不休の突貫作業!
分割! 結合! マスク解除!
階段を駆け上るかの如く、俺のレベルがどんどんと上がっていくのが分かった。
女性のあそこにはいろんな形があることを知ったのも、この頃である。
だが、まだそれは目で見ただけの知識のレベル。
実戦ではまるで役に立たぬ。
当初、パソコンの知識など、全くなかった俺であったが、ハードディスクがエロ画像でいっぱいになるころには、パソコンの復旧からネットワークの基礎ぐらいまでは身についていた。
そう、パソコン初級スキルを独学で身に着けたていたのだ。
やはり、男の欲望は、あなどれないものだ。
エロこそが新たな時代の幕開けを起こすと言っても過言ではないのかもしれない。
アホと思っている貴女の方々! 断じて男のエロを侮ってはいけない!
俺のようなアホな
鼻っ面にちょっとあなたのエロをぶら下げてやれば、もう、どのようなお願いにも従順に従う近衛兵の出来上がり!
まぁ、ただし、どの男に対して確実に有効なスキルと言うわけではない! という事だけは、言っておこう。
【グダぐだ男の今日のつぶやき】
興味を持とう!
関心を持つと、いろいろ知りたくなってくる。
何事も同じ!
まずは、彼女に興味を持とう!
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