第7話 父がきえている


真奈美ちゃんといけない遊びをするようになったのはきっと

家族崩壊がはじまりだしたからだと思う

入退院を繰り返していた僕の父との記憶はほんの少ししかない


その一つでもある記憶だ

夜の病院で僕の部屋に来て何も話さなまま父は帰る日が多くなった

今、思うと何かのサインだったのだろうか


保育園に入る時も卒園する時も父との思い出が何一つ思い出せない

家もまったく違う庭付き一戸建てだったのが

急に小さい家になっていた。

強い風が吹くと屋根が吹き飛びそうになったりと恐怖が常に隣りあわせだった

玄関もひどく鍵なんかあってない様なものだ

トイレの鍵の様に外からも内からも開けられてしまう変な玄関だった


玄関から靴を脱ぐともうそこは畳が敷いてある部屋だ

おそらく8畳くらいだと思うその隣に台所があり

その隣に4畳くらいの部屋がありその部屋で寝ていた記憶だ


この家に住むようになってからは父の記憶はなく

覚えているのは孤独だけだった。









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