第4話 今がある理由

 私たちが生かされている理由(わけ)は魔獣の餌。


ここ王都と離れた聖都を結ぶ街道には魔の森が接している。“愚者たち”は魔獣の被害を受けていた。国にとって重要な道らしいが、森と険しい山脈に挟まれ迂回路を造れない。頭を抱えた王族は、“屍人”に目を付けた。


 生まれて程なく”人”は洗礼を受ける。その際に魔力を持つものが”人間”、魔力を持たぬものは”屍人”に選別される。そこで人生は大きく分けられる。謳歌か処分かで。


 処分されるべきものを魔獣に与える。魔獣は屍を喰らわないが、生きた屍人は喰らう。腹さえ満たされてさえいれば魔獣は人を襲わなくなる。

 そして、街道の被害報告は激減した。王は大層喜んで処分を辞め、森に屍人を放つ餌場を作った。屍人が逃げられないよう魔法で囲われ、魔獣を呼び込める餌場を。程なくして我々は“撒餌”と呼ばれるようになった。


 その餌場街道とは真逆の森の端にある。

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