装備屋で防具を新調する
「へい! らっしゃい! アレクサンドリアの装備屋へようこそ!」
アレクサンドリアの装備屋の店主は俺達を出迎えた。
「おおっ! べっぴんさんだな! 兄ちゃん! 隣の子はエミリア王女にそっくりだし、隣の子もエルフの国の王女様みたいじゃねぇか! 羨ましい限りだぜ」
俺は微笑を浮かべる。
「はは……」
まさか本人だなんて思うわけもない。なぜそんな身分の高い女性が冒険者なんて危険が伴う稼業をするのか。理解できるわけがなかった。
「それで兄ちゃん達、何をご所望だい?」
「二人の装備を見たいんです」
「装備か。防具ってことだよな。防具のエリアはあっちだから気に入ったのがあったら試着室で装備してみてくれ!」
「ありがとうございます」
こうして俺達は色々と装備を見て回る事になった。
◇
「ねー! トール! 見てみて!」
「ん?」
エミリアとセフィリスは同じ試着室に入っていた。
「じゃーん!」
そういって試着室のカーテンが開かれる。そこにあったのは、偉く露出度の高い、水着のような防具を身に着けた二人の姿があった。
「お、お前! なんだその装備は!」
俺は驚いてしまった。あまりのその露出度の高さに。エミリアは平然としていたが、セフィリスは恥ずかしそうに顔を真っ赤にしていた。
「なにって、ビキニアーマーよ!」
「ビキニアーマーって! ネタ装備にも程があるだろうが!」
「何言ってるのよ! 動きやすいじゃない!」
そう言って胸を張るエミリア。確かに動きやすいかもしれない。だが、防具とは本来防御力に重きを置くものである。
「動きやすいだけならビキニアーマーじゃなくてもいいだろ! 鎧じゃなくてもいい! 布の服で十分だ!」
「えーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」
エミリアは不満げであった。
ビキニアーマーには動きやすい。敏捷性という利点以外にもうひとつメリットがあった。それはファッション性である。露出が高い分、周囲の男の視線を独占できるのだ。
「やめとけ! エミリア! 頼むからそれだけは! もっと真面目に選んでくれ! そんな装備する奴ただの露出狂だぞ! ビッチだ!」
「だ、誰がビッチよ!」
「トールさんだけならともかく、こんな格好で街を出歩くのは恥ずかしいです」
セフィリスは赤い顔をして訴えかける。
「ほら、セフィリスも困ってるだろ。普通に選べ。普通に防御力のある。普通に動きやすい、普通の装備だ」
「はーい!」
エミリアとセフィリスは再び試着室に戻った。
◇
結局エミリアは聖女用の法衣。動きやすい布製の装備ではあるが、魔術強化が施されており、見た目より防御力が高い。
セフィリスも弓聖用の装備。これもライトアーマーを購入する事になった。一応は鎧ではあるが、それなりに動きやすい装備だ。
「まいど! 兄ちゃん! またよろしくな!」
こうして装備を新調した俺達であった。
「これからどうするの? トール」
「とりあえずは冒険者ギルドに戻ろうか。新しい装備を試してみたい。そうだな。Аランクの冒険者パーティーに昇格したことだし、適当にクエストを受注してみようか」
「はーい!」
「わかりました」
こうして、俺達は再び冒険者ギルドに戻るのであった。しかし、冒険者ギルドに戻った時、俺達は予想もしていないような噂話を聞く事になるのであった。
そう、勇者ラカム達に対する新しい噂話である。
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