第2話 一年後

一応、部活で後輩もできて

立場的にゆとりもできてきた

だけど

偉そうなことを言うのは嫌いで

後輩から一目置かれるような先輩を目指すには

努力を惜しまない

目標に対しての貪欲さを見せていきたいと

なんとも真面目に思っていた


それとは裏腹に

最近では

派手目の先輩から合コンに誘われることも多くなった


おれはそういうのあんまり好きじゃないから

だいたい断っていた


彼女なんて作ってる暇はない


だけど

幸助も何度も誘ってくるし

先輩の命令は絶対だし

と半分拗ねた感情で

今日は指定された場所へ向かう


正直

面倒くさかった


約束の時間を30分過ぎていた

カラオケ店の前で深呼吸

緊張もしていた


名前を言って店に入る


そっと窓から覗くと

うたを歌っているわけではなく

話をしていた

けっこう出来上がった空気感

お邪魔する感じで入りずらい

勇気を出して・・・


”ガチャ”


ゆっくりドアを開けると


「わ~来た来た!!今日のレアキャラが一番目立つ感じできた!」幸助


調子に乗っている幸助を横目でチラリと睨む


「おせぇよ!!」先輩


先輩は笑顔で迎え入れてくれた


「じゃ自己紹介して!!」先輩2


「二年生の

冴島 愁(さえじま しゅう)です」愁


下を向きながら自己紹介をした


「可愛い~」女の人


女の人が盛り上げようとしてくれ

トーン高めの声を出してくれた

場が和む・・・

だけど

俺はこういったノリ的なものが好きではない


少しひねくれた会釈をする


そして視線を上げると俺の右向かい

後輩の直輝(なおき)の横に座っている子に目が行く


「遅れてきたバツとして

女の子の自己紹介は聞けないからな!!」先輩


「そうそう

二回してもらうのは悪いからね」先輩2


そんな些細な意地悪を言われている間も

俺は目の前の彼女に目を奪われていた


そこには

あの子が場違いに座っていた


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