夢の中で俺は......

こまつだ

2020.11.22

 男女問わず約9人ほどいた。その中に俺もいた。リーダー格の男が卒業したときにもらったはずの棒?が無く、みんなで手分けして探すことに。


 この時、俺が立っていた場所の近くの水たまりが急に燃え出す謎の発火現象が起きて、巻き込まれそうになったが間一髪で回避した。みんなに心配され、一人と行動を共にする。


 こういったことは最近稀にあるらしいから気をつけなと隣にいる一人に注意を受けた。


  「木に引っかかってるんじゃないか?」


 と一人は近くの木を見上げそしてそれに登り始めた。


 俺は木が折れないか心配になったが、一人がその心情を読み取ったのか大丈夫だと言った。


 俺は、木の周辺を見渡していたらちょうど学校の敷地のギリギリ端。境界線かのように仕切られてる柵のすぐ下にちょいと長めの木製の棒が落ちているのを見つけた。


 もしかしてと思い、俺はそれに近づき手に取った。長さが約50㎝あり、直接文字が彫ってあったが、泥で汚れているのか内容までは見えなかった。


 「ん? なんか見っけたのか?」


 ストンと木から降りてきて俺の隣に来るなりそう聞いてきた。

 

 「まあ、多分当たり......だと思う」


 「自信なさげだな」


 「そうか? 確約無いしな」


 「ふーん」


 そんな会話をしながら俺たちは、リーダー格に会いに行く。


 リーダーは、正面玄関前のベンチに顔を俯いて座っている。相当落ち込んでいることがわかる。


 そこに俺は、先ほど拾ってきた木製の棒をリーダーに見せる。リーダーは無気力になりながらもこちらを見て、その態度から一変して勢いよく立ち上がり棒と俺の手をつかんだ。


 「これだ! そうそうこれだ!」


 「おう、なんだなんだ」


 突然すぎて状況が呑み込めてない俺をよそに、リーダーは続ける。


 「これは!? 何処で見つけた?」


 がっつき具合がすごい。


 「まあまあ落ち着いてくれ。とりあえず、探して物はこれでいいんだな?」


 「ああ、すまない。取り乱してしまった。そうだ、あってる。」


 興奮するリーダーを宥めると同時に確認をとった。リーダーは、落ち着くと一言謝意の述べ、続いて俺の確認に対して合っていると答えた。あの急変といいがっつきといい、相当大事な物らしい。


 「それで、結局何だったんだ? その棒は?」


 俺と行動を共にしてた、一人が聞いてきた。


 「これのことか? これはだな、俺の恩師からもらったものだ。」


 「恩師?」


 「そうだ。恩師は、俺が辛いとき、悲しいときに心の支えになってくれたんだ。これは、俺がここを卒業するときにもらったものだ。それを......俺は......なんてことを......」


 「でもこうして見つかってリーダーの手元に今あるじゃないか。それでいいんじゃないか? 次は気を付けてくれって話にはなるがな」


 「そうだな。次は気をつけるよ。ありがとう」


 「あ! 探し物みつかったんだぁ。よかったぁ」


 ゆっくりとした話し声が後ろから聞こえたので振り返ると、ほんわかした女の子が嬉しそうな顔でいて、その後ろには先ほどまで一緒に探していたであろう仲間たちが集まっていた。どうやら話している間にみんな合流したみたいだ。


 みんなが集まったところリーダーがみんなに礼を言った。そして教室に戻る。その途中で、仲間の一人がせっかく集まったのだからどこか遊びに行こうと提案した。


 勿論みな肯定的ではあったが、俺はリーダーとは個人でつながりがあるだけで仲間というつながりは無いので断ろうとした。しかし、リーダーにお礼だと言われ一緒に行くことになった。


 「きょうすけの制服姿、久々に見るな」


 ぽつりと出てきた言葉。卒業してるはずなのに。

 

 それを聞いたリーダーは笑っていた。

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