エルフ国で国を救った英雄として歓迎される

「よくぞ戻ってきた! トール殿、エミリア殿。そして我が娘セフィリスよ」


俺達がエルフの国に戻った時、エルフの国王達が俺達を出迎えた。


「邪神の気配が無くなったと思ったが、やはりトール殿がやってくれたのか」


「いいえ。俺の力だけではありません。エミリアと、それからセフィリス姫の力があってこそです」


「謙遜はよい。トール殿。貴殿はエルフ国を救った英雄だ。エルフの国を代表して、私が礼の言葉を述べさせてもらう。ありがとう、トール殿」


「いえ……そんな」


「エルフの国で貴殿等を持て成そう。宴を開く、是非参加していってくれ」


「そ、そんな、いいですよ別に」


「もう、トールったら」


「エミリア」


 エミリアが俺の腕を取る。


「遠慮のしすぎは相手の気を悪くするわよ。時には言葉に甘えるのも必要な事よ」


「それもその通りだ。わかりました、エルフ王。お言葉に甘えさせてもらいます」


「早速宴の準備をしよう。皆のもの! エルフ国が国難から救われたのだ! 盛大に祝うとしよう!」


 こうして、エルフ国をあげた盛大なパーティーが開かれることとなった。


 ◇


 そこはエルフ城のパーティー会場であった。食卓には豪勢な料理が並び、そして音楽隊の演奏が奏でられる。


 俺はエルフ国からタキシードを貸与された。それに着替え、パーティー会場へ来たのだ。


「み、見てみて! あれがエルフ国の危機を救ってくださったトール様よ!」


 パーティー会場には幾人ものエルフがいた。エルフの少女たちだ。エルフ国の貴族、その娘たちであろう。


「かっこいい! 素敵だわ! あれでとってもお強いのよね」


「トール様は私達エルフの事をどう思っているのでしょうか? トール様にとって亜人種であるエルフは恋愛対象に入るのでしょうか?」


 各々が好き勝手な事を言い始める。羨望の眼差しで見られるのはいいが、あまりに注目を浴びすぎるのも気恥ずかしかった。


 しばらくして白いドレスを着たエミリアがパーティー会場に来た。会場がどよめく。

 そのあまりに美しい姿に。またもや会場内がどよめく。


「どう? トール? 可愛い?」


 エミリアが顔を赤くしながら俺に聞いてくる。


「ああ。可愛いよ。まるでお姫様みたいだ」


「もう! トールったら。私、本物のお姫様よ!」


 そして、最後にもう一人。緑色のドレスを着たセフィリスが会場に入ってきた。美しい金髪をした、絶世の美少女であるセフィリスがめかし込んできたという事もあり、会場内はまたもやどよめく事となる。


「トール様……」


「セフィリス姫」


「トール様は我がエルフ国を救った英雄です。誠にありがとうございます」


「何を言っているんだ。セフィリスの協力があってこそだよ」


「いえ……ですがこの力もトール様が与えてくださった力です。ですので全てはトール様のおかげなのです。トール様には大変感謝しております。是非お礼をさせてください」


「お礼って……どんな?」


「私にできる事なら、なんなりとお申し付けください」


「な、何なりとって」


 俺は思わず、動揺してしまう。


「トール! えっちな事考えてたでしょ!」


「か、考えてねーよ!」


「嘘! 今、顔にやけてた! やらしいんだからっ!」


「に、にやけてない! 断じて」


「くすす……」


 セフィリスは笑い出した。


「笑われてるぞ! エミリア!」


「トールが笑われてるのよ!」


「二人ともだと思うが……」


 俺はため息を吐く。


 しばらくして、エルフ王がステージに立つ。


「皆の者、よくぞ集まってくれた。人間の英雄トール殿とエミリア殿の活躍もあり、邪神の危機は去った。今日は存分に食べて飲んで語らって欲しい。それでは杯を持ってくれ、乾杯と行こうじゃないか」


 エルフ王は杯を持った。俺達も杯を持つ。


「「「乾杯!」」」


 こうして杯が鳴らされ、邪神の討伐を祝ったパーティーが開かれたのである。

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