第38話
金曜日の夜、11時頃にLINEが来た。
『明日は9時スタートだよ!』
『わかったから早く寝ろよ』
『来てくれないと困るもん! 私のカッコいいところ見てもらわなきゃだしね!』
神崎さんがかっこいいかぁ……なんか想像できない……
『神崎さんがかっこいい? またまたご冗談をw そんなことより早く寝なさい。試合なんでしょ?』
『冗談じゃないもん!』
既読スルーにしといた。返事をすると永遠に帰ってきそうだったからだ。
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「寝れない」
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ピピピ……ピ? ピピピ……ピ?
我ながら変な目覚まし時計だと思う。まぁ、最近少し調子が良くなくなってきてたからな。そろそろ買い換えだな。
月葉は休みの日は大抵練習とかあったのだが、いつの間にか引退していたようだ。転校してたったの半年と少ししか一緒にしてないから思い入れとか特になかったらしい。
「おにぃ、どこ行くん?」
俺がのんびり制服に着替えてたら部屋の外から声をかけられた。
「あ、そうだ。月葉もバレー見に行くか? 勉強ばかりだと飽きるだろ?」
「どこ〜? 何時ここ発?」
「うちの高校、1時間後にここを出るぞ〜」
「入っていいん?」
「別によかろう。何とか言い訳考えとくわ」
「じゃあ行く」
俺たちは朝飯をもそもそと食べ月葉が制服に着替えるのを待って家を出た。
「おにぃ、さみーね」
「まぁ、冬に両足突っ込んでるからな」
「そか」
2人揃って自転車にまたがり走り出した。
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結構たくさんの人が集まっていた。体育館の2階の半分はうちの生徒でもう半分が相手方の部員の親御さんとうちの部員の親御さんだった。
「人多いね」
「予想外だったわ」
とりあえず俺たちは2階出入口から1番遠い位置まで歩いていった。さすがにそこまで行けば人は少ない。
「神崎さんいたよ」
「おー、ほんとだな」
あちらもこっちに気付いたみたいで手を振ってくる。月葉が喜んで手を振る。ちなみに月葉もバレー部だったので楽しんでもらえるとこちらとしても連れてきた甲斐が有る。
実力知らんけどね。
「「「お願いします」」」
両校挨拶が終わったみたいだ。と、言ってもこっちもあっちも顧問は置物のようだ。てか、よくよく見たら向こう側のコートでは男子が練習している。
「おにぃ……」
「言うな。俺も同じこと思ったから」
「男子少ないね」
「くっ……」
思わず笑いそうになってしまった。それも仕方ないことだ。たったの7人しかいないのだから。試合するにしてもかなりギリギリだ。
にわかに騒がしくなってきた。手前側を見ると練習が始まっていた。神崎さんは……いた。チームの中では大分上手い方だと思う。だけど、
「おにぃ、これ試合成り立つん?」
「こら」
まぁ、全体的に上手とは言い難い。人数だけはいっぱしにおるのがまた面白いな。ふと男子の方に目を向けてみる。
「ふっ……」
1人だけ運動神経の塊みたいなのがいたけどだいたいなんか……ね? 上手いとは言いたくない。
「なるほど、月葉、レギュラー予想しよーぜ」
「紙とペンなんて持ってないよ?」
「あるだよなぁ」
「おにぃやるじゃん」
妹に紙とペンを渡し観察していく。何チームも見てきたからだいたい誰がどこかは何となく分からないことも無い。
五分ほどしたら月葉が書くのを止めた。多分できたのだろう。
「はい、できた」
「そろそろ答え合わせが出来そうだな」
キャプテンが主審(担当の部員)に呼ばれていた。恐らくそろそろ始まるのだろう。
てか、こっちに貫通属性の視線向けてくるやつ誰や。めっちゃ多いぞ。
確かに月葉は可愛い。それは間違いない。だからといって俺を睨まないでくれ。主に男子。
「月葉、ちょっと便所行ってくるわ」
「はーい」
試合中には行きたくないから予め行っておくことにする。
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ピー!
試合が始まった。レギュラー予想は
「「やりぃ!」」
2人揃って全員正解だった。なかなか上出来である。そこからはのんびりと試合を見ていた。
「おにぃ」
「なんだ?」
「美少女の生脚最高だね」
「お前はどこぞのおっさんみたいなセリフ吐くな」
などという会話が少々あったが対して盛り上がる箇所もピンチであせる箇所もなく可もなく不可もなくで1試合目が終わった。
「神崎さんが一番マシ」
「だなぁ……あとは対したことないな」
「これに負ける相手も相手だよね」
「うん。そうだな」
「そりゃあ、アタシがいねぇもんな」
「「!!」」
真後ろに一人の選手がいた。
「よぉ、川井」
〜あとがき〜
いつも読んで頂きありがとうございますm(*_ _)mこれからもよろしくお願いします!
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