Bullying

みお

第1話

【担任の朝の話】

 おはようございます。聞いている人もいると思いますが昨日、沼田波さんが亡くなりました。急な凶報に、みなさんもそうだと思いますが、私も悲しみを隠せません。いつもクラスを引っ張ってくれ、みんなに優しく接してくれた沼田さんが亡くなってしまったことは、本当に残念で悲しいことです。凶報を聞いた時、驚きと悲しみで言葉が出ませんでした。みんなに愛されていた沼田さんが亡くなったことをどれだけの人が悲しんでいるか………。

 葬儀は、今日の17時からです。場所は、「こころえん」です。最後のお別れをしてきましょう。いや、お別れではないですね。沼田さんと過ごした思い出は皆さんの心の中にずっと生き続けることでしょう。沼田さんは、天国で見守ってくれています。


【同級生 加奈子の話】

 沼田波はクラスの中で一軍にいる女の子でした。一軍って、何ですかって? あー、クラスは一軍、二軍、三軍に分かれていて一軍はリーダー的存在でイケイケなグループ。先生とも仲良しですね。二軍は派手ではないけど、頭が良いグループ。一軍とも交流があります。三軍は地味なタイプのグループ。人とのコミュニケーションも得意じゃなさそうな感じです。

 一軍とかはクラスで決めるのかって? いやいや。決めるんじゃなくて、自然に決まってくるんですよ。誰に「あなたは一軍ね」とか言われるんじゃなくて、勝手にグループ化されるというか。それで、みんなも自分は何軍だって、自覚してるんです。だから、三軍の人たちは、自ら一軍には話しかけませんよ。自分の身分みたいのをわきまえているんですね。

 私、加奈子も一軍です。波とは親友でした。波は、美人で背も170センチくらいあってスタイル抜群。意見もはっきり言えるし、そのおかげでみんなもついてくるし。リーダー的存在でした。波ちゃんのこと、みんながちやほやしてました。愛されキャラでしたね。

 大好きな親友の波が殺されるんなんて………。信じられません。今でもどこかで生きてるんじゃないかって。突然、「加奈子ー! 久しぶりー!」って目の前に現れてくるんじゃないかって。あぁ。すみません。波のこと考えると涙が出てきちゃうんです。

 何をするにも一緒だったので。移動教室行く時も一緒、お昼食べる時も一緒、放課後帰る時も一緒。そして、波の周りにはたくさんの友達が集まってくるので、私も自然に友達が増えました。もう一度、波に会いたいです。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る